■Until We Have Faces/Red
![]() | Until We Have Faces (2011/02/15) Red 商品詳細を見る |
アメリカではグラミー賞にノミネートされたりヒットチャートを賑わせている人気バンドであるRedの2011年発表の3rdアルバム。僕は今作で初めてRedの音に触れたが、国内盤が出ていない日本でも多くのリスナーを掴んでいるバンドだ。その音楽性は歌メロ際立つ泣きの旋律と、本当に正当派なモダンへビィネスサウンドという何のギミックも無いストレートなへビィロック。しかしキャッチーでありながらもヘビィネスを継承したそのサウンドは本当に多くの人を虜にするだけの力を持っている。
彼等のサウンドは正統派ヘビィネスサウンドとMichael Barnesの卓越したボーカル、それを支えるエモーショナルな泣きの旋律と楽曲に深みを与えるストリングスの存在。ただそれだけで勝負出来るだけの馬力を持っている。第1曲「Feed The Machine」は今作で最もヘビィネス色の強いゴリゴリな1曲だが、ギターリフやサウンドプロダクトからはかつてのモダンヘビィネスを継承した王道極まりない物、しかしサビではストリングスとクリーントーンの伸びやかなボーカルが深遠な広がりを見せてくれる。そしてそのヘビィネスサウンドから放たれるメロディアスかつ涙腺を刺激する音は彼等の大きな武器だ。第2曲「Faceless」ではMichaelのボーカルとストリングスとバンドのヘビィネスサウンドが更にメランコリックさを際立たせた1曲であり、痛みの先の救いを歌う様な優しさを感じたのは僕だけでは無い筈だ。彼等はモダンヘビィネスムーブメントが終わった後に生まれるべくして生まれた純粋に歌と旋律で勝負出来るだけの力を持ったオルタナティブへビィロックとも言えるかもしれないが、彼等の魅力は正当派ヘビィネスサウンドのみで勝負出来る楽曲の完成度の高さでもあるけど、それ以上に大きな要素なのは例えへビィなサウンドじゃなくても純粋に聴き手の心を串刺しにする泣きの感情を音にする豊かな表現力であり、それをストレートに体現しているからこそ生まれる説得力は相当の物だ。自らのヘビィネスを封印したバラードである第6曲「Not Alone」と終盤の「Best Is Yet To Come」のメランコリック大爆発具合とと「Hymn For The Missing」のストリングスとピアノのみの楽曲でも全くブレないRedの核は見事だ。作品の中でもそういった泣きの要素の強い歌物の楽曲は多いが、決して中弛みはしてないし、ヘビィネスと歌のバランスも絶妙な配分にもなっているし、結果として多くの人を掴んで離さないエモーショナルへビィロックとも言える作品になった。
モダンヘビィネスムーブメントは沈静化してはしまったが、それ以降にもこの様な素晴らしいへビィロックを鳴らしてくれる頼もしいバンドが登場していたのだ。彼等は本当に正統派の泣きのヘビィネスを素直に体現し、それを壮大なスケールで豊かな音色で奏でてくれるのだから、心に感受性を刺激しまくるドラマティックなサウンドに本当に惚れ込んでしまった。Redはへビィロック好きは勿論だけど、本当に多くの人に聴かれるべきバンドだと思う。純度の高い美しいヘビィネスを今の時代に鳴らす彼等を支持したい限りだ。