■Of Concrete Canyons And Inner Wastelands/Trainwreck

日本限定の特別な編集盤と来日公演にて日本の激情フリークス共の心を掴んで話さないジャーマン激情破壊神である5人組Trainwreckの09年発表の6曲入り2nd。僕はNO MEMORIESからリリースされた編集盤である「2005-2008」にてこいつらの破壊的サウンドにブチのめされた人間だが、今作でもその破壊力は健在。クラストコアと激情のドッキングさせたサウンドはより深遠さも増しているし本当にとんでもないバンドだ。
序盤から二本のギターの轟音から幕を開け、ドスの利いたベースラインと暴走しながらも感動的な旋律を超音圧で放出するギターとDビートを軸にしながら重戦車の如く全てをなぎ倒すドラムの散弾銃と悲痛な叫びという。暴走破壊激情系のバンドに必要な物を全て持ち合わせている。HIS HERO IS GONEフォロワーではとてもじゃないけど片付けられないパワーは今作でも健在だ。それに空間的なエフェクターを使いながら不穏で美しいフレーズを奏でるパートを挟んでくる辺りもニクいし、自らのサウンドの深遠さを確立するのに大きな役目を果たしている。第2曲ではスラッジなリフを高速で乱打する様なギターリフにまず一回死んで、そこから急斜面を転がり落ちるどころか真っ逆さまに墜落するビートとギターリフの嵐で二回死んで、絶妙なキメの乱打で三回死ぬという激情・スラッジ・クラストの攻撃性を更に高めて一つの音塊はドス黒く膨張し、巨大な岩石が無数に降り注ぎながらも、その岩石が目の前で粉々になって超スピードで降り注ぎ体中が穴だらけになってしまう感覚にすら陥ってしまう。よりエモーショナルな旋律をドラマティックの奏でて今までに無い深遠さを出しながらも激情系ハードコアとしての暴虐さも決して忘れていない第3曲や、よりスラッジの要素を盛り込みミドルテンポで攻めつつも高速のビートの乱れ咲きも見せる第4曲、バーストにバーストを重ねる邪悪さと一気にBPMを落とし静謐なクリーンのフレーズで落差を生み出し、感動的な結末へと暴走する第6曲と、暴虐の激情は決して変わらないが、よりスケールアップされた激情の破壊力は矢張り只事では無い。
より残虐により美しくなったTrainwreckはやはりジャーマン激情最強の破壊力を持ったバンドである、激情系と言っても、静謐さからドラマティックな音を奏でるバンドもいれば、エモーショナルさとクリアな旋律を大切にするバンドもいるが、徹底して破壊的な音を放出する激情としては別格中の別格のバンドだろう。暴虐の炎は尊厳すら感じさせる領域にあるし、破壊と残酷さを極めた激情としてこいつらは途方も無いエネルギーを持っている。また今作は下記リンクのbandcampからフリーダウンロード配布もされている。
Trainwreck bandcamp