■Odyssey/Fate
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フランスの5人組ブルータルデスメタルバンドであるFateの03年発表の編集盤。全17曲と濃密な内容になっており、スプリットの音源と1stアルバムである「NO SENSE」とデビュー作である「VA TE FAIRE ENCULER」をコンパイルしたボリューム満点の編集盤だ。メンバーにターンテーブルがいるというユニークな編成だったりするが、ニュースクールハードコアの格好良さとブルデスのゲスい汚らしさが絶妙のバランスで同居する格好良い音になっている。
曲順はスプリットの楽曲3曲、1st、デビュー作の順に並んでいるが、まずスプリット作品の3曲は下水道ボイスを駆使したブルデスでありながらも、ニュースクールハードコアの要素を取り入れ取っ付きやすくもしていたりするが、同時に転調と不規則なキメと不規則な楽曲構成にもなっているしカオティック要素も感じさせる物になっている。ブルデスではあるがそこまで超絶ビートの乱打がある訳でも無く、汚らしい低域ボイスと、ブルータルさを守りながらもシンプルなリフで攻めてくるハードコア要素を感じさせる音楽性だ。絶妙なタイミングで入るスクラッチはビートに良く馴染んでいるし、ストレートなサウンドを分解しカオティックにした分かりやすくも暴虐なサウンドはブルデス愛好家以外にも受け入れられるんじゃないだろうか。時折カオティックハードコアな」変態フレーズを絶妙に入れてくるのもずるい。1stからの楽曲はスプリットよりもカオティックな要素をより強く感じたりする。ゲボを吐いているみたいな下水道グロウルもキマってるし、転調を繰り返しながらひたすらリフで攻め立て、軽快に暴走する気持ちの良いブラストんお音、低域リフから急に高域の不協和音を鳴らしたり、不気味に蠢くバキバキのベースラインと不意に入れてくるスクラッチ音と本当にそれぞれの音が尖ったままぶつかり合い暴走している。しかもギターフレーズが不意に一瞬だけメロディアスなフレーズを入れて来たりするからまたタチが悪い。ブルデスを基本にしながらもその暴虐さを守りながらニュースクールハードコアやカオティックといった要素を巧みに取り入れているセンスは見事だし、より直接的にハードコアな格好良さがあると思う。デビュー作の方は更にストレートでブレーキが壊れたまま暴走しているが、デビュー作では超絶早弾きのギターソロが飛び出したりもしているし、カオティック要素はデビュー作から一貫して感じる物になっている。
何の前情報も無しで今作に触れたがハードコアの格好良さをブレデスの劣悪な汚らしさとしっかり結びつけて、暴走するサウンドをより際立たせている上にカオティック要素を盛り込みさらに暴走させた作品だと言えるだろう。気持ちの良いビートと悪の軍隊の行進みたいなリフに下水の臭いのするサウンド、ブルデスとしてかなり格好良い作品なのでその筋の音が好きな人は勿論、カオティックやニュースクールといった音楽が好きな人も聴いて損の無い1枚になっている。