■Gate Is Dope/Gate Is Dope

東京のスラッジ・ドゥームトリオであるGate Is Dopeの1stデモCD-R。何の予備知識も無しに今作に触れたが、漆黒のスラッジサウンドを追求した深遠なる作品となっている。今作は「Song1. For Me」という18分半の楽曲が1曲収録されただけの作品になっているが、その18分半で描き出す闇のスラッジサウンドにただ飲み込まれそうになるそんな作品だ。そして今作はまさかのライブ音源であり、その生々しいサウンドをパッケージングしている。
いきなりハーシュノイズが吹き荒れ、そのノイズのが生み出す闇の後ろから聴こえてくるのは深遠で美しいアルペジオ。轟音が景色を変えた瞬間に今作の神秘的な闇の世界は既に始まっているのだ。ノイズが消えて不穏のアルペジオが姿を見せたらもう既に彼等の世界に完全に足を踏み入れてしまっている。終わり無く繰り返されるアルペジオと淡々とリズムを刻むドラムとベース、今にも止まりそうな速度でただ進行し、聴き手の不安を煽りに煽るが、この時点で既にその筋の音を愛するフリークス共からしたらカウパーがダダ漏れになってしまう筈だ、この不穏さの霧を更なる暴虐さで晴らす瞬間をここぞとばかりに待ち構える心境になるし、正座で説教されている気分でその暴発に期待が高まり焦らされまくる。少しずつ旋律を変えながらもアルペジオの美しいフレーズは終わり無く続き、後半に突入するとそのアルペジオの裏で再びノイズが吹き荒れ暴発へと期待を高めブレイクと同時にさの殺伐とした世界を加速させる。クリーントーンのままのギターは淡々と鋼鉄のスラッジリフを叩きつけ、ビートも引き摺る重さを加速させ、吹き荒れるノイズはより暴虐になりパラノった感覚のボーカルは痛みに満ちた叫びを見せる。そして全ての音が混ざり合った末に冷酷かつ深遠なる暗黒のサイケデリックサウンドへと変貌してノイズ塗れになったサウンドのダウナーな暴虐はバンド名通りドープさの奈落へと突き落としにかかる。そして少しずつ高めていった音圧が最高潮に達した瞬間に黒煙のサウンドが無慈悲に放出されたまま無の煉獄へと導いたまま聴き手を取り残していく。ラストは再びノイズのみになりそれがドローンなアンビエントさと読経的なボーカルと共にこの世界が闇に飲まれた事を宣告し終わる。ライブ音源だからこそ彼等の闇のスラッジサウンドはダイレクトに伝わってくるし、砂嵐ノイズが加速した瞬間のサイケデリックな体験を今作で味わう事が出来るのだ。
スラッジさに深遠さを加えたバンドといえばNeurosisとCorruptedを思い浮かべる人が多いかもしれないけど、彼等のサウンドはその2バンドの模倣では無く、壮大かつ深遠な闇をノイズが引き起こすサイケデリックさで描いており、メインのギターリフは決して激歪の音にはならずクリーントーンのまま進行する。しかしそれすら飲み込む闇のハーシュノイズが聴き手の聴覚を覆い尽くした瞬間に漆黒の風景が確かに見えてくるのだ。このバンドについての詳しい情報はあまり無かったりするのだが、1stデモとは思えない完成された闇の儀式とも言えるスラッジサウンドは彼岸の音楽として暴虐さの限りを尽くしている。またGate Is Dopeの音については下記リンクのMySpaceにて2曲程視聴が出来る。
Gate Is Dope MySpace