■Koiwa Death Fest.vol.55(2012年5月3日)@小岩bushbash
しかし僕はこの日まさかの寝坊により遅刻という失態を犯してしまい、ブッシュバッシュに着いたのがイベントがスタートした15分後。1バンド目のCoholを半分しか見る事が出来なかった。特に楽しみにしたいたバンドだけにそれだけが今回心残りである。
・Cohol
1バンド目はCohol。先述した通り今回のイベントは遅刻と言う失態を犯してしまってCoholはセットの半分しか見る事が出来なかった。しかしたった15分しか観ていないにも関わらずCoholは暗黒のハードコア地獄へと僕を叩き落してくれた。高速のブラストビートの乱打、そしてギターリフとベースリフも高速。しかし彼等はブラックメタルから激情を鳴らすバンドであり、楽曲の中でブレイクダウンしてから多数の空間系エフェクターを使用したアンビエントなカラーの持つ音色が更なる暗黒へと突き落とす。ITARU氏時にグロウルをかまし、時に謎の踊りみたいな舞踊みたいな謎ダンスで妖しさ全開。そしてHIROMASA氏のベースボーカルでありながら全身全霊で放出する激情の嵐。それを加速させるKYOSUKE氏の正確無比な高速ブラストビート。それらが三位一体となって絶望の淵へとフロアを叩き落す。今回のイベントの中では音楽性敵に言えばかなり浮いていたとは思うけど、それでもそのエクストリームさは今回参戦したグラインド勢に全く負けていなかったし、1バンド目から漆黒の闇に小岩が堕ちていた。しかし遅刻で半分しか観れなかったのは本当に悔しいなあ。
・REALIZED
2バンド目は神奈川のグラインドコアバンドであるREALIZED。メンバーチェンジを経て、音楽性も大きく変わったらしいが、彼等の音はグラインドコアが核にありながらももっとシンプルはハードコア・ロックのテイストもかなり色濃い物になっており、本当にストレート極まりない物。時にストーナーなフレーズを絶妙に取り入れながらも、グラインドコアをもっとシンプルなハードコアへと帰結させるビートは聴いてて本当に気持ちが良いし、男臭さ全開なボーカルのタフガイっぷりにはやっぱりやられてしまった。Coholが生み出した暗黒絵巻を薙ぎ払うかの如く、陽性でカラッとしたハードコアサウンドを見せていたし、速くてロックでキャッチーで格好良い!!というシンプルさを持っているからこそREALIZEDのアクトは観ていて楽しくなれるのだ。その男気にKOされた人も多かったに違いない。
・RED RAN AMBER
そしてここからの3バンドは全部ベースレスの3ピースであり、完全にグラインドコア大会へとなった。RED RAN AMBERはとにかくヘビィ!そしてブルータル!!速度を間違えたらスラッジの域に達してしまうんじゃないかって思えるヘビィなギターリフを高速で叩きつける事によるブルータルグラインドコア。ボーカルもとにかくドスの効きまくったシャウトを聴かせ、グラインドコアの持つ極悪面を容赦無く叩き付ける。怒りをそのヘビィさと高速のビートへと昇華させ、それを純度100%のグラインドコアの鬼とも言うべきサウンドに仕上げていた。音圧も圧倒的だったし、高速ブルータルチューンをただ容赦無く叩き付けていただけで血生臭いグラインド地獄がこの小岩で生れたのだ。
・ZAGIO EVHA DILEGJ
そして今回の主役の一つであるZAGIOのアクトへ。こちらもベースレスの3ピースだが、今回参戦したバンドの中でも一番ファストでショートカットなバンド。1曲1曲が本当に短く約15分と言う本当に短いアクトだったが凄まじい速さで繰り出されるビートとリフを極め、超エクストリーム世界へ突入。正統派のグラインドコアバンドであるが一切無駄の無い構成とフックの効いた音の瞬発力と爆発力が観る物の肉体に本当にダイレクトに訴えてきていたし、フロアはあっという間にモッシュの嵐へと雪崩れ込む!余計なギミック無しに超速グラインドコアをキャッチーさを残しつつも容赦無い速さで叩きつける極悪っぷりも見事だったし、何よりも肉体を一気にバーストさせるグラインドコアの力にどこまでも真摯だからこそ彼等の音の破壊力は相当な物になっていたのだ。たった15分のアクトだけど、その瞬間に生まれるカタルシスが大挙して押し寄せ、それに飲み込まれていく。本当に凄まじいだけで無く格好良いグラインドコアを見せてくれた。
・MORTALIZED
そして大トリは京都から生まれ日本が世界に誇るグラインドコアバンドであるMORTALIZED!!超ショートカットかつ速さを極めた末のカオティックさとサタニックな暗黒さが彼等の売りだが、その音楽性は大きく変わり、楽曲のスケールも格段に上がり、よりメロディアスになったギターフレーズの数々はかなり激情系ハードコアに接近した物になっていた。しかしメロウなギターフレーズの哀愁から一変して速さを極めた高速&カオティックグラインドサウンドへ移行する瞬間はもうとんでもないカタルシスに飲み込まれるの必至だったし、その落差を巧みに使いこなし、よりカオティックなバンドへと変貌したと思う。低域デスと高域シャウトを巧みに使い分けるボーカルワークはライブでの余裕で健在だし、今回参戦したどのバンドよりも全身全霊という言葉が似合うドラムのカオティックブラストの鬼気迫る散弾銃のビート、そしてグラインドコアとかハードコアとかそういった枠組みから完全に開放されてしまったギターワークが未知の混沌へとフロアを導き、グラインドコアでありながらも、誰も到達していない新たな領域へと彼等は間違いなく到達していたし、日本が誇るグラインドコアの英雄は、自らの手でグラインドの新たな歴史を更新し、その先へと飛び立っていた。貫禄と気迫のアクトは超音圧エクストリームミュージックとしてブッシュバッシュに渦巻いていた。とにかく圧倒的ッ!!その一言に尽きる!!
そんなこんなで小岩グラインドコア大会は圧倒的な速さであっという間に終わりを告げた。しかしながら大好きなバンドにも関わらずMORTALIZEDを観るのは初めてだったのだが、日本のグラインドコアの大正義とも言うべき彼等のアクトはもう貫禄とかカリスマとかを超えた別の何かを感じたし、他のアクトも素晴らしい物だった。僕が住んでる場所から小岩は正直結構遠かったが(電車で約1時間かかる)、遠路はるばる足を運んだ甲斐が間違いなくあった。そしてなによりもSxOxBを生んだ国である我が日本のグラインドコアは本当に世界に誇れる素晴らしいバンドが数多く存在している事を改めて実感させられたのであった。