■『はじまり』のおわり(2012年5月17日)@渋谷O-Creast

 toitoitoiとThreeQuestionsのスプリット作品である「はじまり」のリリースに伴うツアーファイナルだから『はじまり』のおわりというタイトルが付けらたらしいが、今回機会があって全く知らないtoitoitoiのライブに見に行ってきた。ThreeQuestionsの方がしっかり見れなかったので見たのは実質4バンドなんだけど、普段僕が行くようなライブや企画とまた違う温かくアットホームなイベントであったが、少し心が浄化される感じのするイベントだった。



・パンパンの塔

 RO69JACKで優勝し、去年のCOUNTDOWN JAPANにも出演したギターボーカルとドラムの二人組であるパンパンの塔からライブはスタート。僕は名前も音も今回初めて知ったが、セットの序盤にやっていた曲は地味にありがちな童話的なアコースティックユニットといった印象を受けたけど、セットが進むに連れて、イノセンスを前面に押し出した楽曲に毒が混ざり、その形を徐々に崩壊させ、内側と外側を行き来する音の世界を展開し始めてハッとさせられた。ポエトリーでまくし立てるボーカルと、アコースティックでスタンダードなギターフレーズに力強いドラムという普遍的なサウンドから徐々に形が崩れる様は幻想の崩壊を見せ付ける様でもあった。最後のプレイしていた「骨」という曲がこのユニットの本質が詰まった曲である詩的で圧倒的情報量の歌と語りが誇大妄想の幻想を生み出し、時にインプロ的にもなりグチャグチャに形を崩しながらも最後はメロディアスかつ力強くその歌を聴かせてくれた。詩的でありながらもしなやかなサウンドはアコースティックユニットとして大きな強みだと思うし、もっと最後にプレイした「骨」の様な毒と幻想に満ちた楽曲を聴いてみたいと感じた。こういった音楽は正直明るく無いのだけれども、そんな僕を引き込んだ歌の力にはただ感服。



・Menoz

 二番手は女性ボーカルの5人組バンドのMenoz。ギターポップと多元的なキラキラとしたサウンドが特徴的なバンドで、シンセのフレーズと空間系エフェクターを使用したギターフレーズが豊かな色彩を生み出しており、それにポップで可愛らしい女性ボーカルが乗る。そしてリズム隊の演奏力が卓越しており(特にベースが良かった)、安定感のある演奏力と職人気質を持ったバンドのサウンド。そしてダンサブルなビートと共にポップで踊れる伸びやかな世界が目の前に広がっていた。ファンクの要素等を持ちつつもピースフルでポップな極彩色のサウンドは多くの人を引き込むには十分過ぎる魅力を持っていたと思う。観ていて楽しいし心が跳ねるライブだったと思う。



・THE CREATOR OF

 3番手はTCO。ここまで歌物のバンドが続いていたけど一気に空気がガラりと変わった。1曲目の「Hi On」はいきなり15分にも及ぶ大曲で、トライヴァルかつドゥーミーなビートとギターフレーズが終わり無く螺旋を描く。しかもドスの効いたサウンドを突き抜ける様に鳴らすから余計に破壊力は増していたし、完全にハードコアの空気にフロアを変えてしまっていた。13年前の曲なのに全く古臭くなく、新たなアレンジでより精神の坩堝へと迷い込み、涅槃に連れて行かれる様なそんな感覚すら味わえる。ラストのギターソロなんか爆音の中で殺気がサイケデリックさへと繋がり、五感を強制的に塗りつぶされそうになった。第2曲「AGAIN」はやはり安定のヘビィネスサウンドで、空間的な奥行きの広さを出しながらも、やはりいきり立つ殺気が全開で、重くドスの効いたビートが頭と胸に殴りにかかってきていたし、ヘビィなリフで進行しながらも各楽器が絡み合う機能美がより深淵へと導く。後半の「LIGHT」と「Acoustic」は最早定番になったと言えるし、特に「LIGHT」はこれからのTCOの代名詞的な楽曲としてバンドに馴染み、貫禄すら見せ始めていた。ヘビィネス・プログレッシブ・ポストロックと自在に行き来しながらも、ハードコア・ヘビィロックの揺ぎ無い核は、久々のライブとなった今回のアクトでも余裕で健在だったし、よりパワフルに鍛え上げられたバンドサウンドは本当にたくましくなったと思う。しかしながらのっけから「Hi On」という大作をプレイして、ヘビィネスの深淵へとフロアを導いてしまってたし、今回出演しているバンドの中では結構毛色が違ったとは思いつつも、その馬力に持っていかれた人は本当に多かった筈だ。



・toitoitoi

 トリは今回の企画者であるtoitoitoi。バンド編成とアコースティック編成を使い分けているらしいが、今回はバンド編成でのライブで、ステージの両サイドには巨大なキャンパスが設置され、二人の画家がライブ中に絵を描き続けるなんて何とも粋な演出があったり、ステージ裏には巨大な絵が飾られていたりと、中々にアーティスティックな事をしていたりした。肝心の音の方であるが、ギターロッを基調にしつつも、パーカッション等も参加し、多くの音が花火の様に弾けるサウンド。福音の音色が多幸感と共に炸裂し、自在に動き回る音色が同時進行で描かれる絵画同様に多くの色彩を重ね、それが膨張し破裂するポップネスのビッグバン。やはり安定感のあるバンドサウンドの確かな強さをしっかりと屋台骨にしていたし、全力でそのポップさを幻想へと変える力とパフォーマンスには満員になったフロアの人々が曲が終わる度に本当に大きな拍手でそれを称えていた。僕個人としてはこういった音楽をあまり聴かない人間であったりもするけど、それでもそのポップの魔法とも言うべきサウンドには確かに引き込まれる物があった。



 今回のライブは僕が普段行かない感じの企画ではあったが、本当に会場全体が温かな空気に満ちていたと思うし、音楽が持つ歌とポップネスの魅力が詰め込まれたイベントになったと思う。でも今回殆どのバンドが初めて観た感じだったけど、一番手のパンパンの塔は僕個人として中々の大ヒットだったし(それだけラストの「骨」という曲が名曲だった)、そんな雰囲気も関係無しにハードコアをかましたTCoの爆音サウンドの安定感も良かった。次はいつになるかは分からないけど、またこういったアットホームにイベントにも足を運びたいと思った夜でした。
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