■DAY OF THE DEAD(2012年5月21日)@渋谷CLUB QUATTRO

 昨年末にメンバーの脱退により木下氏と戸高氏の2人組になったART-SCHOOL。これまでの10年以上の活動期間の中で多くのピンチを迎えながらも乗り越えてきたが、今回も見事に新たな形でアートは戻ってきた。6月2日・3日の新生アート再始動イベントである「KINOSHITA NIGHT」のチケットが完売した事を受けて、急遽今回フリーライブとして一足早く新生アートのお披露目イベントとして開催が決まったことを受け、中学の頃からアートを聴いていた僕は実に6年半振りにART-SCHOOLのライブに足を運ぶ事となった。とは言っても、08年頃からアートを熱心に追いかけなくなってしまい、結構距離が広がった状態になっており、本当に久々に彼等の音に触れる事にはなってしまったのだけれども、ある種の懐かしさや感傷を持ちながらも、それでも生まれ変わった彼等の姿をしっかりと目に焼き付ける事が出来た。今回はサポートメンバーとして、ベースはex.NUMBER GIRLの中尾憲太郎氏、ドラムはMO'SOME TONEBENDERの藤田氏と二人の猛者を迎えてのライブであり、その二人の生み出す屈曲なグルーブがアートの繊細な世界観にどの様な変化を与えるかも個人的に楽しみだったりもした。整理券を無事にゲットし、スタート前にクアトロに入ったが、クアトロは満員の大盛況。本当に多くの人が新生アートの姿を目に焼き付けるために集結したと思うし、それだけこのバンドを愛する人が多かったんだなと改めて実感した。



 19時半、時間通りにライブはスタート。前半は夏にリリースがアナウンスされた新作からの新曲を連続で披露していたが、新曲郡は、今までのアートを通過して再びオルタナティブに回帰したって印象がかなり強く受ける物ばかりだ。加えて中尾氏と藤田氏の超肉食系のリズム隊が本当に良い仕事をしていたと思う。中尾氏のズ太いベースラインが繊細でメロディアスなアートの楽曲に喝を入れまくり、藤田氏の手数多目で前のめりなドラムがタイトかつ躍動感を与えている。共に福岡出身という事もあってか、オルタナティブロックのグルーブとしては本当に最高の物になっていたし、太く生々しいリズム隊の存在は新曲郡に大きな輝きを間違いなく与えていた。肝心の新曲の方はと言うと、戸高氏お得意の空間系エフェクターを中心にしたギターフレーズなんかも登場しながらも、ザラついた硬質なオルタナティブロックといった印象。しかしキャッチーさよりもその冷ややかな緊張感が前面に出ていたし、アップテンポの曲はあまり無かったと思う。オルタナティブバンドとしての原点に回帰しつつも、今まで積み上げた経験を生かし、退廃的なダウナーさをしっかり持ち込んだ楽曲の数々はパッと聴いただけではインパクトは正直強いとは思えないけど、それでも聴き込む程にその魅力が伝わってくる楽曲だと思った。
 そして木下氏の「ただいま」の一声に湧き上がるフロア、後半は一期アートの名曲を惜しみなく披露。「車輪の下」のイントロのベースラインを中尾氏が弾き倒した瞬間に、フロアの温度は一気に上がったと思う。新曲ラッシュの時は静かに見守ってるといった感じだったフロアも一気にテンションが高くなり、やはり初期の青臭い疾走感に満ちた楽曲はファンの間でも未だに高い人気を誇っているし、僕が青春時代に愛聴した楽曲にこうして改めて触れたら何ともいえない感傷に襲われてしまった。「水の中のナイフ」なんてイントロのまんまNIRVANAなリフが鳴った瞬間に本当に色々な感情を越えた熱い何かが自分の中で湧き上がったし、「プール」の感傷的なギターフレーズも、「UNDER MY SKIN」の絶望的な美しさも、「ロリータキルズミー」の青い疾走も数多くの思い出と共に耳に入って来て、心の青い部分に確かに響いてきたし、グランジ・オルタナ路線に回帰した新曲と一期の青臭い少年の叫びとも言える初期衝動に満ちた楽曲郡は確かにリンクしていた。二期以降様々な方向性に良い意味でも悪い意味でも走ったアートではあるけれども、やはり彼等はオルタナティブロックバンドである事を再認識させられた。最後に披露した新曲は、ミドルテンポの儚く美しい一曲。この絶望的な輝きはやはりアート特有の物であるし、その核は何も変わってはいなかった。
 アンコールでは初期の名曲「MISS WORLD」を披露。ブリッジミュートのシンプルな刻みのイントロからサビで爆音になり、木下氏の儚く痛々しい声が響き渡る。アートはその痛々しさと儚さが持ち味であり、初期の名曲を今回のライブで多く披露していたが、その揺ぎ無い思春期の絶望と救いを求める痛々しい声と共に新生アートは確かな輝きを放っていた。



セットリスト

1.新曲
2.新曲
3.新曲
4.新曲
5.新曲
6.新曲
7.新曲
8.車輪の下
9.水の中のナイフ
10.あと10秒で
11.プール
12.UNDER MY SKIN
13.ロリータキルズミー
14.新曲

en.MISS WORLD



 今回のフリーライブは一時間弱のセットではあったが、新曲も初期の楽曲も含めてオルタナティブバンドとしてアートは帰って来た事を実感したし、中尾氏&藤田氏のリズム隊の屈強さは本当にオルタナティブバンドとしてのアートに新たな刺激を与えていた。そして僕も含めて初期からアートを聴いている人も、そうでない人も含め、本当に多くの人々が新生アートの誕生を心から待ち望んでいたという事実こそ、彼等が多くの人に必要とされるバンドである事の証明になったと思う。キューンレコードへの移籍と、夏に新作の発表がアナウンスされ、いよいよアートが前線に帰ってくるが、10年以上に渡っても本当に変わらない青い絶望と光の音楽は、まだまだ多くの人が待ち望んでいる。それを再確認出来ただけでも今回のフリーライブに足を運んで良かったと思う。
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