■2001-2002/Zeroid

極悪なバンドを多く生み出している激情帝国の一つであるドイツ。どこまでも無慈悲でヴァイオレンスなバンドが蠢くジャーマン激情界だが、Zeroidもそんなドイツから登場した猛者だ。今作は彼等の初期2作品をコンパイルした編集盤であり、アルバム2枚分を収録している為、全22曲にも渡る濃密過ぎる一枚だと言える。そして軟弱さなど微塵も存在しない破滅のハードコアの死神が高笑いを上げている作品だ。
のっけから怒りのスラッジリフが炸裂しまくり、既に只事じゃない様相を呈しているが、カオティックさも交えながら悪の軍隊みたいなリフが行進し、そこから急激にBPMを上げて高速のヴァイオレンス激情の世界の悪夢へと聴き手を巻き込んでいく。最早輪郭を失い黒い音塊と化したギターの音圧の凄まじさと、重戦車の如し圧殺感でなぎ倒すビートが生み出す音の重みが本当に尋常じゃないレベルに達している。メロディアスさを追求したりする真似は一切せずに、悲壮感ばかり伝わってくる旋律を黒の重装備によって閉塞と窒息の行く末みたいな終末観に満ちている。基本的には暴走カオティックヴァイオレンス激情と言える音ではあるが所々に散りばめられたスラッジ要素で楽曲に変化をつけ展開させ、その重圧を決して変えずに、BPMの変化だけで急降下する絶望絵巻へと仕立て上げてくるから凄い。今作はアルバム2枚をコンパイルした作品ではあるが2作品に大きな変化は無く、敢えて言うなら後半の楽曲は少し洗練されメロディの輪郭が見えている部分位しか大きな差は無かったりする。今作で徹底して貫かれている悲痛な痛みを放出する激情の揺ぎ無さと、それを強靭なタフネスで打つ鳴らす彼等は本当に頼もしく思える。後半の楽曲とかはニュースクールハードコア好きにもアピール出来たりもする要素があったりするけど、僕個人としては前半の楽曲郡の黒煙渦巻く音の濁流が止め処無く押し寄せてくる極悪さが本当に好きである。速さと遅さと重さを絶妙なバランスで保ちつつも、そのバランスすら破壊してしまっているドス黒い絶望のアンサンブル、カオティックと激情を極限まで高めた末に行き着く奈落のハードコア。ジャーマン激情はヴァイオレンスさとダークさが際立つバンドが多い印象があるけれど、その中でも彼等の全てを放棄してしまいそうなレベルまで達した憎悪の塊は心が押し潰されそうになるのだ。