■Ample Fire Within/Ascend
![]() | アンプル・ファイアー・ウィズイン (2008/07/11) アセンド 商品詳細を見る |
SUNN O)))の片割れであるGreg AndersonがGentry Densleyと結成したドローンユニットがこのAscendである。今作は2008年に発表された1stアルバムだ。ドローンというよりもミニマム的な作品となっていると言った方が正しいだろうか?SUNN O)))に通じる凶悪な地獄の音も確かに全編を通して存在はしているが、それを売りにしている作品ではない。もっとミクロな形での残響が頭に残ってしまう物だ。
第1曲「The Obelisk Of Kolob」を聴けばわかるが確かに凶悪な地獄のドローンノイズが存在はしているが、それはSUNN O)))よりも聴き易い部類の音だし、尺も4分半と短め。それに終盤の様々な音が福音の如く鳴り響く神々しいパートまでの前フリとしてあくまで凶悪なノイズは使われているのだと思えてくるし、明らかにSUNN O)))とは違う。というか比較する物ではない。この作品はあくまでも殺人的爆音を売りにしてる訳ではないのだから。(でも爆音で聴けば聴くほど脳髄に良い効果があるのはSUNN O)))と一緒)
全曲通して反復的なドローン×ミニマムサウンドが展開されてはいるが、様々なゲストが鳴らす楽器の数々が楽曲に変化をつけているからドローンに慣れてない人でも全く退屈せずに楽しめる。あと一音一音の音色や残響音の余韻まで徹底的に拘った録音も非常に大きな部分だ。
同じSUNN O)))のStephen O'MalleyがKTLやKhanateで目指したのはより凶悪な地獄の音であったが、Greg AndersonはこのAscendで最近のEarthに通じるオーガニックであり、自然の力の様な物を表現しようとしたのではないかと思う。メロディで民族音楽的なフレーズが出てきたりするのも、このような部分で見ると納得出来てしまう。このAscendで培った物はSUNN O)))の「Monoliths & Dimensions」にも繋がっていると思えるのが非常に面白かったりする。暴力的な地獄の轟音に頼らず、オーガニックなドローンを作り出した快作だろう。かなり聴き易い音源なんでドローン初心者の人も是非とも頭を空っぽにしながら聴いて欲しい。