■ENTERTAINMENT/SEKAI NO OWARI
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最早武道館ライブまでしているし、完全に人気バンドの仲間入りしてしまっているセカオワの意外な事に初の2012年リリースの1stフルアルバム。元々は「世界の終わり」と名乗っており、その当時は彼等に対してかなりアンチに近い感情を抱いていたが、改名後に一気に化け始め、今作では改名後の成長と進化を見せ付けるに相応しい作品に仕上がったと思う。ポップである事を徹底的に突き詰めた作品だ。
彼等の評価はボーカルの深瀬氏の色々とアレな言動だったり、色々と超越している歌詞だったり、変則的なバンド編成だったり、DJ LOVEがピエロだったりとそうゆう話ばっかり出てきている気がするが、彼等の音楽性はどこまでもポップであるのだ、彼等が登場した当時の音はそのポップさが正直言うと平凡だなって評価だったのだが、現在のセカオワは、正統派ポップスとしてただ単純に良い曲を作り続けるバンドになったと思う。アルバムに先駆けてリリースされたいたシングル曲も完成度が高かったし、特にギターである中島氏が作曲する楽曲が多くなり、バンドの作曲面でのメインコンポーザーになった事は本当に大きい。それとリズム隊不在で打ち込み主体のビートというバンドとしては弱点になりかねない要素をカバーし、より楽曲その物を洗練させた事も進化の秘訣になっている。ワンパターンだったアレンジも幅が広がり、カノン進行中心に作られた楽曲ばかりでありながらも、アレンジ等で方向性を少しずつ変化を付ける事によるある種のスタンダードさを逆手に取って、ありがちなコード進行だからこその取っ付き易さを生かしてくるのだ。歌詞も初期の頃の痛さが超越して狂気まで感じさせる楽曲もありつつも、大半の楽曲がその痛さがマイルドになりファンタジー要素のある物になっているからこそ、歌物であるが故に歌詞が前に出てしまい、歌詞の要素から彼等を嫌悪していた人でも彼等に対する評価を変えるだけの物になっているだろう。言うなればアニソンと古き良きJ-POPの両方のポップさを併せ持つのが今のセカオワのポップさの秘訣だし最大の武器になっている。打ち込み主体のサウンドだからこそ栄えるダンサブルなポップさと、高揚感に満ちた第2曲「スターライトパレード」、やたら切れ味のあるカッティング主体のギターワークが渋く、緩やかに熱量を高めつつもフラットさを保っているが故にすんなりと耳に入り込む心地良さを持つ第5曲「不死鳥」、反復するアコギとピアノのフレーズがヒップホップ風のトラックとなり、その反復による不穏さを出しながら、サビではストリングが前面出てシリアスさを高める狂気的セカオワの代名詞になるであろう第7曲「Love the warz」、ファンキーなワルツとも言うべき第9曲「生物学的幻想曲」、ポジティブなエネルギーと躍動感あるバンド感を前面に出した第14曲「Fight Music」、童謡チックなアレンジと旋律が光る最終曲「深い森」が個人的には今作の中でもセカオワの成長を強く感じた楽曲だ。
収録楽曲も16曲と特盛だし、正直に言ってしまうと楽曲毎の完成度にはブレこそあるが、それでもかなり聴き所の多いポップアルバムに仕上がっている。元々アンチであった僕だったけど、彼等のポップネスは認めざる得ないし、改名後の確変入った彼等の一つの集大成として今作は存在している。期待以上の洗練と成長があるし、純粋にポップバンドとしてセカオワは高い完成度を持っている。これから先、更に化ける可能性があるとも思うし、これからに対する期待が更に高まる1stになった。
■コメント
■Re: ENTERTAINMENT/SEKAI NO OWARI [雲海]
地味にチェックさせてもらってるぜー