■いいにおいのするDARK SUMMER TOUR 2012(2012年7月22日)@渋谷eggman

 ブラックメタルの代表格であるMayhemの元メンバーであり、SUNN O)))の準メンバーとしても御馴染みのAttila Csihar来日!本当に様々な方面でグレイトな海外バンドを呼んでいるいいにおいが企画するライブシリーズの東京編!!残念ながらキャンセルになってしまったが、本来はポストブラックの代表格の一つであるKralliceも参戦予定だったという豪華さ。Kralliceのキャンセルは非常に残念だったが、それでもAttilaを迎え撃つ国内勢も全然負けていない。激情とブラックメタルから冷徹なる音を鳴らすCoholと、国内ブラックメタルの大将ことSigh、いいにおいシリーズでは最早御馴染みのVampilliaと特濃過ぎるイベント!!そしてスタートと同時に会場のeggmanに入ったが、本当に人が多い!!正直想像以上の客入りで大盛況だった。そしてブラックメタルTシャツ率の高さよ。やはり黒い方々は多く潜んでいるのだなと思ったりもした。



・Cohol

 イベントは18時半ほぼきっかりにスタート。一発目はブラックメタルと激情系ハードコアを組み合わせ、深遠なる暗黒を鳴らすCohol!!前回観たKoiwa Death Fest.では寝坊による遅刻で半分しか観れず悔しい思いをしたが今回はしっかり個人的なリベンジを果たせた。そんな話はどうでも良いとして、今回はたった20分のアクトで正直言うと短いとも思ったが、そんなのどうでも良くなるレベルで文字通り懇親のアクト。KYOSUKE氏が怒涛のブラストビートを叩きつけ、HIROMASA氏が5弦ベースを巧みに操りながら、声帯が引き千切れんばかりの激情のボーカルを魅せ、ITARU氏は柵に何度も登り観客を煽りながら、静謐で凍りつきそうなアルペジオを盛り込みつつも、トレモロリフの洪水を巻き起こしながらこちらは低域デスで地獄を作り出す。たった3曲のアクトではあったが、今日のライブでは本当に1曲1曲が全て奈落の底とか最果てへと暴走する様なテンションがあったし、冷徹で漆黒のCohol節としか言えない激情が炸裂しまくり、極東のエクストエリーム世界が目の前に広がっていた。3ピースでここまで重厚な音を作り上げているのも凄いけど、その重厚さが全て絶望や悲しみへと向かい、極限の激情と化すCoholはやはり別格のバンドだ。エクストリーム極まりない面子しかいない今回のイベントでも圧倒的な存在感を見せ付けていた。

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・Sigh

 そして日本のブラックメタルの代表格である川嶋未来氏率いるSighのアクト。結論から言うと最高に楽しいライブをしてくれた。マイクスタンドに牛の頭の骨、飾られた蝋燭、火を放つシンセと視覚的にも楽しめるバンドだし、まず楽器隊の安定感が凄い。川嶋氏とミカンニバル嬢のパフォーマンスがやはり目立つが、音楽的にもブラックを越え、スラッシュやシンフォニックといった要素を取り入れ、それをド直球に叩き付けるアクトはそれだけでヘドバン間違い無し!そしてパフォーマンスが凄い!ミカンニバル嬢が本を燃やしたり、川嶋氏が火を燃え上がらせたり、とにかくやり過ぎ感が堪らないし、音楽的にもテンション上がりまくりで最高に楽しめるのに、視覚的な部分でも盛り上げてくれるからそりゃ今回ダントツで一番の盛り上がりだったのは言うまでもないだろう。スタスタと小気味良いドラムのビートと、爆音で歪んでいながら安定感のあるベースに、ザックリ切り刻みながらソロではここぞと泣いてくるギターと、最高にシンフォニックな川嶋氏のシンセの音と、川嶋氏とミカンニバル嬢のボーカルがぶつかり合う!!そりゃもう興奮するしか無いのだ!!40分程と少し長めのアクトだったにも関わらず、その楽しさが勝り本当にあっという間の時間だった。最後はミカンニバル嬢が低温蝋燭を自らに垂らしながらパンツに手を入れる公開オナニーというクライマックス。MCで「今日マスターベーションするとか言ってた奴、やってくれよ。」とか川嶋氏が言っていたし、それに便乗してのパフォーマンスだったのかな?ちょっと刺激強めでした。しかし徹底して観客のボルテージを上げまくるこれぞメタル!!と言わんばかりの楽曲とアクト、そしてブラックメタル最初期から現在まで活動を続ける猛者の貫禄を完全に発揮していたし、最高に笑顔になれるアクトだった。またSighを観たい!!と心から思う。

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・Vampillia

 いいにおいシリーズでは完全に御馴染みとなっているVampillia。彼等を見るのは今回が初めてだし、吉田達也氏と竜巻太郎氏のツインドラムセットと聞いて楽しみにせずにはいられなかったが、ブルータルオペラの名に恥じないアクトだった。彼等の楽曲は全然知らなかったりするが、まずは厳かなピアノとヴァイオリンの音が始まりを告げ、そこに空間系エフェクターを多数使用したギターが優しい音を静かに広げていく、その静寂の余韻からドラマーの二人が入り、そして前田敦子みたいなお面をした男性ボーカルが登場してから一気にその熱量を高めカタルシスへと雪崩れ込む。デスボイスとギターボーカルの女性のさながらオペラみたいな相反する声が何故か見事に調和し合い、そして正確無比でありながらとんでもない手数を魅せるツインドラム対決、ピアノやヴァイオリンがその音に厳かさと神秘性を加え、静寂と轟音を繰り返しながらストーリーは進行していく。時に寓話の世界を思わせるピアノのフレーズがファンタジーを作ったと思えば、デスボイスと轟音がそれを破壊する。美と醜さの対比と言えば良いのだろうけど、そんなチャチな言葉では表せない、エクスペリメンタルオーケストラが繰り譜広げられる。そして終盤になると今回のイベントの主役であるAttilaが乱入!予想はしていたけれど、それでもテンションは上がるしか無かったし、彼の多彩な暗黒ボーカルはVampilliaに新たな色を加えるし、VampilliaもAttilaの存在感に全く負けていない。そして最後はトリプルボーカルでの絶唱でエンディングというこれ以上に無い美しく残酷なクライマックス。ほぼノンストップであったが、ここまで異次元と非現実を音楽で生み出す多くの猛者による狂騒のオーケストラにはただ脱帽するだけである。

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・Void Ov Voices

 そしてトリは本日の主役であるAttilaのソロユニットであるVoid Ov Voicesのアクト。ほぼ暗闇に近い状態になったステージで黒いローブに青い照明を取り付け果てにはスモークまで噴出するという超謎衣装でAttilaは登場。キーボードとか機材とか蝋燭とか置かれたテーブルのみのセットは本当にこれから別の暗黒へと連れて行かれる予感しかしなかった。音楽的にはAttilaのお家芸である多彩な暗黒ボーカルを変化させたりループさせたりとボーカル主体で楽曲を作り上げるアンビエントな音楽。そしてSUNN O)))ですら裸足で逃げてしまうであろう地獄の洞穴から聞こえる呻き声ボーカルが無数に重なり合い、それに加えて、地獄の空気を生み出すアンビエントノイズの競演。もうeggmanは完全なる黄泉の国へと変貌しており、多くの観客がAttilaが繰り広げる闇の儀式を固唾を飲んで見守っていた。個人的には中盤のインダストリアル風味な無機質なビートを主体にトラックが進行し、そこにAttilaの呪いの声が乗るパートがかなりキテ、今までくぐもった閉塞感から開放されたと共に、また別の奈落へと連れて行かれる様な感覚を味わったりもした。一時間程のアクトであり、その音楽性もあって途中で少しダレたりするかななんて思ってもいたけど、そんな事は全く無し、ミニマルであり、分かり易いカタルシスも無い、聴き手を確実に選ぶ音ではあったが、それでも目の前で繰り広げられる闇と闇が交わり坩堝となり、更なる漆黒を生み出す光景はAttilaだからこそ生み出せる物だっただろうし。アクトが終わってからの観客の盛大極まりない拍手を聞くまで、eggmanにいた人々は確実に涅槃や奈落と行った世界へと連れ去られていただろう。

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 4バンドそれぞれが現実を破壊する異次元の音を鳴らす闇の日曜日とも言うべき今回のイベントは本当に非日常へと連れて行かれる思いで一杯となった。今回初めていいにおいシリーズに足を運んだが、ここまで特濃のイベントを開いてくれた事に感謝したいし、渋谷を確実に闇に染める異次元が確かにeggmanに存在していた。今でも目の前で繰り広げられた4つのアクトは本当に現実だったのかと疑問に思いたくもなる、そんなイベントだったし、いいにおいシリーズにはこれからも特別な夜を作り続けて欲しいと心から思う。
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