■NoLA、椚田建ロングインタビュー

今年に入って、機会があってNoLAというバンドを知った。NoLAは新宿ANTIKNOCKや登戸STARGICROOMを中心に活動する僅か19歳のベースレス3ピースバンドである。そして今年リリースされた1st音源である「DISORDERLY」(当ブログのレビューはこちらから)で僕は初めて彼等の音に触れたが、本当にぶっ飛ばされた。トラッシュなメタルとかグラインドコアとかカオティックハードコア、果てにはドゥームにまで行き着いた完全なるクロスオーバーな音、キャッチーさやナヨさを完全に削ぎ落とし、狂気と殺気でブルータルに攻めまくる熾烈過ぎる音。僅か19歳にして、重さも速さも遅さも混沌も自在に操るエクストリームサウンドを生み出し、メタルとかハードコアとかいった垣根を完全に越える事に成功してしまっていたのだ。今回、この若き猛者であるNoLAについてもっと多くの人に知って貰いたいと思い、またNoLAが放つブルータルな狂気の源を少しでも知りたいと個人的に思い、ボーカルの椚田建氏にインタビューをする運びになった。椚田氏は丁寧にNoLAの音についてと、1st音源である「DISORDERLY」についてと、NoLAが持つ野心について語ってくれた。本当に音楽のジャンルとかそういった物の細分化が進んでいる現在に、必然的に登場したと断言できる若武者NoLAについて少しでも興味を持って頂ければ幸いだし、若き恐怖のエクストリームサウンドの猛者が生み出す極悪極まりない音塊にはブチのめされる事は間違い無い筈だ
■まずはNoLAの結成や現在に至るまでの経緯を教えて下さい。
椚田:元々今のNoLAのギターとドラムがTHE IMMIGRANTSという3ピースバンドを組んでて、そのバンドを脱退したんです。その時にひたすらバンドが組みたかったのに友達もいなく何も出来ずに腐ってた自分を見つけてひっぱり出してくれて、バンド結成に至りました。自分が入ったNoLA結成当時はベースも居て、4人編成だったんですけど、ベースとは中々折が合わずに2回もベースが代わって、結成1年ちょっとで今のベースレス3ピースになりました。
■NoLAのメンバーが影響を受けたり好きなバンド等について教えて下さい。
椚田:メンバー全員NIRVANAとJohn FruscianteとRadioheadが好きで、メタルだったらPANTERAとSLAYERとKorn。そのバンドがNoLAに与えた影響は凄まじいですね
■ボーカル、ギター、ドラムのベースレスでの3ピースという編成ですが、Discordance AxisやMORTALIZED等のグラインドコアのバンドを意識していたり影響を受けていたりしますか?
椚田:申し訳ないですが、そこに挙げられたバンド一つも知らないです。ベースレスでも出来ると思ったのは日本のバンドが多いですね。ZENANDS GOTSとか、URBAN PREDATORとか、SEI WITH MASTER OF RAMとか。外国のバンドで言うと、The White Stripsとか。なので外国のバンドからはほとんど影響は受けてないですね
■NoLAはスラッシュメタルやカオティックハードコアやグラインドコアやドゥーム等の音楽性を持っていますが、結成当初はどのような音楽性でしたか?
椚田:もっと単純でした。馬鹿でちょっと渋めなメタルでしたね。今もそうとる人もいるかも知れないですが。
■NoLAが現在の音に行き着いた経緯を教えて下さい。
椚田:好きな音を自分達の出来る範囲で好きなように再現していったら今の音に落ち着きました。まだ満足している訳じゃなくて、もっと進化します。
■新宿ANTIKNOCKを中心にライブ活動を行ってますが、ANTIKNOCKという名門を拠点にしたのはどのような経緯からですか?またアンチノックでライブをする事で自分達にどの様な影響とかがありましたか?
椚田:元々拠点は登戸STARGICROOMというライブハウスで活動していて、活動の幅を大きくする為に新宿ANTIKNOCKをまず最初に選びました。新宿ANTIKNOCKはメンバー全員の憧れのライブハウスで、同時に近づきがたいというか、怖いライブハウスでもありました。そこでライブをすることによって自分達の経験値は確実に高まると思ったし、ライブするようになったらなったで、皆いい人たちばかりで、出演しているバンドもいいバンドばかりだし。離れられなくなってしまいました。
■新宿ANTIKNOCK以外にはどのようなライブハウスで主にライブをしていますか?
椚田:先ほどの質問でも名前を挙げた登戸STARGICROOM、新松戸FIREBIRD、立川BABEL、新大久保EARTHDOM、渋谷CYCLONE等ですかね。9月からは東高円寺音響二万電圧にも出演させて頂きます。
■NoLAは19歳というメンバーの若さにも注目されていたりしますが、その事は自分自身ではどう思っていますか?
椚田:歳が若いってだけで、少しでも注目されるのは得なことだと思ってます。同時にありがたいです。19歳にして、環境のいい所でライブ活動が出来るのも周りの人達のおかげですからね。音楽を心の底からやりたくても周りの人に恵まれなくて悶々としてる人達は山のようにいるでしょうから、自分達は本当に運のいいバンドなんだなって心底感じます。
■NoLAの音楽性と言いますと、ナヨさやそういった部分を完全に排除して徹底してブルータルで極悪な音を鳴らしてますが、その事に拘りとかありましたら教えて下さい。
椚田:鳴らしたい音を鳴らしてるだけなので、特に拘りとかはないですが。なんというか真の恐怖は笑いと紙一重だと思ってるんです。
本当の絶望だったり憎しみだったり狂気だったりを目の当たりにした人間は恐怖を通り越して笑ってしまう。訳も分からず震える、笑う、NoLAはそれをお客さんに与えたい。音を楽しむのではなく、音を苦しんで、音に恐怖して、音に笑ってほしい。そういう音を届けられるようになりたいですね。
■今年発売された1st音源である「DISORDERLY」について質問しますが、この作品に収録されてる楽曲はメタルやハードコアが完全にクロスオーバーしてますし、果てはドゥームにまで行き着いた作品ですが、NoLAがそういったクロスオーバーな音を鳴らす必然みたいな物ってありますか?
椚田:NoLAが出来ることは人々に音を聴かせて単純に楽しませるんじゃなくて、奈落の底に突き落とすこと。突き落とされた先の気持ちよさを味わってほしい。そう考えて今までNoLAが聴いてきたリスペクトしてる音楽を自分達流に解釈して、これだと思った音を鳴らしている。ただそれだけのことです。
■「DISORDERLY」は具体的にどのような作品にしたい!とかこんな音にしたいとか!どのような意識で作りましたか?詳しく教えて下さい。
椚田:十代のうちに、胸を張って誇れる作品を作りたかった。自分達だからこそ出来る音を表現したかった。十代だからってナメんなよって意識も若干ありましたね。1stアルバムってなんでも絶対的にかっこいいものでなきゃいけないし、2ndのことも視野に入れて作らなきゃいけないと思ってるからかなり大事に作りました。リアルな話をすると、ライブ活動する面でちゃんとした音源があるとないとじゃ全然違うと思うし、周りのNoLAを担いでくれている人達にCDという形でお礼もしたかったんですよ。後はNoLAが次のステップに進む為の精算っていうのもありますね。
■「DISORDERLY」に収録されてる楽曲についてそれぞれ解説なんかをお願いします。
椚田:CDを聴いてくれる方々の自由な解釈に委ねます。
■人によってはメタルと見るし、ハードコアとも見るし、NoLAは多くの人を巻き込める音を放っていると僕は思いますが、自分自身ではメタルである事やハードコアである事に拘りはありますか?
椚田:ありがとうございます。やっぱりNoLAに合ってるんですよ、メタルやハードコアであることが。それが自分達の中で1番伝えやすいし、1番美しい方法だと思ってるんです。
■NoLAというバンドの精神的な部分での拘りや核みたいな物について教えて下さい。
椚田:いつでも自分達は周りのおかげで生きているんだって事を実感して、それに感謝すること。後は自分達の力を信じること。過大評価しすぎない程度に。自分達は芸術家として心置きなく表現させてもらっているんだということを常に感謝し、幸せを感じる心を本当に大事にしています。
■自分達で考えるNoLAにしかない個性とかそういった物について教えて下さい。
椚田:陰鬱な力じゃないですかね。これはもうどのバンドにも負ける気がしませんね。恐怖や狂気にたいしての表現力もNoLAにしか出せないものがあると思っています。
■NoLAはそのライブの凄まじさも話題になっていますが、ライブに対する想いや拘りについて教えて下さい。
椚田:とにかく、恐怖を通り越した笑いの世界を体感出来ればと。後は素っ裸の自分をさらけ出すこと。狂気の中にある、寂しさや、繊細さ、美しさも、自分の体で表現して、見ているお客さんに伝わればと思ってやってます。どう捉えようとお客さんの自由なんですけどね。
■NoLAはTHE CREATOR OF、GxSxD、AWAKED、小手といった俗に言う先輩格の猛者とも積極的にライブをしていますが、そういったシーンを築いた猛者と一緒にライブをする事でNoLAにとってどのような気持ちだったりとかってのはありますか?
椚田:自分達が本気でリスペクトしているバンドにNoLAを観てほしいし、そういった先輩方とライブをやることで、自分達の成長にも繋がりますからね。要するにぶっ倒したいってことです。
■積極的に一緒にライブをやったり、交流しているバンドとか教えて下さい。
椚田:定期的に"Yutori Thrash"というタイトルの共同企画をDEADLY PILESというバンドと共にやっています。DEADLY PILESは新宿ANTIKNOCKで出会い、互いに通ずるものがあったので、仲良くさせて頂いています。他に共演させて頂いてるバンドは小手、ZENANDS GOTS、juki、VAIN、おまわりさん、hollywood mammoth、一寸笑劇、SEI WITH MASTER OF RAMなどです。
■自分達と同世代でシンパシーを感じたりするバンドはいますか?
椚田:同世代ではないですが、URBAN PREDATORやおまわりさんやjukiなんかは同じ匂いというか、共通するものを感じますね。
■今のライブハウスのシーンや音楽シーンに対して思う事とかありましたら教えて下さい。
椚田:今はCDも中々売れないし、ライブなんて観ようと思えばYoutubeなんかでいくらでも観れてしまう。それだけ今の音楽が手軽になってしまっているのって、つまらないし、もったいないと思う。もっと自分達の表現の場をライブハウスに集中させるべきですよ。
ライブの動画も溢れかえりすぎてて本当にそれでいいのかとも思ってしまいます。情報をネット等で公開するんだったらもっと映像でしか出来ない面白い物を作ればいいと思うし、音源はネットなんかでタダで手に入るそんな手軽なものじゃない。レコードやCDは形があって、手に取れる物であるべきなんです。それは音楽のみではなくて、映画、演劇、美術、芸術全般そうだと思っています。今の日本の音楽シーンって本当に価値ある素晴らしいものなんですよ。だからこそ、ライブはライブハウスに行って生の音を体感すべきだし、ネットなんかで、観た気になったり聴いた気になったりしているのは間違いだと思いますね。
■NoLAはライブハウスのシーンや音楽シーンにどの様に斬り込んで、どのような変化を与えたいとかありますか?
椚田:何か一つの物事が自分の想像の範囲内だと人って平然としているんですよ。でもほんの小さな無秩序で何かをひっくり返すと、人は頭の中で混沌に陥るんです。その混沌の原因って恐怖から来るんだと思ってます。そんな小さな無秩序と恐怖を与えて、自分達を混沌に陥れてくれるバンドが中々いないんですよね。楽しもう!みたいなのばっかりなんですよ。だからNoLAではそんな刺激と興奮をライブハウスという独特の空間で味わって頂けたらこれほど嬉しいことはないと思っています。今のライブハウスにはあまり刺激や興奮やスリルが足らない気がするんです。それをNoLAが今の音楽シーン全体に取り戻せたらなと思っています
■「DISORDERLY」は本当に各所で話題になり、NoLAの名前を広げるのに一役買ったと思いますが、今後は自分達の音楽性はどの様に変化し進化していくと思いますか?
椚田:嬉しいお言葉ありがとうございます。今後はより美しく、それでいてより混沌な音になっていくんじゃないですかね。色々なジャンルを飲み込んでそれを自分達の音にし、混沌な音にして吐き出す。聴いてる人の頭の中のルールを壊して、無秩序を生み出し、そこに恐怖を通り越した笑いを再現できる音により一層進化させていきたいと感じています
■最後に今後のビジョンや活動について教えて下さい。
椚田:これからは作曲活動をしながら、それと同様にライブ活動も今まで通りのペースで行っていきます。NoLA自主企画も2012年8月19日@新宿ANTIKNOCKを皮切りに3,4ヶ月おきに行います。新曲も自主企画の度に毎回1曲づつ披露します。そして地方でもどんどんライブをやっていきます。
地方の日程は
2012年8月24日@大阪 火影 -HOKAGE-
2012年10月12日@新松戸 FIREBIRD
2012年10月21日@高崎 SUNBURST
2012年10月25日@稲毛 K'S DREAM
2012年11月9日@甲府 KAZOO HALL
となっています。
活動の幅もどんどん広げて、次のCDリリースに向けて今はひたすら作曲活動とライブ活動に専念するのみです。
インタビューでも宣言している通り、NoLAは今後も作曲活動と、ライブ活動を精力的に行い、その悪意と恐怖を全国へと拡散させていく予定だ。まずは2012年8月19日に新宿ANTIKNOCKにて自主企画を敢行する。NoLAだけではなく、他の出演者もエクストリームな音を放出する猛者ばかりで、実におぞましい邪悪な夜になる事は間違い無いだろうし、僕自身も足を運ぶ予定だ。お近くの方や時間のある方や、エクストリームな音に飢えている方は是非とも足を運んで頂きたい。

2012年8月19日(日)『NoLA presents DISORDERLY~癸~』
新宿ANTIKNOCK
open/start 18:00/18:30 ticket adv1,700/door2,000(別途1D)
・NoLA
・小手
・hollywood mammoth
・おまわりさん
・ZENANDS GOTS
・一寸笑劇
↓OFFICIAL VIDEO
NoLAオフィシャルTwitter:https://twitter.com/NoLA_OFFICIAL
NoLA audioleaf:http://www.audioleaf.com/nola_japanse_metal/
購入(diskunion):http://diskunion.net/metal/ct/detail/PNK1204-900