■揺ラシツヅケル/COWPERS


揺ラシツヅケル揺ラシツヅケル
(2000/07/26)
COWPERS

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 bloodthirsty butchers、eastern youth、fOUL、キウイロールetc、もう本当に数え切れない位に90年代から国内エモ・オルタナティブロックの最重要バンドを排出しまくっている北海道という場所だが、その北海道バンドの中でも最重要中の最重要バンドだと個人的に思うのがこのCOWPERSだ。Drive Like Jehuから始まったポストハードコア・エモの流れを汲み取りながらも、それをDLJの先へと完全に繋げたバンドであり、国内ポストハードコア・エモを語る上で外してはいけないバンドだと思う。そんな彼等のラストアルバムとなった2ndアルバムである今作は紛れも無く日本のエモ・ポストハードコアの最高峰に位置する金字塔だ。



 ツインギターの絡み、不協和音中心のコード進行、スライド・チョーキング多用のギターワークなんかはもう完全にDLJの流れから来てるのに、全く別物であり、エモーショナルロックの血肉を生かしたのがCOWPERSであるが、今作は歌という部分に完全に重きを置いて、DLJが行き着けなかった場所へと行き着いた作品になっている。第1曲「玻璃」がもう本当に必殺の1曲となっており、不協和音のストロークから絡みつくチョーキングとスライド多用のギターワーク、疾走感と破壊衝動を封印し、ミドルテンポでタイトなビート、複雑に絡み合い、不協和音すらメロウに聴かせてしまい、何よりも現動氏の歌が映えに映えて、涙腺を殴りに来るんだもの!!今作は本当に歌という部分に重きを置いた作品であり、前作「Lost Days」の様な爆音がドライブするサウンドを封印しながらも、完全に血肉と化したポストハードコアとしてのサウンドを歌を生かす為の物にしているし、彼等の方法論でUSハードコアとジャパニーズエモのハイブリットとも言うべき音に仕上げてしまったのだ。歌と絶唱が交錯する第2曲「ヤガテソコニ至ル」も魂が震え上がるし、ディスコードの中で燃え上がる哀愁に満ちている第3曲「予感」、どの楽曲も本当に必殺の涙腺破壊激エモポストハードコアになっている。シングルカットされた第5曲「斜陽」は今作の中でも一番疾走感のある1曲ではあるけれども、それでも現動氏の歌を生かすサウンドだし、サビのシンガロングパートと共に現動氏が魂の叫びを聴かせる。そして後半の楽曲は特にミドルテンポさを強調し、楽曲の尺も長めの曲が多くなっている。第7曲「8/1」はシンプルな音数のビートと共に、チョーキング中心のギターワークをやや不規則に鳴らしつつ、その歪さの中で絶対にブレない歌をフューチャーし、タイトな静寂と、その空気を切り裂く不協和音の中で、あくまでもフラットなまま静かに流れる血液の流れみたいなサウンドを聴かせてくれる今作の中でも特に名曲と言える1曲になっているし、その後もメロウさが際立った曲が続き最後の最後での第10曲「錆色の月」にてクライマックスの彼方すら突き抜ける壮絶なエモーショナルポストハードコア絵巻で締めくくる。



 先ず何よりも全曲名曲だって言い切りたいレベルの完成度を誇り、その中でそれぞれの楽曲が「揺ラシツヅケル」という作品のストーリーテラーとなり、一つの物語を全くブレ無く作り上げたのが今作の凄みだと思う。しかしCOWPERSはその後の200mphとのスプリットにて発表した3曲で、今作の更に先を言った名曲を発表するが、3rdアルバムはリリースされずにその音源が最後の音となりバンドは解散してしまう。皮肉にもDLJ同様に残したオリジナルフルアルバムは2枚のみ、しかしその2枚が大きな痕跡となっているし、COWPERSをリスペクトするバンドマンも影響を受けた後続バンドも本当に多い。それだけの影響力と功績を彼等は間違いなく持っていたし、今作は今でもその輝きを失わないマスターピースとして僕たちの心を揺らし続けている。



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