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■Yellow & Green/Baroness


Yellow & GreenYellow & Green
(2012/07/17)
Baroness

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 前作「Blue Record」にてヘビィロックの金字塔を打ち立てたアートメタルバンドであるBaronessの2012年リリースの3rdアルバム。多くの人々が前作の先の彼等の音を待ち望んでいたと思うが、今作はまさかの2枚組でのリリースというかなり気合の入った作品だ。2枚合わせて全18曲収録、3年の月日を費やして作り上げた壮大な作品であるが、同時にこれまでのアートメタル・ヘビィロックバンドとしてのBaronessのイメージを完全に壊しにかかっている大問題作に仕上がったとも言える。



 初期のBaronessは確かにメタル色の強いバンドであったし、前作ではそこにブルースだのルーツミュージックの要素を色濃く出して新たなヘビィロックの形を打ち出したが、今作は2枚組でこそあるが楽曲もこれまで以上にコンパクトになっており、ヘビィロックの要素がかなり後退し、ボーカルも完全にクリーントーンの歌に移行し、普遍的なロックにかなり接近し、メロウさを打ち出し、本当に今までに無いレベルで間口の広い作品になっているのだ。ヘビィロックバンドの新星として登場した彼等がヘビィロックを置き去りにしたという事件が正に今作だと思う。決してヘビィさが全く無い作品ではないのだけれども、disc1の第2曲「Take My Bones Away」なんかはストーナーロックなギターリフ主体で進行しつつも、もう一方のギターがメロウなアルペジオを聴かせているし、ボーカルはドスの利いたシャウトを封印しこれまでに無いレベルで歌っている。本当にスタンダードなロックに接近しまくっている事が、この序盤の楽曲を聴くだけで明白だ。また彼等の持ち味である変拍子を組み合わせたビートなんかは健在ではあるけれども、今作ではそれらのプログレッシブな要素を前面には出さなくなっているし、あくまでもご飯にかけるふりかけ程度のアクセントとして機能させているという印象。そして何よりもコーラスワークが今作では大きなキモになっている気もする。ツインボーカルによるたおやかなクリーントーンの歌が今までに無いレベルで格段に抒情性が増幅した楽曲と見事なシンクロを見せている。disc1第4曲「Little Things」ではそれらの要素がかなり浮き彫りになっていおるし、ラストのブルースとサイケデリックさが前面に出たギターソロなんか本当に素晴らしいと思う。disc1第6曲「Cocainium」ではアコギ主体の進行で今までに無いリリカルさを見せ付けてくれているし、その中で数多くのライブをこなしまくったバンド自体の強度も際立っているし、仕舞には大胆にシンセを導入しているし、半ばインディーロックの領域に突入している驚きがある。その中でヘビィさを押し出しているdisc1第8曲「Sea Lungs」ですら一つの開放感がストーナーなサウンドとキャッチーさとリリカルさが柔らかに混ざり合ってすらいる新境地も見せる。disc2の方でもそれは全く変わらず、disc2第1曲「Green Theme」でもミドルテンポの優しい静謐な調べからスケールを膨張させる爆音サウンドへの以降がポジティブなエネルギーを発揮しているし、disc2第2曲「Board Up the House」では完全に歌物ロックを展開。disc2第4曲「Foolsong」では完全にアメリカーナな旋律を展開し、哀愁の泣きのサウンドと歌が炸裂しているし、コンパクトな楽曲構成の中で広がっていくスケールの広大さは正にアメリカンロックの叡智を受け継いだからこそ生み出せた物だと思う。特にdisc2第8曲「The Line Between」はこれまでのBaronessのサウンドを覗かせながらも、完全にネクストレベルに到達しているからこそ生まれた新たなヘビィロック抒情詩であり、今作での変化は迷走ではなく進化である事を見事に証明しているのだ。



 確かにヘビィさとプログレッシブさはかなり鳴りを潜めているし、これまでのファンの間では間違いなく賛否両論が巻き起こる問題作ではあるかもしれないけど、新たなファンを大量に獲得出来るであろう間口の広さと器の大きさが今のBaronessにはあると思うし、聴き込めば聴き込む程に良さが堪能出来る作品だと思う。確かにこれまでの作品に比べたらインパクトや即効性は少し弱いかもしれないけど、本当に長い時間付き合える作品だし、前作に引き続いてBaronessはまた最高のアルバムを作り上げてくれたって僕は手放しで絶賛したい。そして今作の先にあるBaronessの新たな進化が今から楽しみで仕方ないのだ。



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