■Bergtatt/Ulver
![]() | Bergtatt (2001/08/14) Ulver 商品詳細を見る |
ノルウェーの最重要ブラックメタルバンドの一つであるUlverの95年発表の1stアルバム。MayhemやBurzum等の初期ブラックメタル勢の中では若干知名度が低かったりするが、今作は初期ブラックメタルの中でも屈指の大名盤であり、現在の拡散されていってるシューゲージングブラックメタルのバンドにも通じる圧倒的な美しさと壮大な世界を見せ付ける幻想の御伽噺が5曲収録されており、全曲屈指の完成度を持っていると言っても過言ではない。
ブラックメタルらしいブラストビートや身を切り裂く轟音ギターは勿論健在であるが、その轟音の向こうにある神秘的なメロディの数々、そしてアコースティックなギターの音色もふんだんに取り入れており、展開も単調な物ではなく、大きなストーリー性を持って作られている。アコースティックの情緒的な音色が響いたと思ったらブラストビートが轟音の洪水に乗って暴力的に暴れ回り、そしてまた気付いたら深遠な歌とシンフォニックなメロディが琴線に触れて心を震わせる。
バンドサウンドの中に大々的にフューチャーされている、フルートやピアノの音もどこまでも効果的に世界観を徹底的に作り上げ、轟音の中でそれらの音が混ざり合って、屈指の哀愁と、深い森の中で鳴り響く賛美歌の様な神々しさをもたらしている。そしてGarmのボーカルはその世界を更に狂気と美しさで塗り潰してしまっている、この世界は唯一無二の圧倒的な完成度を誇り、ブラックメタルの一つの到達点に達しってしまっているのではないだろうか。最初から最後まで全く息をつく暇が無い、自然界の野生と理性が同居し、獣の凶暴さと、大樹の様に堂々とした音と、妖精と悪魔が踊り狂う幻想の世界に飲み込まれてしまう。
深遠で美しいメロディと激情と穏やかさが見事に融合したサウンド、徹底して作りこまれている楽曲と、ブラックメタルのシーンの中で堂々と輝いている金字塔だ。初期のブラックメタルのシーンの中では全く単調な音楽ではないから本当に異色の作品だし、どうしても取っ付き辛さがあるブラックメタルの中でもかなり聴き易い部類の音だったりするので、ブラックメタル初心者にも是非聴いて頂きたい。この神話の様な世界は本当に唯一無二であるから。