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■Mass V/Amenra

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 ベルギーの激重激情神として名高く、昨年は日本のTokyo Jupiterからも編集盤がリリースされたりと日本でも着実にその存在感を知らしめているが、そんな彼等がNeurosis自身のレーベルNeurot Recordingsと契約し、リリースされた2012年の最新作。そして間違いなくこれまで素晴らしい漆黒の世界を生み出してきたAmenraの最高傑作とも言うべき作品だと思う。ドス黒い激重世界を生み出してきたAmenraだが、遂に前人未到の領域にまで達してしまったのだ。



 4曲約40分で全曲が長尺の楽曲であり、今まで以上にダウンテンポを極め、漆黒の血飛沫が噴出し、ドス黒さを更に極め、本気でNeurosisすら喰い殺してしまいかねない悲壮感と憎しみに満ちた悲しい音がとんでもない重量で降りかかってくる。Amenraは徹底して黒を描くバンドだと僕は思っているけど、それを極限まで極めたのが今作だと思うし、泣き叫ぶ様なシャウトを繰り出すボーカルも更に悲壮感が加速し、より重みを増したリフが振り注ぎ、トライヴァルさを持ちながらもひたすらダウンテンポを徹底して貫くビートが推進力なんか放棄して這い回るスラッジ地獄。熾烈さの中にある悲壮感が生み出す漆黒の神秘性の美しさ。ヘビィさと芸術性を更に高め、Amenraが孤高のバンドであり続ける事を証明しているだけではなく、更なる進化を見せたのだ。
 第1曲「Dearborn And Buried」からAmenraの壮絶な音の世界は繰り広げられており、不穏なクリーントーンのギターストロークからシャウトが入った瞬間に歪みを加え、トライヴァルなビートに引っ張られながら、美しい悲壮感が繰り広げられ、スラッジリフが倒れ込む様に襲ってくる。ただでさえ遅く重い楽曲の中で緩急と落差を生み出すAmenra節とも言える手法も更に磨きがかかっているし、ポストメタルとスラッジと激情の負のエネルギーが暴発し、殺意のメーターをブチ壊し、破滅を美しく描いている。第2曲「Boden」では静謐かつ不穏なフレーズから一気にエネルギーを暴発させ、ただひたすらにスラッジリフを叩きつけ、中盤の不気味な読経めいたポエトリーとアンビエントさの強いパートと絶妙に落差を作り、終盤で激情を激重と共に繰り出し、肉体と脳を完全に粉砕されてしまう。今作で最も長尺で13分にも及ぶ第3曲「A Mon Ame」はそれに加えて物悲しいメロウさが更に加わり反復されるフレーズの中で緩やかに堕ちて行く感覚がダイレクトに肉体を襲う。そして気がつけば漆黒の濁流に飲まれているという精神世界の一つの臨死体験が味わえる楽曲。
 しかし今作で一番の凄まじさと素晴らしさを誇るのは何といっても最終曲である「Nowena | 9.10」だろう。アコースティックな感触のギターフレーズから始まり、アシッドで爛れた音色と歌がこれまでの作品の空気を一新させ、暗黒フォークの耽美な世界が広がっていく。しかしそのパートが終わった瞬間に襲い掛かってくるのは今作で一番の破壊力と憎悪に満ちたスラッジリフの漆黒の轟音であり、緻密さと破滅的感情が交錯し、際限なく激重のアンサンブルが奏でられ、それぞれの音の重みが本当に凄まじいスラッジ激情の世界が繰り出され、終わり無き悲劇をただ呆然と眺めている感覚に襲われ、後半からは更にその芸術性を高め、暴虐の限りを尽くすバンドアンサンブルが絶唱という絶唱を繰り出し、正に目の前で惨劇が繰り出されフェードアウトして終わる。まるで完全なる無へと雪崩れ込むかの様な終わりに、ただ呆然とするしか無いのだ。



 ベルギーの激重神として、その猛威を見せ付けるAmenraだが、今作で彼等はその漆黒の芸術的激情を最高レベルまで高め、本当に前人未到の領域にまで到達したと思うし、本当にNeurosisを喰い殺すだけの化け物を生み出してしまったのだ。ポストメタル・激情の歴史に間違いなく名を刻むであろう傑作なのはもう言うまでもないだろうし、Amenraがどこまでも孤高の存在であり続け、徹底して漆黒を激情と共に描くバンドだからこそ生み出せた作品だと僕は思うし、本当に誰も追いつけない世界に彼等はいるのだと思う。その猛威に僕はただ震える事しか出来ないし、熾烈な音塊が無慈悲に全てを破壊する破滅のオーケストラであり一大巨編。



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