■sora presents「1st full album “灯台の上で待つ” release tour 2012 – Final -」(2012年12月15日)@下北沢ERA

DSC_0496.jpg



 八王子のエモーショナルオルタナティブロックバンドであるsoraが約10年に渡る活動に終止符を打つ。遂に1stアルバム「灯台の上で待つ」をリリースし、それに伴うレコ発ツアーでsoraは活動を終了。今回のライブは、そんな最後のツアーのファイナルであり、soraのラストライブでもあった。他の出演バンドもsoraの活動の歴史の中では切っても切り離せない盟友であり、本当に最高のエンディングをsoraは迎えようとしていたし、結論から言うと、本当に最高のラストライブだった。全バンドが本当に素晴らしいライブをしていたし、soraは本当に一切の感傷もいらない笑顔溢れる最高のライブをしてくれた。もうそれだけでも伝われば良いとすら思う。この日の下北沢ERAは本当にキャパの限界まで人が入っていたし、あの場にいた約数百人の人々とsoraの最後を見届ける事が出来たのは本当に嬉しく思う。




・bacho

 一発目は姫路の4ピースであるbacho。初めてその音に触れたバンドだったが、本当に等身大でストレートで激エモという言葉が似合うバンド。どこまでも暑苦しく日本語詞で高らかに熱唱するスタイルは、非常に胸にヶツンと来る物があったし、どこまでもメロディアスでドラマティックな音を聴かせてくれた。しかしただ単にストレートでエモい音を鳴らしているかっていうと全然違うし、細かい部分での緻密さも見せてくれるし、力強いアンサンブルの中で、煌くフレーズが融和し合って押し寄せる感覚は初見でもかなり熱くなれた。特にギターの人が曲の終盤のここぞというパートで空間系を使用したドラマティックな轟音フレーズを入れてくるし、それがメロディや歌と見事にシンクロして本当に感情の洪水が押し寄せてくる感覚に襲われてしまった。今回のライブは盟友の最後を飾るライブっていうのもあっただろうし、本当に全身全霊のアクトを見せてくれた。全く知らないバンドだったが惚れてしまったよ。そしてこのbachoのアクトを観た瞬間に、僕は今日が最高の夜になるのを確信した。

DSC_0484.jpg




・bed

 2バンド目は京都の4ピースであるbed。本当に久しぶりに彼等のライブを観る事になったのだが、暫く観ない間に本当に別のバンドになってしまったんじゃねえかってレベルで格段にライブが良くなってた。エモ・オルタナといった要素を前面に押し出しながらも、どこまでも高らかに歌い、渋さもあり、緻密さと繊細さに満ちながら、緩やかに広がるアンサンブルの波は本当に心地良いし、派手さこそ無いけれど、自らの音を大切に育んで来たからこそ生まれる絶妙な磁場でのエモーショナルさ、bedの音楽は凄い言葉では説明出来ない物が僕の中であって、エモ・オルタナっていう範疇にあるサウンドでありながら、どっかはみ出してしまっている感覚。大きくはみ出しているのではなくて、絶妙にはみ出てしまっているからこそ生まれる個性が彼等の魅力だと思うし、それを純度の高さで鳴らすからこそ彼等は良いライブをするのだと思う。柔らかに広がる音の波紋に酔いしれていたら、刺される感じ。絶妙なラインをすり抜けて強くなっていくbed、本当に良いバンドになったなあ。

DSC_0487.jpg



・heaven in her arms

 そして僕が心の底から敬愛する国内激情系ハードコア最強のバンドの一つであるHIHAのアクトへ。bachoとbedが生み出してた空気を完全に破壊するトリプルギターの激重激情のオーケストラ。soraとは本当に付き合いが長いバンドっていうのもあったとは思うが、今回のセットはHIHAのドラマティックな激情をどこまでも高次元に伝える曲をプレイしていた。今日のライブは新曲無しで、全曲彼等の必殺の名曲というセット。1曲目の「縫合不全」からポストロックと呼応する繊細で不穏で悲壮な旋律とビートが静かに響き、ギターのディストーションが入った瞬間にHIHAの激情大オーケストラが一気に花開く。トリプルギターの轟音と共に放たれるケント氏の叫び。漆黒の世界が目の前に広がり、その美しさにただ見とれるしか出来ない。そして「声明~痣で埋まる」で、カオティックかつシューゲイジングする漆黒の激情系ハードコアの洪水で全てを飲み込むという流れが生まれ。その時には、その凄まじさに殺されるしか無かった。しかし続く「角膜で月は歪む」こそ、この日のHIHAのハイライトだったと思う。美麗のアルペジオとドス黒いギターの轟音が溶け合い、正に激情をビートで体現したドラムの乱打が押し寄せ、感動的な音塊がクライマックスへと暴走し、ラストの「赤い夢」という激情シューゲイザーで締めくくられた。今年は何回もHIHAのライブを観たが、観る度にスケールが格段に広がり、本当に最果てへと暴走するバンドになっている。本当に気迫と渾身の激情を体感したし、漆黒の渦の中で確かに美しい情景が見えた。

DSC_0490.jpg



・forget me not

 トリ前は愛媛の激情の先を鳴らす3ピースであるforget me not。ドラムの井川氏はIMPULSE RECORDSのオーナーでもあるし、soraはIMPULSEからEPをリリースした事もあるし、本当にsoraと切っても切り離せないバンドでもある。今回のアクトで演奏したのはたった3曲。しかしディスコダンスであり、ドライビンさと不穏な静謐さを取り入れ、緊迫感溢れるギリギリでありながらも卓越した演奏技術によるアンサンブルの凄み、激情系ハードコアからプログレッシブとかポストハードコアとかマスロックとかそういった要素を盛り込み、目まぐるしく展開していくサウンド。たった一つのランプの灯りのみが照らすステージで、3人の音が一触触発のスリリングさを常に生み出し、ツインボーカルで放たれる燃えきらない熱病の様なシャウト。歪みまくりながらもグルグルと落下していく感覚。本当に唯一無二のバンドだと思うし、HIHAの感動的な激情絵巻から一転して、冷徹で残酷な殺人事件をERAで引き起こしていた。激情という凶器を手にし、それで無差別に切り刻み殺して行くハードコアがforget me notであり、愛媛から放たれる狂気にただ刺し殺されてしまった。

DSC_0491.jpg



・sora

 そしていよいよ本日の主役であるsoraの最後のステージ。スタッフが可能な限り前に詰めるお願いのアナウンスをするレベルで人で一杯になり、そしてメンバーがステージに登場し、最後のライブが始まった。1曲目は「新世界」で始まり、タイトで性急で躍動感溢れるドラムに引っ張られながら、クリアなアンサンブルが一気に会場を包み込む、そして瞬く間にフロアではモッシュが発生、内田氏が高らかに素朴な歌を聴かせる中で、ダイバーまで飛び出し、誰もが拳を突き上げ、そのsoraの最後のステージを魂で感じ取ろうという気迫が目に見えたし、もう最初からクライマックスと呼ぶに相応しい瞬間が生まれてしまった。続く2曲目は僕がsoraで個人的に一番大好きな「飛べない鳥は夢を見る」!!郷愁の旋律と2本のギターの美しい絡みと、屈強なビートが世界を広げ、何度も胸を締め付けられそうになったし、本当にどこかに羽ばたいていけるんじゃねえかって感覚すら覚えた。続く「小さな手」で物悲しく優しい旋律と歌に本当に涙腺が緩んでしまったし、もうクライマックスというクライマックスが繰り広げられ、何か余計な感傷とかそういった物が無くなり、ただこの瞬間を全身で感じていたくて仕方なかった。
 決して派手な事はしていないのに、それぞれの楽器の音が確かな存在感を放ち、煌く「灯台」、冒頭のアルペジオだけでもう何かが込み上げそうになってしまった「LAST DAYS」。soraが生み出して来た名曲が、最後の出番を終えていく。普通に考えてセンチメンタルになってしまう筈なのに、そんな感情を抜きにして、本当に単純に曲の素晴らしさと、soraの美しく優しく力強いアンサンブルをただ感じていただけだったし、本当に目の前に美しい音と情景がただ広がっていた。「生活」、「公園」と伸びやかな内田氏の歌は本当にどこまでも羽ばたいていたし、本当にそのバンド名通りに、どこまでも無限に広がる空を、soraの4人はどこまでも力強く描いていた。
 そしてライブもいよいよ終盤になり演奏された「旅」で、4人の新たな出発を祝福する様な優しい福音が降り注ぎ、もうその瞬間に全てが込み上げてしまって、僕はただ拳を握り締めていたし、本当に終わりの先の新たな旅路にsoraの4人は進んでいくのだと思った。ラストは「echo」で締めくくられ、もう感傷とか切なさとかそういった物を全て振り払い、新たな旅路をこれからも歩んで行くという力強い宣言の様でもあったし、フロアは再びモッシュとダイブの嵐。とんでもない熱気(本当に熱かったし、酸欠になりそうになった)の中で、誰しもがsoraの力強い音楽に心を震わされ、沢山の拳が振り上げられていた光景は、本当にsoraが多くの人に愛されていたバンドだから生み出せたんだよ。
 そして観客からのアンコールの声、メンバーはステージから掃けずに、再び楽器を持つ。そして演奏されたのは正にsoraの代名詞とも言える初期の名曲「空の下」!!!!!!本編の優しくエモーショナルな空気から、初期のsoraの激情系ハードコアから打ち出す郷愁の音が炸裂。2本のギターのアルペジオと、うねるベースと、複雑なフレーズをどこまでも力強く叩き付けるドラムが一気に激情を生み出し、そして魂の絶唱が響き渡るラストへ!!!!!そして最後の最後は、こちらも最初期の名曲「無色の景色」!!!!!!この日一番の激情と共に本当にsoraは最後の最後で魂の演奏を叩きつけてきた。本当に瞬間のクライマックスとカタルシスと共にsoraは最後のライブを終えた。
 全ての曲目の演奏を終えた後、本当にフロアから止まない拍手が響き渡り、ステージ上ではメンバー4人が集合して、多くの人々に写真を撮られてたりして、何だか卒業式みたいだったし、メンバーそれぞれフロアにいた観客の伸ばされる手に力強い握手で応えていた。こうしてsoraは約10年の活動を2012年12月15日の夜、終わりを迎えた。



セットリスト

1.新世界
2.飛べない鳥は夢を見る
3.小さな手
4.灯火
5.LAST DAYS
6.生活
7.公園
8.旅
9.echo

en1.空の下
en2.無色の景色

DSC_0507.jpg

DSC_0505.jpg

DSC_0506.jpg

DSC_0498.jpg



 このレポを書いている今、もうsoraというバンドは存在していない。これまで大好きなバンドの解散は幾らでも経験したし、バンドのラストライブに足を運んだのも今回が初めてではない。でもsoraの最後は本当に力強い新たなスタートだったと思うし、終わってしまうからこそ、その先には新たな始まりがあるって事をsoraの音楽が伝えてくれた。この日、下北沢ERAにいた人々は本当に心からsoraを愛した人達だと思うし、そんな人々の笑顔が僕は今でも目に焼きついて離れない。soraのメンバーはそれぞれまた音楽を続けて行くと思うし、もしかしたら再結成してまたsoraとして活動する可能性だって無い訳ではない。これは悲しむ事では無くて、本当に大きな節目であって始まりなのだ。内田氏は何度も涙ぐみそうになりながらも笑顔だったし、不動の4人で約10年歩んできた事の意味は本当に大きい。この日、出演した他の4バンドもそれぞれがsoraの最後を見届けて、それぞれが自らの音楽を続けていく。僕にとって本当に忘れられないライブがまた一つ増えたし、soraというバンドの最後の瞬間を笑顔で見届ける事が出来たのは本当に嬉しく思う。



本当に10年間、お疲れ様でした。そしてこれからの新たな活動と活躍を心から楽しみにしてます。
スポンサーサイト
タグ : ライブレポ

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

タグ別記事表示

日本 ライブレポ 激情系ハードコア アメリカ スラッジ ポストメタル ポストハードコア ポストロック カオティックハードコア ドゥーム エモ オルタナティブロック イギリス サイケ フランス アンビエント ストーナー ネオクラスト ドローン ドイツ シューゲイザー ハードコア ロック グラインドコア プログレ ギターロック ポストブラックメタル インタビュー マスロック ポストパンク デスメタル スウェーデン カナダ モダンへビィネス スラッシュメタル ブラックメタル ギターポップ エクスペリメンタル エレクトロニカ ジャンクロック イタリア インダストリアル ベルギー フューネラルドゥーム グランジ ノルウェー 年間BEST ジェント オーストラリア スペイン アコースティック ポップス プログレッシブメタル ラーメン ブラッケンドハードコア フォーク ミニマル モダンヘビィネス ニューウェイブ パワーヴァイオレンス ロシア ゴシックメタル ハードロック ファストコア ノイズ ニュースクールハードコア フィンランド メタルコア ゴシックドゥーム トリップホップ ヒップホップ 自殺系ブラックメタル オランダ 駄盤珍盤紹介 アブストラクト ノーウェイブ クラウトロック ダブ ヘビィロック パンク ゴシック ダブステップ ノイズコア シンガポール ラトビア ミクスチャー チェコ インディーロック メロディックパンク テクノ ポーランド ドラムンベース ウィッチハウス オルタナティブ アイルランド デンマーク スイス ヘビィネス メキシコ ポジパン ジャズ ヴィジュアル系 アシッドフォーク メタル ブルデス 声優 ボイスCD ドリームポップ トラッドフォーク クラストコア スクリーモ カントリー プリミティブブラック 韓国 ハンガリー アイスランド イラン シンフォニックブラック ギリシャ スコットランド USハードコア ポルトガル ガレージ ソフトロック フリージャズ モダンクラシカル 台湾 トルコ ファンク 

カテゴリー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

カウンター