■Frigidiis Apotheosia:Abstinencia Genesiis/Celestia

Celestia-Frigidiis Apotheosia slipcase CD



 昨年には来日を果たしたDrakkarのNoktuによるフランスのブラックメタルバンドであるCelestiaの08年リリースの2ndアルバム。その筋の人々の間ではかなり有名なバンドらしいが、僕は今作で初めてその音にしっかり触れたが、ブラックメタルに関して全く明るく無い僕でも、その完成度の高さと作り込まれた世界観と美しさには完全にやられてしまった。またキーボードでXasthurのMaleficが参加している。



 まず今作はブラックメタル初心者でも十分かかってこいな作品だと思う。音質も良いし、楽曲の尺も長く無いし、明確な展開がしっかりあり、何よりもここぞとばかりに寂しげなメロディが本当に印象的でもある。第1曲「She's Dead (Valse Faneste de Decomposition)」が始まった瞬間に聴こえてくるのは寂しげで儚くも美しいトレモロリフの洪水、それだけでもうメランコリックさにやられてしまうが、そこにMaleficの今にも壊れそうなキーボードの音色が入り込み、より神秘性と美しさを高めている。トレモロリフのパートは勿論だけど、常時ギターは美しくありながらも寒々しく身を切り刻む鋭利さと、その裏にある美しい旋律が本当に絶妙で、攻撃的でありながらも、破滅に至る瞬間のカタルシスと美しさが存在しているし、Noktuのがなり声ボーカルも楽曲に見事に嵌っている。基本的には意外と正統派なブラックメタルでもあったりするとは思うけど、キーボードの入れ方にしてもそうだし、異様にドラマティックに展開するメロディもそうだし、本当に細部に渡るまで作り込まれている印象を受けたし、その芸術性の高さと耽美さは本当に堪らない。
 第2曲「A Plaintive Cry, Merely, Echo」ではカセットテープに録音したみたいな篭った音質のギターの導入から始まりつつも、ザクザクにギターが攻めるパートと、アコギの入るパートの対比が本当にお見事。第3曲「Admirable Eros Abstraction」では怒涛のドラムと切り刻むギターとより前面に出たアコギとキーボードが織り成す寂しげで悲しい音像に心を揺さぶられる名曲になっている。その流れから続く第4曲「A Regrettable Misinterpretation of Mournfulness」ではアコギが更に前面に出ており、郷愁と哀愁が確かな表現力で生み出され、終盤のボーカルが入ってブラック色が強くなるパートで、それが暴発する様は本当に美しいの一言に尽きる。今作で一番の長尺曲でありながらも、やたら爽やかさすら感じるイントロのギターにハッ!?となりつつも、そこからダークさが滲み出てドラマティックにスケールが拡大する第5曲「Death of the Lizard Queen (Necro Phaanthasma)」も個人的にはかなり気に入ってる。
 それぞれの楽曲の完成度が本当に高いし、音楽性も単調じゃなく、楽曲毎にしっかり幅広さを感じさせ、同時に耽美で憂鬱な暗さと美しさが常にあるから作品全体を通して本当にドラマティック。何よりもキーボードの音とミドルテンポのビートと、今作で一番美しいギターフレーズの旋律が暴発する最終曲「Frigidiis Apotheosia (Dormant Rests of Raped Necrosia)」は本当に終末という言葉を想起させる破滅の瞬間の美しさを表現した素晴らしき名曲であり、この名盤のラストを締めくくるに相応しい物になっている。



 湿り気のある陰鬱さと、咲き乱れる旋律の美しさ、楽曲の完成度、そして徹底して生み出されている耽美さ、それらが本当に桁違いだし、ブラックメタルの名盤であるのは間違いないし、何よりも本当に聴きやすい作品にもなっているから、ブラックメタル初心者にも是非お勧め出来るし、多くの黒くて怖い人がcelestiaを絶賛するのも納得できる出来だ。しかも録音状態もかなり良いし、それがまた今作の良さを更に加速させている。ブラックメタルだとかフレンチブラックとかは全然明るく無い自分でもこれは手放しで賞賛したい傑作だ。



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