■割礼 結成30周年・「ネイルフラン」「ゆれつづける」 リイシュー盤発売記念ライブ(2013年2月20日)@高円寺HIGH

 今年、遂に結成30年を迎えた日本が誇るサイケデリックロックバンドである割礼。彼等のメジャー時代にリリースした2枚の名盤、「ネイルフラン」と「ゆれつづける」が今年頭に再発されたのは記憶に新しいが、今回のライブはそんな割礼の名盤2枚の再発記念リリースパーティであり、対バンに今年に入ってから多くの新作のリリースがアナウンスされている、世界的日本の全てを置き去りにするヘビィロックバンドであるBorisと、現在人気急上昇な大阪のロックバンド下山を迎えての3マン。当然高円寺HIGHは予想以上に多くの人が詰め掛けており、更には普段の割礼のライブよりもお客さんの年齢層が若いという状況。個人的にBorisと割礼が一緒にライブをするという状況は嬉しくもあったし、前回のワンマンに引き続き今回も足を運んだ次第だ。



・Boris

 
一発目はBorisからスタート。2011年の年末のワンマン以来のBorisであり、その間にも新たな音を生み出してきたBorisがどの様なセットで今回のライブに挑むのか非常に楽しみだったが、今回はここ最近のBorisの多岐に渡る音楽性の中からサイケデリックなborisとヘビィなBORISの両方を兼ね備えたセットでのプレイ。毎度御馴染みの栗原ミチオ氏は今回は参加せずに3人でのライブだったが、1曲目「Cosmos pt.2」から揺らぎの中で拡散するヘビィネスが炸裂!!徹底してダウンテンポのビート、2本のギターの激重リフの轟音、そして大量のスモークがステージを覆い、完全に神秘的な音像が目の前で繰り広げられる。ここ最近のポップな方向に振り切ったBorisも勿論最高だけど、やはりサイケデリックさから生み出される意識を覚醒させ揺らがせるヘビィロックとしてのBorisは本当に鉄壁だし、Atsuo氏のドラムが楽曲を引率し、wata嬢とTakeshi氏の音が粗暴でありながらも美し過ぎる旋律を轟音の彼方から奏で、そして最果てへと誘う。続く「Angel」では更にアンビエントやサイケデリックといった要素を高めて静謐で不穏なwata嬢のギターのアルペジオの反復、そして長いアンビエントなパートを越えた先に美しい轟音が花開き、最終的にはスラッジと美轟音が融合した最果てのアンサンブルで美しい彼方へと導かれてしまった。そしてラストはもう必殺の「決別」にて、光の彼方にある新世界を目の前で繰り広げ、照明やスモークの効果もあるが、目の前で放出される轟音の音塊が描く未知の世界への誘いとしてのヘビィロックにはやはり圧倒されるしか無かった。珍しくAtsuo氏がMCをしたりなんかもしてたのも印象的だったが、たった3曲で約40分のセットで、持ち前のサイケデリックヘビィロックをフルで発揮した今回のBorisのアクトはやはり圧倒的世界だったし、全てを置き去りにするバンドとしての貫禄は相変わらず健在だ。これからリリースされる音源もそうだが、今年のBorisは本当に大きく動いていくだろうし、本当に楽しみだ。

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・下山(GEZAN)

 続いては最近何かと話題になっている気がするバンドである大阪の下山のアクト。ライブ動画とかを観た限りは正直ピンと来なくて、今回のライブを観てみれば何か印象変わるかなと思って後ろの方でゆっくりと観ていたが、音楽性的には爆音ロックって感じだけど、どうしても僕個人としては村八分とかDMBQ聴けば良いやって感じになってしまったし、ベースの人が無駄に全裸だったりとかっていうパフォーマンスも個人的には少し滑ってる様にも見えてしまった。ただその爆音サウンドと、他の若手にあんまいない感じのロックロックしてる感じが評価されるのは何か分かるけどね。でも僕個人はそうゆう部分が逆に受け付けなかったりもしたのは残念ながら事実。ライブ観て特に何も感じなかったです。すみません。



・割礼

 そして本日の主役の割礼のアクト。昨年末のワンマンでも、長年鍛えに鍛えまくったスロウ極まりない陶酔のグルーブに圧倒されたが、今回のライブに関してははっきり言ってしまうとBorisすら食ってしまってたよ。1曲目の「INスト」から甘く不穏の旋律と共に生み出される推進力を放棄したBPMのグルーブと、揺らめく炎の様な2本のギターが絡み、生まれる歪みに圧倒されてしまう。鎌田氏の音数を削りに削った淡々としたベースラインが生み出す余韻と、対照的にスロウで精神的なヘビィさと閉塞感に満ちたアンサンブルの中で躍動感に満ちたドラムを繰り出す松橋氏、そして山際氏と宍戸氏のギターが織り成す、何処までも奈落の底に落ちていく様なギターのアンサンブル、宍戸氏の陶酔の歌、それらを進化させ続けているからこそ割礼にしか生み出せなかったロックとなるのだし、それはある種のエクストリームミュージックであり、楽曲そのものはスタンダードなロックであるにも関わらず、それを甘く精神的に重く、そして極限までスロウにしたからこそ生まれた断層。それが更に剥き出しになり轟くライブは30年に渡って戦い続ける猛者の貫禄に満ちているし、絶対的な領域に到達してしまった割礼にしか生み出せない唯一無二のサイケデリックロックなのだ。「星を見る」の山際氏のゆらめくギターフレーズと、宍戸氏の独特の湿度のギターストロークと歌が生み出す更に甘く絶望的なロマンティックさも更に際立っていたし、「ゆれつづける」から披露された「散歩」は、更に空白の余韻の残響が際立ち、漆黒の炎が揺らめき、それが体の内側に入り込み、心を静かに焼き尽くす感覚すら味わってしまったよ。
 何よりも圧巻だったのは本編ラストに披露された「リボンの騎士(B song judge)」である。15分以上にも及ぶ極限のサイケデリックロックであり、イントロの神々しい鐘の音色の様なギターストロークから既に精神が此方から彼方へと持っていかれるし、中盤から終盤の長ロングギターソロは本当に圧巻であり、どうやったらこんなディストーションの音を生み出せるのか分からないってレベルで、蛇の様に這い回り、まとわりつく2本のギター、それに反して淡々と反復する鎌田氏のベース、とてつもないテンションで躍動としての激情を全身全霊で叩きつける松橋氏のドラムが生み出す圧巻のサイケデリックオーケストラ!!もう言葉すら出ないよ!!!!アンコールでは名曲「崖っぷちのモーテル」を披露し、一転して割礼の甘いロマンティックさを素直に伝える優しいアンサンブルとメロディにまた昇天。
 再発記念のライブにも関わらず、再発音源からは「散歩」しか披露してないセットだったが、アンコール含めて全6曲約一時間の陶酔のオーケストラは圧倒的過ぎたし、今回割礼を初めて観た人も一気に虜になったと思うし(現にライブ終了後、MCでの松橋コーナーの効果もあるのかは知らないけど、音源を購入してる人も多かった。)、30年活動し、今こそが最高峰であり続ける割礼は僕からしたら絶対的であり、唯一無二のロックバンドなのだ。

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 もう何というかBorisのライブも言うまでも無く素晴らしかったが、それすらも霞んでしまうレベルで割礼というバンドの凄みを改めて知らされてしまったライブになってしまった。前日にOld Man GloomとConvergeが圧巻のハードコアを見せ付けてたのもあって、今日のライブに対する自分の中のハードルは相当高くなっていたけど(まあ音楽性は全然違うけど。)、それでも割礼の凄まじいサイケデリックロックは全てを塗り潰してしまったし、本当に何でこんな凄いバンドなのっていうレベルで凄まじいライブを体感させられてしまった。長年に渡って活動しているからとかそういった理由じゃ片付けられないサイケデリックロックの絶対神、それが割礼なんだ。



 本当に割礼のライブを観た事が無い人は、一度でいいからライブに足を運んで欲しい。奈落と彼方の断層が生み出すサイケデリックオーケストラには全てを塗り潰されてしまうから。
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