■Limitasolation/isolate
![]() | Limitasolation (2012/09/19) isolate 商品詳細を見る |
東京の5人組激情系ハードコアバンドであるisolateの2010年リリースの6曲入り1stEP。ここ最近ではDEAFHEAVENの来日公演の前座をheaven in her armsと共に務めたりもした彼等だが、現在、新たな盛り上がりを見せる国内激情のシーンの中でもかなりの完成度の楽曲と、ダークサイド側の激情としてかなり振り切ったバンドであるし、今作も屈指の出来を誇っている。
DEAFHEAVENの来日公演の前座を務めるだけはあって、彼等の音楽性は激情系ハードコアをベースに、ポストブラックの要素を色濃く出した物。DEAFHEAVENが激情の中で美しさを見せるなら、彼等は美しくありながらも、より熾烈で粗暴なハードコアを叩きつける。そして静謐さや美しさを感じさせるパートを盛り込み、複雑でドラマティックな展開を持つ練り込まれた楽曲と、胸に刺さる叙情性といった部分での魅力も強い。しかしそれらの要素を持ちながらも、楽曲の中で大きな比重を占めるのは負の感情を熾烈に叩きつけるハードコアパートの破壊力だ。静から動というアプローチは本当に多くのバンドがやっていたりするアプローチだけど、彼等はそれを冗長にせずに、絶妙なバランスで盛り込み、その動のパートへと突入した瞬間の破壊力が正に激情系ハードコアの大きな魅力である瞬間のカタルシスその物なのだ。特に第2曲「Tragedy Of The Ruin」なんて最初っから全力で暴走するブラストビートの乱打とトレモロリフの残酷な殺戮ショーが繰り広げられ、悲壮感漂うボーカルが繰り出す約2分の暴虐その物となっている。今作は前半の楽曲これぞ激情とも言うべき破滅的なサウンドが繰り出されているが、絶妙なタイミングで入るキメやブレイク、ハードコア要素を殺さずに複雑かつドラマティックの展開していく楽曲といった点でも非常に魅力的であるし、何よりもツインギターでアルペジオとトレモロリフを巧みに組み合わせ、時に美しい旋律を重ね、時に粗暴なハードコアサウンドを共に放出するスタイルは楽曲の魅力をより増幅させていると思う。終盤の2曲は今作の中でも屈指の完成度を誇っており、序盤の美しいアルペジオが熱量を高める導入から、一気にブラストビートとトレモロリフが降り注ぎ、ポストブラック色をより強めながらも、持ち前の激情は全くブレていない第5曲「Anxiety To Return」、今作で最もドラマティックで力強く鳴らされるビートと、数多くのポストブラックの猛者に迫る壮大なスケールと美轟音が魅せる美しい情景から、heaven in her arms辺りの壮絶な情景を激情として鳴らす終盤へと雪崩れ込む第6曲「Limitasolation」は本当に素晴らしい名曲に仕上がっている。
彼等はライブも本当に凄まじく、つい先日観に行ったライブで彼等を知り、その音に一発でやられてしまって物販でこの音源を購入したのだが、DEAFHEAVENの前座を務めた実力はやはり凄いと思うし、盛り上がりを見せる国内激情のシーンを引っ張っていく存在にこれからなっていくと思うのだ。単なる激情とブラックの融合では終わらずに、美しくも熾烈なハードコアとして激情を鳴らすisolate、これから追いかけていきたい所存だ。