■nemoの見た4つの悪夢/nemo
![]() | nemoの見た4つの悪夢 (2004/12/15) nemo 商品詳細を見る |
元COWPERSのシモ氏と元Plugのナカノ氏といった北海道オルタナティブシーンを作り上げてきた男たちによるハイボルテージオルタナティブバンドであるnemoの2004年発表の4曲入りのEPであるが、とてつもないスリリングな緊張感とソリッドさとアバンギャルドさが凝縮された必聴盤である。僅か4曲の中にこれでもかと様々なジャンルを文字通り呑み込んでしまった、殺伐とした轟音が鳴り響いている。
第1曲「NAKANO HATES YOU」はノイズギターとアンビエントなギターフレーズが緻密に組み合わさり、殆ど重低音の塊となったベースが空間を埋め尽くし、正確さを極めた絶対零度のドラムがフリーキーにビートを作るプログレッシブでありオルタナティブな1曲、ハードコアを通過したサウンドでありながら、そこに胡座をかかないで、鋭角でありながら上がらないクールなテンションのまま聴き手をじわじわと刺し殺していく。そして第2曲「ケイチツのnemo」でポストロック的なアプローチを取り入れながらも、ポストハードコアバンドとしてのnemoの必殺のリフが鎌首を振り回している。そして少しずつ狂気と殺気が上昇していく様が素晴らしい。
そしてくぐもったインタールード曲である第3曲「ドローマー」を通過しての第4曲「僕なりの恐怖政治」が最強の1曲といっても過言では無い位に圧倒的な完成度と殺気と必殺のリフが渦巻く超ハイボルテージカオティックチューンになっているのだ!イントロだけで完全に殺されてしまう轟音に全てを持っていかれそうになる!クールでありながらも、確かなテンションを持ったシモ氏のボーカル、緻密に練りこまれ絡み合う2本のギターは計算された中で圧倒的な殺傷力を持っていて、文字通りキラーリフがこれでもかと渦巻き、爆音であり、リズム楽器としてというよりは、脳髄に爆弾を落とされるかの如きベースとそれに反して緻密でありながら、必殺のキメを外さない安定感と散弾銃の様なドラムが組み合わさった瞬間に、ここまでの楽曲が出来上がってしまうと思うと本当に恐ろしくなってしまう。というか「僕なりの恐怖政治」を聴くだけでもこのCDは絶対に買う価値がある。
タイトル通り、悪夢の様な緊張感とパラノり具合を持ったEPであるが、nemoの本当の意味でのポストハードコアという物がこれでもかと発揮された大傑作である。単に様々な要素を足し算するのではなくて、基盤であるハードコアとしてのバンドサウンドにしっかり組み込んだ事によって、殺傷力がより上がったとも言えるだろう。本当の意味で危険な音というのは正にこの作品みたいな音なのではないだろうか。