■TERMINAL-H(2013年3月16日)@恵比寿BATICA
・THE CREATOR OF
先月の三軒茶屋に続く個人的に今年二度目のTCOのライブだったけど、前回の三茶が爆音で殺気を放つライブだったなら、今回は爆音ではあるけど、緻密で優しい音を聴かせるライブになったと思う。セットは4曲でここ最近のインスト主体で攻めるセットだったけど、今回はギターの音が本当に絶妙なシンクロを見せるライブだったと思う。「Pass Awya」、「Resonance」の序盤の2曲ではインストポストロックとしてのTCOの美しき重さを見事に体現していたし、複雑に絡み合いながらも、高揚感を高めるアンサンブルは観ていて本当に気持ち良くなる物だった。肝となるビートの絶妙な重みと安定感によるグルーブを下地にして、そこに美しい音を幾重にも重ねていく方法論が確かに光っていた。後半の2曲は「LIGHT」、「Wind Up」のボーカルの入った2曲を披露。「LIGHT」の静謐さから見せる美しきヘビィネスはやはりお見事だったし、ラストの「Wind Up」で見せるのは、かつてのTCOと今のTCOを繋ぐヘビィネスであり、一つの音が確かな存在感で美しく降り注ぐ情景だった。こうしてライブ毎に良い意味で楽曲のテンションが違うのもTCOのライブの魅力であるし、武器でもあるし、だから毎回ライブを観ても、凄みこそ感じても全然飽きないし、観る度に新たな発見がある。また次のライブでは違う一面を魅せ、美しく重い衝撃を与えてくれるであるに違いない。
・NINGEN OK
続いてはここ最近知名度を一気に上げてきている金沢のインストデュオであるNINGEN OK。ギターとドラムのみで、ステージとフロアに三角錐型の照明をセットしていたりと、中々に異質な空気を生み出していたが、その音楽性は本当に歪みまくっている。硬質でソリッドで歪んだギターとタイトで粗暴なドラムのぶつかり合いであり、変則的なキメを乱打しまくり、時にはインストバンドらしい美しい音を聴かせつつも、核になっているのはギターとドラムのみで生み出される、ソリッド過ぎる音の正面衝突であり、その衝突と衝突の間の空白すら緊張感を生み出すスパイスとして機能させ、脱臼に脱臼を重ねていく。秩序的でありながらも、いつその秩序が崩壊してもおかしくないかっていうアンサンブルが、彼等がマスロック的なアプローチをしていながらも、それに染まらないバンドになっている決め手だし、ライブで生まれる緊張感とカタルシスは凄かった!
・Networks
そしてトリはやっとライブを観る事が出来て嬉しいNetworks。ピアノとガットギターとドラムによる3ピースインストトリオだが、とにかく演奏力が凄い!音源でもオーガニックでありながら反復を繰り返し高揚していく人力トランスな感覚を見事に生み出していたけど、ライブではそれを完全に新しいダンスミュージックにしてしまっている。とにかく反復を繰り返すフレーズが生み出す高揚感と圧倒的な情報量。純白でクリアなピアノのフレーズの美しさと、渋くあり、絶妙にドラムと絡むガットギター、そしてNetworksのアンサンブルのキモとなるとにかく踊れるドラム。それらが三位一体となって、あらたな高揚感とトランス感覚を生み出していた。演奏されたのはたった3曲だttけれども、それでも30分にも及ぶオーガニックな透明感と、それが生み出す意識の覚醒としてのダンスミュージックは音源以上に最高の気持ちよさがあった。
そんな感じで簡単にだけど、今回のライブレポとさせて頂きます。三者三様の独自を音を楽しんだ夜になったし、ヘビィな美しさ、ソリッドなぶつかり合い、調和が生み出す高揚感と、本当にお腹一杯になりました。