■あぶらだこ2nd(青盤)/あぶらだこ
![]() | あぶらだこ(2) (1996/01/25) あぶらだこ 商品詳細を見る |
日本のアンダーグランドが誇る、屈指のプログレッシブハードコアバンドであるあぶらだこの86年に発表された2ndアルバム。通称青盤である。(あぶらだこのアルバム名は全部あぶらだこである。)
当時あまりにも奇怪な内容にレコード会社から販売する事が出来ず、自主制作で販売された代物である。そしてあぶらだこ屈指の奇怪さと異形さを誇りながらも、今なお色褪せる事の無い大傑作である。僕があぶらだこで一番好きな作品もこの青盤である。
収録時間は12曲で25分と、かなりコンパクトな作品ではあるが、その短い収録時間には異形のカオスがどこまでも漂っている。オープニングを飾るインストナンバー第1曲「北極」から乱れ咲く変拍子の嵐、そして第2曲「29」にて混沌は一気に最高潮に!圧倒的な技術に裏打ちされた楽器隊のプログレッシブな演奏に、ヒロトモのぬらりひょんの喋り声みたいなボーカルが乗り、既に他の何処にも属さない圧倒的な個性を放っている。
やたらメロディアスなのに、それが逆に余計おぞましさを感じてしまう第4曲「祝言」や第6曲「陰徳」。第7曲「南極」を皮切りに一気に突風の様に駆け抜けていく後半のカオスの数々!特に祭囃子の様なドラムが特徴的な第10曲「四部屋」は名曲!!
そしてこのアルバムのハイライトはやはりラストの第12曲「アンテナは絶対」であろう!やたら哀愁を漂わせるベースで幕を開けコーラスのかかったやたら泣きのメロディのギターフレーズに性急に変拍子を繰り出すドラム、そしてヒロトモが繰りに出す深い意味がありそうで、でもそんな物は無さそうな感じの言葉の数々!!あぶらだこには似合わない言葉かもしれないが、どこまでもメランコリーな名曲だといえる。
このアルバムから、木盤でサポートをしていた吉田達也から、現在でもメンバーである伊藤氏がドラムを叩いている。伊藤氏は吉田達也に負けず劣らず素晴らしいドラマーである。そしてギターのイズミ氏が最もブチ切れてたのは間違いなくこの青盤ではないだろうか。
あぶらだこは現在までマイペースながらも活動を続け、数々の名作を残している。しかしこの青盤は、80年代ハードコアパンクの金字塔であり、ハードコアパンクのバンドでありながら、その音楽性を一気にブチ壊して、未開の極地に旅立ってしまったバンドが残した、規格外の大名盤、必聴!!!!!