■bury the sun vol.4(2013年5月31日)@新代田FEVER
・BOSSSTON CRUIZING MANIA × DJ MEMAI
一発目はフロアの方でボストンのライブからスタート。今回はギターの方が一人不参加で4人編成だが、代わりにDJ MEMAIを迎えてのライブ。ボストンといえば断層と断層の狭間にある不穏さと不条理を壊れながら構築し破壊するダンスミュージックを鳴らしているがDJ MEMAIのプレイはボストンに新たな不穏さを加えていた、1本少ないギターに代わって、不気味な音を鳴らすスクラッチがその穴埋めを単純にするのではなく、また違う不穏さを加え、新しい断層を構築していた。新曲も即効性が高い物でありながら相変わらず一筋縄ではいかないエスヒロ氏の言葉の洪水と揺らぎに揺らぐビートの数々。ポストパンクを分解に分解を重ねて、よりミクロとマクロを行き来するボストンのダンスミュージックはますます磨きがかかっている。今後どうなっていくのか楽しみだ!
・LOOLOWNINGEN & THE FAR EAST IDIOTS
お次はステージにてLOOLOWNINGEN & THE FAR EAST IDIOTSのライブ。気づいたらキーボードの方が脱退して3人編成になっていたのだが、それが逆にただでさえ音数の少ないアンサンブルがよりスカスカになり、しかしスカスカの音の空白すらグルーブにする骨だけのブルース。赤倉氏のセンスにアンサンブルが更にぐにゃぐにゃの癖を与え、それだけじゃなくよりサイケデリックな引き摺るグルーブが以前観た時よりも更に加速し、より脳をぐにゃぐにゃに揺らし溶かす陶酔のロックを極めようとしていたのだ。バンド名通り流浪する音が確かな骨となりアンサンブルを生み出し、ロックの先のロックを生み出すこのバンドのライブ、更に凄い事になっていた!!全てを溶かしつくすサイケデリックさ、もう溺れそうになる!!
・HABIT
再びフロアでHABITのライブ。初めて観るバンドだったが、ボーカルの人がキーボードも弾き、ポストロック的でありながら、もっとぐにゃりとした不気味さがあり、整合性があるのにカオティック、何より不気味なキャッチーさすら感じさせるメロディ、ポストパンクとだとかニューウェイブ的な流れもあるのに、その括りだけでは括れないバンドだと思ったし、変則的でありながらもキッチリ整理されたアンサンブルに乗る歌声は奇妙な捩れこそ感じさせているのに、どこまでも確かに歌っている。雑多な要素を組み合わせて、ジャンクでありながらどこまでも歌物で、しかしズレている。そんな奇妙な感覚を想起させるバンドだったし、不思議な浮遊体験なライブだった。
・naxat
遂に1st音源をリリースしたnaxatのライブ。今回の面子ではかなり浮いた感じの音楽性ではあるけど、A Perfect Circleを90年代の日本のロック的センスで鳴らし、複雑でありながらも耽美であり懐かしさも感じさせる彼らだが、ライブは更に良くなっていた。特にリズム隊は複雑なアンサンブルを絡み合いながらも生み出し、オルタナティブロックとヘビィネスとロックの普遍性を持つギターのセンス、そして耽美でやたらエロい歌声。普遍性を持ち、懐の大きいバンドであると思うし、どんなにテクニカルな事をやっても、それを難解に聴かせないで、ロックとしての強さを放出するライブが更に鍛え上げられていた、特にラストの複雑で壮大な「ShiBa」は圧巻。久々にライブを観たが、ここまで凄いバンドになっているとは思ってもいなかった!!
・Dubbed Groundwork × DUBLGHTNVL
主催の遠藤氏が参加するDubbed Groundwork × DUBLGHTNVL。ドラムとベースと、遠藤氏のサンプリングとコラージュのみの編成で生み出す、プリミティブなダブミュージック。コンパクトでありながらもダブの不穏さとグルーブを見事に叩きつけ、FEVERをとにかく揺らしに揺らす。リズム隊のグルーブが半端じゃなかったし、ダブのマナーに基づきながらも、根本的なグルーブの強みがグイグイと肉体に効く。30分近く、何も考えずにひたすら体を揺らしトリップさせて頂きました。
・TACOBONDS
いよいよライブも終盤になりTACOBONDSのアクト。相変わらずキャッチーで捩れたポストパンクサウンドを3ピースのシンプルな編成で生み出している彼らだが、今回のアクトはなんというか気迫がもう違った。変則的に暴走するアンサンブル。シンプルなギターフレーズを変則的に反復させ、ダンサブルで捩れたビートと絡んで、更に新たな捩れを生み出す。その捩れが生み出す奇妙な磁場はいやにポップであり続けているし、それが余計にこのバンドに坩堝なカタルシスを加速させる。今までに何回もライブを観て来たバンドではあるけど、今回のライブは今まで観た中でも屈指のアクトだったと思う。
・worst taste & special magic
トリ前はworst taste。special magicをゲストに迎えての4人編成でのライブだったが、シンプルなコード進行とポストパンクからダンサブルなグルーブを生み出すビートに加えてspecial magicのスクラッチはまた新たな捻れと覚醒をバンドに与える。絶妙にグルーブの隙間やギターフレーズとシンクロするスクラッチ音が、worst tasteのダンスミュージックを更に一つ上の段階まで持ち上げ、それに加えてバンドの相変わらずハイテンションに突っ走るサウンドが更なる高揚を生み出す。とにかく踊れるのに、単なるダンスミュージックで終わってはくれないworst tasetだけれども、更にキャッチーでありながら、より捻れたサウンドを今回も見せてくれた。
・GROUNDCOVER.
トリは主催の遠藤氏がドラムを叩くGROUNDCOVER.。トランペットの人がもう一人加わって7人編成のライブだったが、このバンドは本当に観る度に凄い事になっている。目の前に設置された巨大なミキサーを望月氏が操り、ダブ的なアプローチで静かに不穏にゆらめきを生み出す前半。いつまで続くか分からない不穏なグルーブの連続、その音が徐々に凶悪さを加速させて、一気に轟音と共にエクスペリメンタルになったらもうGROUNDCOVER.の本領発揮!!望月氏が叫びまくり暴れまくり、ドラムとパーカッションのツインドラムが原始的でありながらも緻密過ぎるビートの躍動を叩きつけ、反響するギターとサックスが脳を覚醒させる、そして終盤のハードコアな楽曲の乱打で一気にテンションは最高潮!!爆音で繰り出される音の洪水、最終的にはパーカッションの人がフロアのテーブルでパーカッションを叩くわ、遠藤氏がフロアに飛び出すわ、最後の最後に望月氏がパーカッションを地面に叩きつけ、狂乱のトランス天国は幕を閉じた。
GROUNDCOVER.のアクトが終わり、遠藤氏が来ていた客に簡単に感謝の言葉を述べて、今回のイベントは幕を閉じた。数えれば4回目となった深沢氏の追悼イベントだけど、今回も感傷は何も無くて、本当に単純に楽しいイベントになったと思うし、深沢氏の存在があったからこそこうしたイベントが続いていくのだと僕は思う。昨年のこのイベントの時も思ったけど、今回参加したバンドの点と点を結んだ深沢健介氏という存在、そしてその親交と存在をポジティブな意思でイベントを開催した遠藤氏、six o'minusという素晴らしい音楽を作ってたバンド。僕はそれらに単純に感謝の気持ちがあるし、だからこそ楽しい時間を過ごせるんだと思う。