■Milanku & Archaique Smile JAPAN TOUR 2013 FINAL(2013年10月14日)@新宿NINESPICES

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 カナダはモントリオールの美轟音4人衆であるMilankuの初来日ツアー、Milankuの日本盤をリリースしたTokyo Jipiterのサポートにより日本の轟音ポストロックバンドであるArchaique Smileと共に約二週間に渡って日本をツアーした彼等だが、そんな彼等の日本でのツアーを締めくくるツアーファイナル。共にやり合った国内勢もとんでもない猛者のみが集結し、Milankuの日本でのツアーを支えたが、そんな素晴らしいツアーの千秋楽は本当に一言で言えば最高のライブになったし、本当に心に焼き付く夜になった。僕は今回のツアーは一発目の吉祥寺WARPでのArchaique Smile企画の方に足を運んだが、再びMilankuの勇士を見届けに今回はナインスパイスへと足を運んだ。先ず本当に多くの人々がナインスパイスに集結していたのが嬉しかったし、何よりもMilankuの最高のライブは勿論だけど、本当に何度も心に焼き付く瞬間があった。そんなスペシャルな夜の一部始終をここに記す。



・OVUM

 先ずは都内のポストロックバンドであるOVUMのライブからスタート。過去作を一枚聴いてたし、今回どんなライブをするか非常に楽しみだったが、見事に良い意味で予想を裏切られた。僕の中で彼等は正統派な轟音系ポストロックバンドという印象が強かったけど、今のOVUMはマスロックの要素も盛り込み幻想的サウンドを鳴らしながらも、肉体へと直接訴える音を鳴らすバンドになっていた。卓越した演奏技術は勿論だけど、神々しさの中にあるソリッドに尖る音は轟音パートでも見事に映えていたし、そのアンサンブルは肉体の躍動と機能性を持ち、美しいフォルムを持っているけど、そこにプリミティブな荒々しさもあったし、本当にバンドとして聴く物に訴える力があると個人的に感じた。インストでありながら、より雄弁に直接的に訴える力を手に入れ、更には正統派のポストロックバンドとしてのエヴァーグリーンな高揚と轟音を見事に出していたし、元々かなり良いバンドだと思ってはいたけど、本当に化けたなと今回彼等のライブを初めて観て思った。

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・MERMORT sounds film

 全く予備知識が無い状態でライブを観たけど、このバンドもかなりぶっ飛ばされた。ラップトップ、ドラム、ベース、ギター、キーボードの編成の4人組インストバンドだけど、本当に簡単に枠組みにハマってくれない音だし、常に鋭利な刃物を向けられているかの様な緊張感が凄まじかった。最初はインプロ的な不協和音からライブが始まり、一瞬その手のノイズバンドかと思ったけど、その不協和音がダイナミックな躍動として轟いた瞬間に意識を持っていかれてしまったよ。個人的には非常にアンサンブルは鉄壁なのに、どこかジャンクな未整合さを感じ、不協和音ばかりのフレーズが止め処なく押し寄せながら非常に気持ちが良い。リズム隊の変則的でありながら、快楽的なグルーブを下地にして、ソリッドに突き刺すギターのフレーズが本当に強烈でもあったし、反復する不協和音のキーボード(キーボードの女性の方が凄い美人だった)が歪な高揚を生み出していく。そして音の坩堝が天国でも地獄でもない、また違う次元の何処かへと意識を連れ去っていく。反復と高揚の新しい肉体的音楽として確かな凄みを個人的に感じたし、かなりインパクトあるライブをしていた。

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・blue friend

 お次は国内若手激情の注目株であるblue friend。ライブを観るのを非常に楽しみにしていたバンドの一つだけど、彼等は現在進行形のUS激情の流れを汲んだバンドだし、歪みとクリーンさが絶妙なバランスを持ったサウンドと、性急でありながらも練り込まれた楽曲が非常に魅力的だし、ハードコアの中で生み出されるメロディアスなエモーショナルさと、ツインギターボーカルによるハイトーンのシャウトの絶唱がまた胸を熱くする。ライブ自体は洗練なんか全然されてはいなかったし、本当に暑苦しい位で、不器用に突っ走る荒々しさを本当に感じたけど、完成度の高い楽曲を、プリミティブな初期衝動に任せて放出する事によって生まれる説得力は大きい。ソリッドに走り抜ける音と激情はストレートに聴き手を打ち抜く力が確かにあったし、これからの激情のシーンを引っ張るバンドになる可能性は本当に大きいだろう。初めてライブを観たけど純粋に格好良いライブをしてたと思う。

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・isolate

 来月にはThe Secretを招聘してのツアーを控えている東京暗黒重音楽団ことisolate。先日の新作EPの出来も本当に素晴らしかった彼等だけど、数ヶ月振りに観た彼等のライブは更に凄まじさを極めていた。新作の楽曲は精神の奥底へと抉り込む深みを持っているけど、より鋭利になり、殺気と憎悪を精神的重苦しさと同時に圧倒的速さで繰り出し、ただ単に速くて重くて暗いだけでは無くて、その目まぐるしく変化していく音に確かなドラマが存在し、トレモロと速さの美学を徹底的に追求しているからこその激情は、何度ライブを観ても本当に郡を抜いているし、唯一無二だ。トレモロとブラストによる音速の美轟音はライブでは邪悪な音塊になり、冥府の先へと引きずり込んで来るし、何よりもメンバー全員が本当に凄まじいテンションで繰り出す音に説得力があるのだ。血で染まる瞬間の憎悪の激情を今回のライブでも見事に体現していたし、益々来月のThe Secretとのツアーが楽しみになって来た。

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・Archaique Smile

 そしてトリ前に今回Milankuと共にツアーを回ったArchaique Smileの登場。吉祥寺でのツアー一発目の時にも感動的ライブを魅せてくれたけど、今回のライブはツアーで培った物も大きかったのか更に凄いライブになっていた。セットこそは吉祥寺の時より1曲多かっただけの全3曲のセットだったけど、吉祥寺の時の彼等が轟音系ポストロックの壮大で無垢な物語のストーリーテラーだとしたら、今回の彼等はそのストーリーを暴力的な位にダイナミックに描くライブだったと言える。高純度の音の渦が渦巻き、静謐さから熱量を徐々に高めて、轟音パートに入りカタルシスが生まれたかと思えば、その轟音パートにも更なるストーリーが存在しているし、最後の最後に一番大きな盛り上がりを見せる楽曲構成もあるけど、今回はその最後のクライマックスの瞬間の轟音が本当に美しさの先にある絶唱みたいな物が見えて来た。本当に全ての楽器の音が感情のレベルを極限まで高めて、喜びも悲しみも全てひっくるめて音にしたという言葉が一番しっくり来るかもしれない。今回Milankuと共にツアーを回ったからこそ生まれた美しい感情の情景は本当に感動的だったし、凄い胸に来る物があった。

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・Milanku

 そして長いツアーの締めくくりは今回のツアーの主役であるMilankuのライブ。ステージでセッティングを終えたメンバー4人が日本語で「乾杯!」と言い、4人で杯を交わしステージの真ん中でビールを飲み干し、そしてツアーを締めくくるライブが始まった。昨年リリースの大傑作の2ndの1曲目を飾る屈指の名曲「La Chute」のイントロの最強にメランコリックなあのアルペジオのフレーズが紡がれた瞬間にもう感情の決壊が確定的だったし、そして歪んだ轟音が渦巻いた瞬間に完全にMilankuが生み出す美轟音の世界が生まれてしまった。繊細なフレーズの美しさと、ハードコアの屈強さ、何よりもそれらが全て激情へと回帰していたし、何よりも本当に全身全霊の叫びを繰り出すボーカルに本当に胸を打たれたし、最初からクライマックスと言っても過言では無い瞬間、本当に泣きそうになってしまった。続く1stからの「Sournoisement」でのタムのロールから始まり、美しい旋律が反復し、高まっていく熱量、シンプルなラインを弾いているだけでありながらも、その音の一つ一つが確かに重いベースのグルーブ、繊細な音の反復が歪んだ瞬間に闇を切り裂き、新たな光を生み出す瞬間とかもう本当に熱くなったし、ヘビィな音がシリアスな情景を描く瞬間も、最早マイクすら通さないで魂のままに叫ぶ瞬間も、本当にクライマックスが何度も何度もあったし、瞬間のカタルシスなんて物ではなかった。
 そしてMCではカンペを見ながらとはとはいえ、メンバーがわざわざ慣れない日本語で今回のツアーの事、ツアーに出演したバンドや来てくれたお客への感謝の言葉を、本当に丁寧に伝えていたし、それもまた熱くなる瞬間でもあったし、本当に今回のツアーがMilankuにとってかけがえの無い物になったのだと思うと本当に自分の事に嬉しくなったよ。2ndからの「L'inclination」と「Inhibition」もプレイし、粗暴さが際立つ前者と繊細さが際立つ後者も確かな線で繋がり、繊細でダイナミックな音とアンサンブルの世界、本当に結晶の様に美しく、そして誰も砕けないダイヤモンドの様でもあったし、シンプルかつダイナミックにライブで再現される楽曲はツアー初日の吉祥寺WARPの時以上に力強く、そして高らかに鳴り響いていた。
 そして最後には吉祥寺WARPの時もプレイしていた新曲を披露。そしてここでまさかのメンバーが自ら今回のライブに出演した出演者や来ているお客を上げれるだけステージへと上げ始める(僕は最前で観ていたので、案の定ステージへ)。そしてステージからMilankuが生み出す美しい激情を体感したのだけど、そのステージからフロアを見ると、フロアには沢山の人の笑顔、何でだろう本当に自分の事の様に嬉しくなったよ。そして本編が終わっても、直ぐにアンコールを求める声が起きて、メンバーはステージから掃けずにそのまま「La Nausée」をプレイ。シリアスな緊張感をダイナミックに叩きつけるこのインスト曲は、ライブでは更なる説得力が生まれ、そして最後の最後はストレートに激情を放つ音塊になり、もうステージはメンバーと出演者とお客さんで所狭しになっていたし(MERMORT sounds filmのメンバーさんは演奏中のメンバーと肩を組んでいたりした)、本当にゼロ距離でMilankuの音を感じ、本当に幸福な瞬間だったと思う。こうしてMilankuはツアーファイナルで本当に魂を焼き尽くすライブを飾ってくれた。



セットリスト

1.La Chute
2.Sournoisement
3.L'inclination
4.Inhibition
5.新曲

en.La Nausée

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 Milankuのライブが終わった後、本当に多くの拍手が巻き起こっていたし、ステージに上げられてた僕は気づいたらMilankuメンバーと何度も抱き合ってた。もう何というか上手く言葉になんか出来ないけど、本当に何度も何度もスペシャルな瞬間が本当にあったし、カナダという遥か遠い地からやって来てツアーをしてくれたMilankuのメンバーにまず本当に大きな感謝を。Milankuというバンドはこの日本ではお世辞にも知名度があると言えるバンドではないとは思う。でも彼等が鳴らす激情の美轟音は本当に唯一無二だし、だからこそ今回のツアーファイナルに多くの人が集結してたと思うし、Milankuの来日ツアーのラストが本当に最高な位に大団円で終わって良かったと本当に思う。
 僕はあくまでも単なるMilankuのファンではあるけど、本当に今回のツアー2公演に足を運んで良かったし、このツアーは本当に単なる外タレの来日ツアーでは無かったと思う。アルカイックのメンバーがMCでMilankuの事を家族だと言っていた事も、他の出演者がMCで口にしたMilankuへのリスペクトの言葉も、何よりもMilankuの4人の最高のライブと、彼等の笑顔、全てが本当に特別な物だったと思う。改めてここで遥か遠くから日本の地を踏んで最高のライブをしてくれたMilankuに感謝の言葉を。本当にありがとう。そして今回のツアーを企画し、Milanku来日ツアーを実現して下さったTokyo Jupiter recordsの西田さんと、Milankuと共にツアーを回ったArchaique Smileにも多大なる感謝とリスペクトを。



 Milanku、本当に日本に来てくれてありがとう。また会う日を今から楽しみにしてるよ。
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