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■第五作品集『無題』/downy


第五作品集『無題』第五作品集『無題』
(2013/11/20)
downy

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 遂に遂にdownyが帰ってきた!!まだ日本でポストロックという物が市民権を得て無かった00年代前半に活動し、その独自の音で人気を獲得していたdownyだが、04年に活動を休止、メンバーはそれぞれ音楽活動をしていたが、それが再集結し、そして遂に新作をドロップして完全に帰ってきた。実に9年振りの5thは今回もタイトルは「無題」そのアートワークむ含めて相変わらずdownyだ。そしてその内容はこれまでのdownyを更新し、9年の歳月を経て、また新たな地平を切り開く傑作だった。



 9年振りのアルバム、その間にシーンも大きく変化した。downyはライブでVJを取り入れてる先駆者だったが、そんなバンドも珍しくなくなった昨今、今の時代にdownyはどんな音を繰り出すか、本当に読めなかったし、楽しみであったが。この新作は見事にdowny節全開でありながら、これまでの音を更に発展させる作品に仕上がっている。完全にポストロックに振り切った3rd、そしてインダストリアルさも手にした4th。今回の新作は4thの時にあった無機質な人力のビートのおぞましさをそのままに、少しばかり3rdの頃の路線に回帰したのが、先ず初めに聴いて受けた印象。打ち込み的な方法論をバンドサウンドで繰り出すdownyの音は相変わらずだ。でも今作はそれをより歌物の方向へとシフトさせた印象も非常に大きい。ギタボの青木ロビンのおぼろげで歌詞なんて聞き取れないあのボーカルも相変わらずだけど、今まで以上に歌の方向へとシフトしてる印象もある。今作で感じたのは先駆者が自らの音を更に洗練させたという事だ。
 downyのリズム隊は本当に凄まじい事は言うまでも無いけど、今作ではそのリズム隊の進化が本当に凄い。実質オープニングを飾る第2曲「赫灼セルロイド」からそのリズム隊の凄みは炸裂。ほとんど打ち込みに近い無機質で正確無比な秋山氏のドラムは更にキレまくってるし、仲俣氏のベースは本当に奇抜さと安定感と重みを感じさせる。更に鉄の切れ味を感じさせるリフと、浮遊するギターがまた格好良くて、のっけから斬り捨て御免だ。第3曲「曦ヲ見ヨ!」なんて完全にドラムンベースとかそっちの方向に行ってるドラムがまた印象的であり、downyのビートの美学が更に研ぎ澄まされている。その中で冷徹な哀愁を感じるギターの音色と歌が見事な調和を果たし、そして全てを分断する鋭さも凄い。
 そんなオルタナティブロックの色を見せながら新機軸を魅せる序盤の2曲から持って行かれるけど、第4曲「下弦の月」からは今作の核へと入り込む、全ての音が無機質さの中で揺らぎを見せ、不穏な静謐さと、より歌を前面に押し出しているし、これまでの作品で見せて来たアプローチや方法論を見事に昇華した第5曲「時雨前」の微かなエモーショナルさ、ダウナーなビートと、陰鬱さが際立つ第6曲「黒」、これまで浮遊感を押し出してきたギターのアプローチが、陰鬱で美しいアルペジオと不穏に入るアンビエンスさで変化し、ほぼシンセと化したフレーズの奇妙高揚、そしてここでも際立つ歌が沁み込む第7曲「春と修羅」は本当に素晴らしい。青木裕のギターはこれまでの鋭利さを持ちながらも、轟音のアプローチ以上に不穏な浮遊感を感じるギターワークが今作ではかなり増えているし、3rdで見せたあのギターワークを更に発展・進化させている。それが青木ロビンのギターフレーズと調和を果たし、更に神秘性と陰鬱さを高めているのだ。
 終盤の第10曲「或る夜」はよりフリーキーさと断罪の様な鉄槌、そして秋山氏の凄まじいドラム捌き、今作の中では特に4thの路線に近い楽曲だけど、それもまた新たな形で進化させている。最終曲「椿」はまさかのオリエンタルなアコギのフレーズを全面に押し出した楽曲だが、そんな楽曲が今作で一番の歌物で、柔らかで優しい音色に包まれて今作は終わる。



 実に9年振りのアルバムだし、本当にどんな作品になっているか全く想像が出来なかったけど、いざ作品を聴くと、これまでのdowny、そしてこれからのdownyであり、自らのこれまでのキャリアや音を踏まえ、そしてそれを一番確かな形で進化させた作品である。9年の歳月を経てもdownyというバンドは何もブレてないし、そして今作の音はやはり先を行く音だ。これはdownyが孤高の先駆者だからこそであり、そして2013年現在でdownyはそうであり続けている。本数こそ少ないが年末にはライブを控えているし、downyの音は今こそ本当に有効だと思う。孤高の先駆者による孤高の傑作だ。



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