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■Ashura/Cyclamen

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 現在はタイに在住する今西勇人氏率いるCyclamen。一度はバンドとしては解散してソロユニットになったが、再びバンドとして活動を再開、そして少しずつ日本でもその名を広げているが、そんなCyclamenの3年振りのリリースとなる2ndアルバム。EP作品「Memories, Voices」からは一年振りの音源だ。Djentのムーブメントの一角として登場した彼等だけど、今作は「怒り」をテーマにしており、これまでの作品で一番攻撃的な作品になっている。



 Cyclamenと言えばDjentのバンドでありながら、激情と多様性とポップネスが本当に大きな武器になっているが、今作ではそのポップネスと多様性の要素は影を潜め、変わりによりカオティックで攻撃的なサウンドが本当に全面に出ている。これはこれまでのCyclamenを知っている人は戸惑いを覚えてしまうかもしれない。しかし怒りに特化したサウンドの説得力と破壊力はやはり凄く、Cyclamenの変則的かつカオティックに展開されるサウンドと、より烈火の如く攻める激烈な音はまた違うインパクトを与えてくれるだろう。そしてこれまでで一番統率されたサウンドはアルバムとして大きく纏まっているし、その中でドラマティックにアルバムは進行し、攻撃性を高めつつも、彼等の激情は更に極まっている。
 楽曲のタイトルもこれまでの英語のタイトルと違い、全曲四文字熟語のタイトルになっていて、それだけでも作品として一つの統率を感じさせるけど、第1曲「破邪顕正」からそのコンセプトになっている怒りを感じさせる。これまで以上にブルータルの成分を感じさせる。今西氏のボーカルも今まで以上にシャウトをかましているし、その歌詞も悲しみと怒りを強く感じさせる物になっている。カオティック成分が本当に大きく増幅しており、変拍子でテクニカルにアンサンブルを奏でながらも、とにかく攻めに攻めまくっている。サビではこれまで通りにクリーントーンの歌を聴かせているけど、それでもアンサンブルの攻撃性は変わらないし、煉獄のサウンドが展開されている。
 序盤の4曲はそんな楽曲が続くが、第5曲「悲歌慷慨」からはダウンテンポで進行する楽曲になり、そしてより悲壮感を強烈に感じさせる。前半の怒りの楽曲から中盤の悲壮感の楽曲の流れはドラマティックさを強く感じさせる。第7曲「余韻嫋々」ではそれが本当に痛烈に放たれている。そして今作の核となるのは、アルバムの終盤を飾る3曲だと僕は思う。そのタイトルに恥じない怒涛のサウンドが炸裂する第8曲「疾風怒濤」はCyclamen至上最強のサウンドを見せ、目まぐるしく展開されるサウンド、怒涛の勢いで攻める音、そんな攻撃性の中で感じるエモーショナルさ、リフとビートの応酬といい、その展開といい本当に強烈なインパクトを残す、そんな楽曲に続く第9曲「神武不殺」は今作のハイライトを飾るに相応しい楽曲であり、序盤のカオティックサウンドから楽曲は急激に静謐な美しさが姿を現し、これまでの烈火のサウンドから一転、Cyclamenのもう一つの持ち味である、神秘的でドラマティックな激情のサウンドが開花、今西氏の叫びと共にドラマティックなサウンドが本当に繰り広げられており、その情景は熾烈なる今作の中でも大きな救いであり、神々しい光が本当に差し込んでいる。そしてアコースティックギターの美しい旋律と今西氏の歌が静かに美しい波紋を生み出す最終曲「空即是色」の優しさ、熾烈なアルバムではありながら、終盤の三曲が本当に素晴らしく、そのクライマックスは本当に鳥肌物だ。



 これまでの作品とは路線がまた違う作品ではあるけど、Cyclamenというバンドの持つ激情はブレていないし、それはより際立った印象を受ける。コンセプト作品だからこそ楽曲では無くて、作品全体で聴かせる作品だと思う。本当に終盤の3曲の完成度は高いし、本当に胸を打つ激情が見事だ。これまでのイメージを覆しながらも、その中でも確かに存在する激情、今作も見事な1枚だ。また今作はbandcampページにてname your priceで販売されているので是非チェックを。盤の方もいずれ日本でも販売される予定らしいので、そちらもチェックをして頂きたい。国外で活躍する今西勇人氏が生み出す音は、やはり枠に囚われず、自由に大胆に展開されている。そんな今西氏に同じ日本人として改めて大きなリスペクトを。



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