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■youth(青春)/bloodthirsty butchers


youth(青春)youth(青春)
(2013/11/14)
bloodthirsty butchers

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 本当に皆、このバンドの背中を追いかけ続けていたんだと思う。今年の5月にフロントマンである吉村秀樹が逝去、本当に伝説の存在になってしまった日本のオルタナティブロック・エモを語る上で絶対に外せない伝説であったブッチャーズ。吉村氏の死はブッチャーズと共に青春を送った僕にとっても本当に大きな衝撃と悲しみがあったし、僕は実際に未だに吉村秀樹と言うジャイアンが死んだのを全然実感出来ていない。そして届けられた吉村氏が亡くなる直前に完成したのが今作だ。吉村秀樹と言う男が最後に残した最高のアルバム。ブッチャーズは本当に永遠の存在であり、俺達のブッチャーズであり続ける。今作を聴いて僕はそう思った。



 アルバムタイトルは「youth(青春)」25年以上も活動を続けたバンドが還った場所であり、きっと僕達の中ではもう失ってしまったかもしれない瞬間。だが今作に存在する音は間違いなく青春の時間のそれであり、そして吉村秀樹が苦悩を重ねた末に見つけた答えだったのだと思う。今を生き続ける、その瞬間こそが青春だと。
 力強い小松氏のドラムから始まる第1曲「レクイエム」から本当に這ってでも生きる意志が漲っている。田渕ひさ子が加入し4人になってからの編成での最高傑作であった前作「無題 NO ALBUM」と方向性こそは大きく変わらないかもしれない。しかし本当にその旋律は瑞々しい青を生み出し、爆音バーストのサウンドではなく、クリアで透明度に満ちた2本のギターが紡ぐメロディと力強いドラムと、射守矢氏ならではの、うねりながらメロディの核を司るベースライン。それらが確かに手を取り合い、そして新たな光を本当に真直ぐポジティブに描く。それはブッチャーズというバンドが何度も苦しみを重ねながら血を吐きながら、それでも歩みを進めたからこそだし、その説得力は本当に凄い。第2曲「コリないメンメン」なんて歌詞からもう絶望の先を力強く歩むアンサンブル、決して鋭利に突き刺しながらも、本当に優しく無く吉村氏特有のファズギター、力強く叫ぶ「イエー!!」、決して凡百のバンドには生み出せない鉄壁であり、繊細で複雑なアンサンブルで描かれる心に入り込む優しい旋律。本当に堪らない。もうこれぞブッチャーズな疾走感と蠢くディストーションギターから始まる第3曲「デストロイヤー」の渋さとポップネス。今作はこれまで以上に作品全体の風通しの良さがあるし、ベテランバンドとは思えない瑞々しい青さを、数多くの死線をくぐり抜けたバンドでしか生み出せないアンサンブルと、一つの絶望すら越えた先のがむしゃらさ、新たなる衝動。それを楽曲と歌詞で出し切っているのだ。第4曲「ディストーション」も第5曲「サイダー」もそんなサウンドが溢れているし、胸を焦がすセンチメンタルさ、本当に前を向き続けるサウンド。多くの人が引用しまくっていると思うけど、生前に吉村氏が残した「次のアルバムはね俺の最高傑作な音像なのよ、つまり説明つかないの、早く早く人の気づく間より早く早く、情熱。まだまだアルヨハードコア!」という言葉通り、ハードコアパンクから始まったブッチャーズが多くの変化と進化を遂げて歩んだ道は、全くブレてなんかいないし、今作にあるのは間違いなく吉村氏のハードコアな衝動だ。それを攻撃的なサウンドでも、分かりやすい爆音のバーストでも無く、広大なる大河の流れであり、照りつける太陽の様でもあり、静かに吹き抜ける風の様でもあり、そしてこの身を燃やすエモーショナルさ。本当にそれが純度1000%で存在している。
 アルバムの後半になると、その郷愁は更に天井知らずになり、もう帰れない場所への想いを歌う、ミドルテンポで緩やかでありながら切なく進行し、中盤のギターが本当に身を切る切なさで溢れる第7曲「Goth」、再び躍動を見せるアンサンブルと共に、吉村氏とひさ子の歌が胸を抉りまくり、2本のギターが泣きに泣きまくる、これぞ4人になってからのブッチャーズの真骨頂と言える第8曲「ハレルヤ」、そして新たな始まりを告げる第9曲「youth パラレルなユニゾン」で僕の涙腺は本当に崩壊してしまった。そして最終曲「アンニュイ」は冒頭ではインプロ的で複雑なアンサンブルを見せながらも、最後は結局ブッチャーズへと還っていく。そしてそれがまた第1曲「レクイエム」へと繋がっていく気が僕はするんだ。本当に終わりすら越えた先にある始まりの作品だと思う。



 今作を聴いて、本当に吉村秀樹の決して枯れる事の無い衝動が溢れに溢れていて、吉村秀樹は本当にこの世の人で無くなった事が益々信じられなくなってしまった。確かに俺達のジャイアンはもうこの世の人間じゃねえし、あの世に逝ってしまったんだと思う。でも、でもそれでも、俺の中では吉村秀樹は死んでなんかいなくて、この浮世だろうと、涅槃だろうと、吉村は絶対に爆音でギターを弾きながら歌っているんだ。こんな事を思ってしまった。これまでのブッチャーズの作品達がどれも聴く人にとって「俺達のブッチャーズ」であったのと同じで、今作も聴く人の数だけの「俺達のブッチャーズ」、そして「青春」が確かに存在するのだと思う。僕は心からこの作品に出会えて良かったと思う。俺はずっとbloodthirsty butchersというバンドを聴き続けていくだろう。この音がある限り、俺の魂はずっと生きていける気すらするんだ。



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タグ : 日本 エモ

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