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■『或る日の暁』 TOUR(2013年12月18日)@渋谷WWW

 まさかこんな日が来るなんて夢にも思っていなかった。2004年に活動を休止していた国内ポストロックの先駆者であるdowny。活動再開宣言、9年振りの新作。そして新作を引っ提げてのツアーだ。東京・大阪・沖縄のたった3公演だけどdownyが新作を生み出しライブツアーをする。そんな日が来るなんて本当に夢の様だった。downyが活動休止していた間にdownyを知った人も多いし、シーンも変わった。だからこそdownyは多くの人に愛されるバンドだったし、それは今だからこそなんだけど、本当にこの日を待ち望んだ人は多かった筈だ。勿論チケットはソールドアウトだったし、僕が足を運んだWWWでのライブには本当に心からdownyを待っていた人で溢れていた。downyのライブが見れる、その瞬間を待ってたんだよ。



 15分程押して客電が落ちる。そしてメンバー4人が静かにステージに登場してセッティングを始める。そして始まったのは「酩酊フリーク」。あの猿が手を叩いている映像が流れ、印象的なクリーンに歪んだギターのイントロが始まった瞬間にもう感動で意味が分からなくなった。downyの中でも躍動感のあるこの楽曲の破壊力、青木ロビンの浮遊する歌声、硬質で完璧に噛み合ったリズム隊、2本のギターの轟音、それだけでもう嬉しくなってしまったよ。続く「葵」で更に美しき音像は加速し始める。正直に言ってしまうと今回のライブは僕からしたら初めてのdownyのライブだっつぃ、ライブ全体を通して青木裕のギターの音が少しバンド全体の音の中で少し弱めに感じてしまったりとかはあったりもしたし、活動休止前の楽曲は想像よりも少し大人しい印象も受けた。それでも完成されていたのだ。「葵」も音源よりも轟音の殺傷力は少し弱くは感じたけど、それでも4人のアンサンブルに本当に隙は何一つ見当たらないし、それに加えてバックに流れる映像はdownyの音を本当に高次元の物に仕立て上げている。「黒い雨」ではdownyの持つ静謐さの中で生み出される不穏さ。その部分がとんでもない次元で完成されていたと僕は思うし、特にリズム隊のアンサンブルは本当に神経の一本一本まで完璧に生み出されていた。新作の楽曲である「或る夜」ではdownyの持つ不穏な躍動と言う点がかなり色濃く出ていたし、そこから「漸」、「⊿」と鉄の匂いを強く感じさせる鋭利な音が生み出す断罪としてのdownyの楽曲へと繋がる流れは見事だったし、特に「⊿」の美しいアルペジオと狂気を感じさせる硬質のリフと、完全に機械レベルまで研ぎ澄まされたリズム隊のアンサンブルは鳥肌が立つかと思った。その流れからの「苒」のスロウさとメロウさと静謐な浮遊感と沈む感覚、それをドラマティックに鳴らす時間はライブ前半のハイライトだったと個人的に思う。
 ライブも中盤に入ると新作の楽曲を立て続けにプレイ。「赫灼セルロイド」のズタズタに切り刻まれたギターフレーズとその鋭利さと不穏な音像の調和は攻撃的サウンドでありながらも、絶妙な熱が生み出す不気味さも際立っていた印象。そこから「時雨前」、「黒」という新作の中でも特に歌物の要素の強い2曲が続く。この2曲は映像も含めて非常に感動的で、五感と感情を一気に想起させられてしまったし、独自のアンサンブルを奏でながらも、際立つ青木ロビンの歌がかなり心に来たし、downyがここまで歌とメロディアスさに振り切った楽曲を生み出すなんて活動休止前じゃ本当に想像出来なかった。そしてここからの流れはバンド自体に火が付いて来たのもあるけど圧巻だった。先ずはdowny最強の1曲である「左の種」だ。あのクリーンでクランチ気味に歪んだギターのストロークが鳴らされた瞬間、アルペジオ中心に進行しながらも途中何度も入り込む力強く鳴らされるドラム、中盤の狂騒、そして最後の最後に感情が決壊した様なリズム隊の音と泣きまくる青木裕のギター、本当に泣きそうになってしまったよ。
 もう完全にdownyの音に取り込まれてしまってからの青木ロビンがシンセの前に座っての「春と修羅」。シンセの浮遊する音と、仲俣氏のベースラインが非常に印象的でもあり、沈んで行く中で生み出される奇妙な高揚感は堪らなかったし、「下弦の月」の美しい音と、精密機械のビートと青木ロビンの歌もまた感動的であった。「無空」のコールタールの中に沈んで死んでいく様な感覚で窒息しそうになりながらも、2本のギターの美しいフレーズに溺れ死にたくなる陰鬱さも堪らなかったし、その空気を打ち破る人力ドラムンベースのダウナーな狂騒「曦ヲ見ヨ!」と終盤は本当にdownyというバンドのポテンシャルを存分に発揮しまくっていた。そして「アナーキーダンス」のこれぞdownyとばかりに静謐さと轟音の対比を生かした悲哀のサウンドはもう圧倒的過ぎる。その空気を壊すようにインダストリアル風味のビートの乱打と歪んだギターの轟音渦巻く「弌」は正に破壊の旋律!!この終盤の流れは本当に圧巻で言葉なんかじゃとてもじゃないけど表せない。そしてこれまで全くMCをしなかった青木ロビンがやっと口を開き、少し照れくさそうに「ただいま」の挨拶、来年3月にリキッドルームでのライブが決まっている事を簡潔に伝え。少し照れくさそうな青木ロビンがこれまでの緊張感溢れるライブから少しほっこりした空気へ。そして最後の曲というMCから始まったのはdowny最初期の名曲である「猿の手柄」、この静謐さと不穏さとドラマティックさと轟音バーストの全てを持つ最初期の楽曲はdownyの核とも言える楽曲だし、今回の新旧織り交ぜた全18曲の最後を締めくくるに相応しい名曲だった。最後の最後の不穏な轟音のアンサンブルもやはり圧巻だったし、本当に異次元の空気を生み出していたのだ。響き渡る轟音の残響の中でメンバーはステージを掃ける。そして客電が点いても鳴りやまないアンコール。最後に青木ロビンが一人登場し「おじさんヘトヘトです。」って言ってアンコールが無い事を改めて告げ、そしてこの日いたお客への感謝の言葉を述べてまた静かにステージを掃ける。こうして全18曲1時間45分程のライブは幕を閉じた。



セットリスト

1.酩酊フリーク
2.葵
3.黒い雨
4,或る夜
5.漸
6.⊿
7.苒
8.赫灼セルロイド
9.時雨前
10.黒
11.左の種
12.春と修羅
13.下弦の月
14.無空
15.曦ヲ見ヨ!
16.アナーキーダンス
17.弌
18.猿の手柄



 言ってしまえばそのアンサンブルも映像も含めてdownyのライブは本当に一つの形として完成されているし、長いブランクがあったにも関わらずこれまで高次元のライブを繰り出していた事も驚きだし、本当に意識という意識が別の世界へと連れて行かれるライブだったと思う。僕自身は活動休止前からdownyを聴いてはいたけど、ライブに足を運ぶ前に活動休止してしまっていたし、今回downyを知って10年近い歳月を経てやっとdownyのライブを観れたのだけど、本当に凄いライブだった。想像よりバンドの音は攻撃的では無かったし、どちらかというと緻密さが際立つライブではあったけど、それでもdownyという国内ポストロックの先駆者の孤高のライブは本当に脳に焼き付いて離れていない。3月にリキッドでのライブも決まっているし、マイペースではありながらもこれからもdownyというバンドは続いていくのだと思う。そして孤高の先駆者であるからこそ、その音もライブも素晴らしい物を見せてくれるんだ。downyというバンドは本当に代わりのいない唯一無二のバンドなんだ。
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