■Jane Doe/Converge
![]() | Jane Doe (2001/09/04) Converge 商品詳細を見る |
ボストン出身のカオティックハードコアのシーンを作り上げたといっても過言では無い、00年代のハードコアシーンを語る上では絶対にに外す事の出来ない最重要バンドConverge、そのConvergeが01年に発表したのが今作であり、00年代を代表するマスターピースの一つだ。一歩間違えれば崩壊してしまうアンバランスさでありながらも、混沌とした音が奇跡のバランスで組み合わさった瞬間、とてつもない破壊力を待ったカタルシスとノイジーな破壊音の雪崩の向こう側にある、百花繚乱の美しき地獄絵図と言っても過言では無い芸術性、文字通りカオティックハードコアであり、しかしその枠の中じゃ収まりきれない圧倒的な力を持った音楽がこの作品には存在する。
第2曲「Fault and Fracture」から名刺代わりと言わんばかりにどこまでもConverge節炸裂の混沌具合にブチ抜かれる、ノイジーであり、ポリリズムを乗りこなすテクニカルなギターのフレーズ、変態的なリズム隊のビートに、力の限り絶唱するボーカル、コロコロと変化していく展開、どの音も圧倒的な説得力と破壊力で鳴り響き、死神がサークルモッシュしてる轟音地獄へと連れて行かれる。第6曲「The Broken Vow」の様などこかキャッチーさを持っている楽曲でもそれは健在、一撃必殺のリフの応酬から、いきなり精神世界のカタルシスに持っていかれ、終盤で極悪ハードコア天国で暴れ狂うという2分弱に詰め込まれた様々なアイデアをどこまでも肉体的に表現している。全体的にコンパクトな形になっている事も、ハードコアとしての即効性や暴力性をしっかりと真空パックしている大きな要因になっていると思う。第8曲「Heaven in Her Arms」が特に素晴らしい楽曲だ、本当に目まぐるしく曲は展開し、暴力性の前半、ドゥームなヘビィさを持った後半、そしてそれに続く美しくノイジーな第9曲「Phoenix In Flight」と、この流れは何回聴いても鳥肌が立つ。そして圧倒的なアート性と美しさで鳴らされている11分以上に及ぶ大作である第12曲「Jane Doe」でこの混沌は一気に神々しさと禍々しさを以って響き渡る。リスナーはそのあまりの美しさに昇天してしまうだろう。
この作品がConvergeをカオティックハードコアの最重要バンドとしての地位を確立させる大きな要因になった事は間違いない。00年代のハードコアとしての形を作り、数多くのフォロワーを生み出した、しかし今作はシーンのオリジネーターの力を嫌でも感じるし、ここまでの域に達してるバンドは後続のフォロワーの中では皆無といっても過言では無い。Convergeはその後も進化を続け、今に至るまでシーンのトップに君臨し続けてる、王者が王者としての椅子を獲得するに相応しい作品だ。この作品が無かったら00年代のハードコアは全く違う物になっていただろう。それほどまでの力がここに存在するのだ。