■Shelter/Alcest


Shelter (Digisleeve Edition)Shelter (Digisleeve Edition)
(2014/01/21)
Alcest

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 最早ポストブラックメタルの代表格とも言えるフランスのAlcestの2014年リリースの最新の4th。前作で郷愁の美しさを見事に鳴らしていたAlcestだけど、今作ではとうとうブラックメタルを完全に捨ててしまったと言える。前作からブラックメタル成分よりも郷愁のシューゲイザーサウンドが前に出始めていた印象を受けるけど、今作はブラックメタル成分は皆無、そのジャケット通り、完全に光を描く作品になった。



 今作でブラックメタルを切り捨てた事に戸惑いを覚える人は多いとは思うけど、僕は今作を聴いて、これは純粋なまでにAlcestの作品だと思った。最初期の本当にシューゲイジングブラックメタルだった頃の影はもう無いけど、でもAlcestが鳴らして来たのは一貫して幻想的な光だと思うし、これまではそのサウンドの核にブラックメタル成分を盛り込んだ手法だったけど、今作はそれを捨て去り、シューゲイザー要素がかなり前に出た。同時にドリームポップな浮遊感を加えた印象。導入の第1曲「Wings」から今作のリードトラックになっている第2曲「Opale」の流れだけで完全に聴き手は美しく懐かしい夢の世界へと誘われてしまうだろう。そのメロディ自体は前作と実はそこまで変わってないし、相変わらず卓越したメロディセンスを誇り、見事な美しさを感じるけど、これまでと違うのは、そのメロディからより光を感じる様になった事。前作の最終曲なんてとんでもなくあ爽やかで驚いたりもしたけど、今作はその流れを引き継ぎ、それをより明確な形に具現化している。正に一つの高揚と恍惚を感じさせる冒頭の名曲だけで完全に持っていかれてしまったよ。
 第3曲「La Nuit Marche Avec Moi」も完全にシューゲイザーサウンドだけど、こちらは少しばかりメロディに憂いを感じさせてくれて、ポップネスの中で絶妙な湿り気が良いアクセントになっていると思う。それでいてドラマティックなシューゲイジングする旋律とneigeの歌が優しく包み込んでくる。第4曲「Voix Sereine」なんてドリームポップな要素を更に押し出し、珠玉の旋律を生かした煌きのサウンドはまるでここ最近のANATHEMAとも繋がっているとも僕は思ったし、その包む音から轟音へと変貌する様は一つの物語としてあざとい位にドラマティックだし、それが良い。その中でも第5曲「L'aveit Des Muses」はポジティブな光を生み出す今作の楽曲の中でも少し異質で、湿り気の部分が色濃く出たメランコリックさはこれまでのAlcestやLes Discretsの流れにある楽曲で今作の中ではかなり異質な楽曲。眩い光だけじゃなくて、作品の中で確かな闇の部分を中盤に持ってくる事によって、作品全体のストーリー性やアクセントをしっかり出しているし、そんな楽曲でもAlcestの旋律の魅力は全然揺らがない。そしてその流れと確かにシンクロしながら第6曲「Shelter」というまた眩い光を描くシューゲイザーへと繋がっていくから凄い。
 終盤の第7曲「Away」はドリームポップなアレンジを施しながらも、アコースティックな郷愁と物悲しさが同居する名曲で、作品がクライマックスを迎えるのを予告しながらも、根本の部分でのAlcestの魅力を十分に伝えてくれる。そして最終曲「Délivrance」は実に10分にも及ぶクライマックスを飾るに相応しい大曲。轟音系ポストロック的な要素を盛り込んだ意欲的な楽曲であるとも思うし、そんなアプローチはより一層今作のサウンドを明確にし、郷愁とメランコリックが大きな波となって押し寄せる感動的過ぎる幻想の物語のクライマックスに相応しいし、これまでとこれからのAlcestを確かに繋いだ屈指の名曲だろう。



 アプローチとしては完全にシューゲイザー方面に振り切った作品だし、今作を大きな変化の作品だと捉える人は多いとは思う。でも僕は今作はアプローチが変わっただけで、Alcestというバンドの核は何も変化していないと思ったし、郷愁とメランコリックさと光を描く夢の様な轟音体験をより明確な形で表現したからこそのアプローチの変化だと思う。Alcestが持っている魅力は何も変わらないし、それはシューゲイザー・ドリームポップに振り切っても揺るがない。個人的にはここ最近のANATHEMAに匹敵するレベルの天上の音が今作にはあると思うし、それを支持したい。来日公演も決まっているし、また日本でALcestに会えるのを楽しみにしつつも、今作の夢の様な体験をまた噛み締めたい。絶対支持。



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