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■GigGeeks Vol.2 -the H-(2014年2月15日)@新宿ANTIKNOCK

 ド変態テクデスバンドとして名を馳せているbilo'uのマキト氏の個人企画として開催されているGigGeeks。今回は総勢8バンドが集結した大規模なイベントになったし、djentやテクデス系のバンドの中に国産激情重要バンドのkillieや愛と憎悪を吐き出す混沌の激情を放つweeprsyといったバンドも参戦!更に今回本当に大きな目玉としては当ブログでもインタビューさせて頂いたdjentも激情もポップネスも越えたハードコアを放つCyclamenが今西氏がタイから来日と言う形で参戦という一つの事件まで起きる始末。ここまで参加バンドが多方面でありながら、全部濃密なバンドばかりなんてイベントは先ず無いし、今回足を運ばせて頂いた。前日の大雪の影響で青森のkallaqriが東京に辿り着けずに直前キャンセルという残念な事態もあったけど(こればっかりは誰も悪くないし仕方ない)、それでも前日の大雪がまだまだ残る中で多くの人が駆けつけた意味は大きいと思う。個人的な話になってしまうけど、苫小牧のHESTEROMEのライブは転換中に知人と話し込んでしまってライブを見逃すと言う非常にグダグダっぷりを発揮してしまってレポとしては不完全になってしまったが、残りの6バンドはしっかりと拝見させて頂いたので、ここにレポを書かせて頂きます。



・weepray

 先ず一発目はweeprayのライブ。今回の大雪の影響は無事に辿り着けたバンドにも大きな影響を及ぼしていてweeprayは上手ギターのタクミ氏が地方在住で、大雪の影響でアンチノックに辿り着けないという事態が発生してしまった。なので今回はタクミ氏抜きの4人編成で、プレイした曲も「この手とその手」と「彼岸花」の2曲というバンド側としては不完全燃焼な事態になってしまった。しかしだ!こんな逆境にも関わらずweeprayは見事にやってくれた。やっぱりツインギターの刻みの絡みが無いと言う物足りなさは普段のweeprayのライブを見ている僕としては少しだけ物足りなさはあった、でもたくみ氏の不在を残った4人の気迫で補うステージはweeprayの負の憎悪と愛を吐き出すハードコアをより濃密な物にしていたと思うし、特にベースとアタケ氏とボーカルのケイゴ氏からはそれを強く感じた。ケイゴ氏はマイクスタンドをフロアに投げ捨てるという事までやらかし、「彼岸花」では本当に殺気に身を任せながら怨念の言葉を吐き出す。やっぱりタクミ氏の不在は大きかったにしても、weeprayというバンドの核は十分に伝わるライブだったし、メタリックでダウナーなサウンドが生み出す混沌は窒息寸前のカタルシスしかなかった。十分過ぎる位に良いライブをしていたし、だからこそまた改めて5人での完全な状態でのライブを観たいと心から思う。



・HAMMERHEAD SHARK

 続いて北海道のdjentのバンドであるHAMMERHEAD SHARK。確かにその音はdjentのそれに間違いはない。バキバキに変拍子でキメにキメまくる変態サウンドが特徴的だし、とにかく情報量が多い。しかしライブをいざ観てみたら、誤解を招く言い方にはなってしまうかもしれないけど、もっとキャッチーな印象を強く受けた。オートチューン担当のメンバーもいたりする事も大きいのかもしれないけど、もっとキラキラした感じの音を放っていたし、もっと素朴なラウドさという点も凄く強かった。変態的なタッピングフレーズをガンガン使っていながらも、それらもポップな要素として機能していた感じもあったし、僕自身は今回初めて彼等の音に触れたけど、楽しそうにライブをするメンバーもそうだし、観ていて純粋にラウドロックとしての楽しさが確かにあった。



・Arise In Stability

 こちらはCyclamenのヒロシ氏も参加しているArise In Stability。このバンドは更に純粋なメタルコアなサウンドを展開。ビートダウンパートなんかもあったりするけど、このバンドも僕は予備知識ゼロの状態で観たからなんだろうけど、もっと純粋なヘビィネスという点を強く感じた。djent的な要素と言うより、本当にプログレッシブメタルな要素を強く感じたし、もっと純粋なメタルな感覚をこのバンドからは色濃く感じた。勿論変態具合はdjentなバンドに何も負けてないし、馬鹿テク具合もガンガン押しまくってくる。でもそんな暴力的カタルシスを放つサウンドには確かな情緒もあったのも事実であるし、このバンドとCyclamenが繋がるのも何だか納得してしまった。こちらも初見であったけど、十分楽しませて頂いた!



・killie

 killieのライブを観るのは、昨年7月のPDSのリリースツアーファイナル以来だから結構久々だったけど、このバンドは本当に観る度に何か凄まじい事になっている。先ずは「脳死は俺の側に」から始まったけど、killieの持ち味である怒りとしてのメッセージを伝えるハードコアは益々ブチ切れまくっていると思った。ベースの吉武氏はのっけからとんでもないテンションで暴れまわっていたし、伊藤氏が吐き出す言葉は本当に怒りに満ちていて尖りまくっていると実感した。ライブだと歌詞は全部聞き取れないし、killieのメッセージ全てを俺がちゃんと理解出来てるかなんて実は俺は分かっていないのかもしれないけど、でもその音と殺気は十分過ぎる位に伝わってくるし、蛍光灯が照らすステージは一つの現場であった。目の前似合ったのは、スリリングに展開される楽曲たちが生み出す緊張感だし、常に次は何が起こるか分からない空気、各楽器の音が暴れ狂いながら生まれていくカタルシスの連続、だからこそkillieは最高に格好良いと僕は思っているし、何どでもその瞬間を味わいたいからライブに足を運ぶんだと思う。「歌詞は客の耳に届かない」はこれまでライブで観た中でも一番殺気に満ち溢れていたし、伊藤氏のパフォーマンスとボーカルからそれは嫌でも体感するしかなかった。そしてラストの「落書きされた放置死体」で完全に絶頂!今回killieのライブを観て僕が改めて思ったのは、killieのライブはその言葉や音と自分自身で向き合って本当に意味があるんだなって事、例え歌詞の全てが聞き取れなくても、音楽理論だとか楽器の事を知らなくても、目の前から放たれる音と言葉と向き合う事に意味があるし、何よりもkillieは単純に激情系ハードコアとして本当に格好良い。つまりはそうゆう事なのだ。



・Cyclamen

 そして今回本当にライブを観るのを楽しみにしていたCyclamen。ステージに立つ5人は、見るからに激情系ハードコアな感じでありながら、メタラーっぽさもちょっとある今西さん、ベースのArise in Stabilityのヒロシさんは仙人みたいだし、下手ギターのカツノリ君(何とまだ21歳の現役大学生!)は童顔で爽やかなイケメン、上手ギターのタカオさんは背もめっちゃあるし、気が良い兄ちゃんって感じで、サポートドラムの大山俊輔さんは見るからにメタラーって感じでメンバー全員のタイプが見事にバラバラだったりするのが先ず印象的。そして今西さんの「Cyclamen始めます!」って宣言と共にライブはスタート!先ずは新作「Ashura」の一発目を飾る「破邪顕正」から、分かっていたけど、やっぱり個々の演奏技術が本当に凄い!音源より更に自由に動き暴れまわるベース、タカオさんの安定感に満ちたバッキングにカツノリ君のテクニカルなタッピングの嵐!しかしCyclamenは単なるテクニック志向バンドでは無い。あくまでも楽曲の世界を高次元で表現する為の技術であるし、今西さんが描く物語こそがCyclamenの音楽の核だし、今西さんのボーカルは本当に全身全霊という言葉しか浮かばない。熾烈なる叫びを繰り出しまくりながらも、クリーントーンのパートでは本当に優しく歌い上げる。続く「百折不撓」はモロにdjentなカラーを押し出した楽曲でありながら、音源とは全然違った。確かにCyclamenは卓越した演奏技術を持っているけど、良い意味でカッチリしてないのだ。ライブならではの荒さを全然隠してないし、方法論的にはマスな部分も多いけど、それを前面に押し出すのではなくて、あくまでもハードコアバンドとしての表現だし、それがライブでは本当に色濃く出ていたのは熱かった!何よりも凄く印象的なのは、全身全霊のパフォーマンスを繰り出す今西さんもそうだけど、弦楽器隊の3人が本当に楽しそうにライブをしている事だった。メンバーはとんでもなくエグいテクニカルなフレーズを乱発しながらも笑顔を浮かべているし、ヒロシさんとカツノリ君が横に並んで演奏している時は何だか親子みたいに見えてしまった。
 勿論新作の曲だけじゃなくて、過去曲もガッツリプレイしてくれたし、1stに収録されている僕がCyclamenを知った切欠の曲である「With Our Hands」はやはりCyclamenが最高の激情系ハードコアバンドである事を証明していたし、ポジティブなエネルギーに満ち溢れていた。EPの楽曲である「Memories」は美しく壮大な世界観を見事に表現していたと思う。今西さんがMCを終える前に楽器隊が演奏を開始して今西さんがMCを放棄してそのままボーカルを始めるなんていう微笑ましいアクシデントもありつつ、描く世界は熾烈で神々しいのに、バンドとしての人間臭さが本当にライブでは凄い伝わってきた。今西さんは全身全霊のボーカルも、それに反してMCでの物腰の柔らかさもそうだし、凄くザックリした言い方にはなってしまうけど、Cyclamenのライブには人間の熱さや、温かさと言う物が凄い伝わってきたし、それこそがCyclamenのハードコアだなって僕は勝手に思った。ラストの「Never Ending Dream」はそんなCyclamenのライブを締めくくるには最高の楽曲だったし、テクニカルさもポップさも壮大な物語もそこにはあった。もう本当に心に焼き付いて離れない位に最高のライブだったし、こうしてCyclamenのライブを観れて本当に嬉しかった。人間としての力=ハードコアである事をCyclamenは教えてくれたんだ!!



・bilo'u

 そしてトリのbilo'uはライブを観るのは一年振り位だったんだけど。上手く言葉に出来ないけど、完全に違うバンドになってしまっていた。最早既存のテクデスという物では計れないバンドになってしまっていた。一言で言うなら、良くこんな音楽やっているなって思ってしまっていた。もうやってるbilo'uも観る客も完全にドMだと思う。展開と言う展開が本当に全く先読み出来無すぎるし、変拍子だらけなのは前からだったけど、本当にマッドなバンドになってしまっていた。突如クリーントーンの音が入ったと思えば、カオティックなタッピングへ、ジャジーな要素のあるフレーズが来たらまた変拍子駆使の刻み地獄、それぞれの楽器の音がやっている事がとんでもないし、しかもそれをライブで再現出来てしまっているという事実が恐ろしい。何よりもそんな楽曲に見事にシンクロする変幻自在のボーカルも凄まじかった。ライブもMC全く無し、ただひたすらストイックに自らの音を放ち続けていく。しかしライブしていた30分の中で訳が分からなくなる瞬間が何度も何度も訪れていたし、しかもその訳の分からなさを最高に分かり易い形でアウトプットしているのがまた凄いのだ。テクニカルだとかド変態とかいう要素も凄いあるけど、純粋にラウドミュージックとしての本当にシンプルな馬力もbilo'uには存在していると思うのだ。そして本編で終了と思わせて時間差でアンコール、最後にはモッシュも発生し大きな盛り上がりで終わった。しかし暫く観ない間にとんでもないバンドになってしまったな。今回の特濃な変態の宴を締めくくる圧巻のライブだった。



 大雪と言うアクシデントもあったけど、本当にこれだけの変態イベントがに多くの人が集結したと言う意味は大きいし、一つのジャンルに固まるのではなくて、またそれぞれの方面で猛者が集結したイベントは中々無いと僕は思う。しかしこの日はやはりCyclamenのライブが全部持っていったと思うし、あのバンドが持つ熱さをこの日ライブを目撃した人は強く実感した筈だ。いつになるかは分からないけど、Cyclamenのライブがまた日本である時は絶対に足を運びたいし、Cyclamen以外の参加バンドもどれも良かった!!そして今回イベントを主催したbilo'uのマキト氏に改めて感謝と敬意を。
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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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