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■picnic/THE NOVEMBERS


picnicpicnic
(2008/06/04)
THE NOVEMBERS

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 00年代後半以降の日本のギターロックを代表するバンドであるTHE NOVEMBERSの08年リリースの1stアルバム。リリース当時は正直そんなにガッツリ来なかったんだけど、Borisとのまさかの2マンライブの報を知り、改めて聴き直したら個人的にガッツリ好きになってしまった作品だ。このバンドはSyrup16gやART-SCHOOLといった日本の内省的ギターロックバンドと比較される事が多いけど、それらのバンドとはまた違った魅力と個性があり、人気を大きく集めるバンドになったのも納得である。



 彼等の音は本当に普遍性に満ちたギターロックだし、今作の音は正直に言うと特別な目新しさという目新しさは無いと思ったりもする。国内外のギターロックバンドやUSオルタナの影響を受けたサウンドが特徴的であり、それをTHE NOVEMBERSというフィルターを通し、自らの音にしているといった印象。US、Ukのそれぞれのロックバンドから影響を受けているのもそうだけど、国内バンドの湿った感覚も受け継ぎ、それを消化したからこその普遍性は、独特の癖を持っていると思う。第1曲「こわれる」のイントロのギターのアーミングのフレーズなんてモロにUSオルタナのそれであるのだけど、そういったノイジーさと切れ味鋭いカッティングで攻め立て、浮遊感と鋭利さを剥き出しにして突き刺していくのだ。分かりやすい破壊力がある訳では無いけど、鉄の匂いを感じさせる弦楽器の音に、ノイジーに捲くし立てるソロなんかは本当にオルタナティブロックの美味しい場所をしっかり押さえて、同時にそれらの音の隙間をすり抜けて行く小気味の良さもある。多くの国内バンドの湿り気を重視したサウンドと通じながらも、同時に荒涼とした乾いた感覚もそんざいしているのだ。透明感溢れるフレーズとコード進行を持ちながらも、カッティングの音が乾いた感触も生み出し、ここぞというパートではディストーションの雄たけびと共に、小林氏の痛々しいシャウトが炸裂する第2曲「Arlequin」も名曲だし、このバンドの楽曲はどれも普遍性の高いギターロックでありながら、分かりやすい楽曲構成を全くしていなくて、起承転結のセオリーを微妙にズラした楽曲の構築方法も非常に面白い。
 そんな楽曲だけじゃ無くて第3曲「chernobyl」の様にシンプルなアレンジで楽曲のメロディの良さを生かした淡々とした歌物の曲の出来も良いし、単にシンプルなアレンジを施しているだけじゃなくて、随所随所に入り込むシューゲイジングするギターの音なんかは楽曲を良い感じに引き立てるスパイスにもなっているし、ギタボの小林氏が映画にも大きく影響を受けた歌詞の世界観を持っていることもあるのか、楽曲の進行もどこか映画的な淡々とした感覚を持っているし、歌物の楽曲ではそれが更に際立っている。一方で第5曲「ewe」では青い疾走感と共にシンプルな言葉で紡がれる痛々しい感情の螺旋が堪らないし、第7曲「ガムシロップ」の甘いコーラスのギターフレーズの音色が響き渡り、シンプルな構成の中で淡々と紡がれる歌から、歪んだ轟音のクライマックスへと雪崩れ込む瞬間の何とも言えない空虚さと青さの崩壊はこのバンドの本質を良く表していると僕は思う。
 そういった甘さも痛々しさもひっくるめた上でディストピア感覚と自己嫌悪と醜さを暴く第9曲「白痴」は本当に今作屈指の必殺の1曲だし、ノイジーなディストーションギターの必殺のギターリフと淡々としたアルペジオのフレーズの対比や、サビで小林氏がありったけの痛々しい絶唱を聴かせ、今作で一番冷酷な鉄の香りを感じさせるサウンドはバンドの世界観と非常にマッチしているし、中盤の血生臭さしかないギターソロなんか最高だ。そして最終曲「picnic」で映画のエンドロールの様な余韻を強く感じるラストを迎える。



 間違いなく00年代国産ギターロックの名盤だし、内側から痛めつけるギターロックの代表格としての存在感は十分過ぎる位にある。そして普遍性と共に、絶妙にすり抜けるメロディセンスとサウンドセンスは他のバンドにはやはり無い物だし、多くのファンを獲得したのも頷ける内容だ。そして現在は更に踏み込んだ深遠なる音を鳴らすバンドとなり、より唯一無二の存在になっている。



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