■Rebirths/thisquietarmy

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 2014年のTokyo Jupiterのリリース第2段はカナダはモントリオールのギタリストEric QuachによるソロプロジェクトであるthisquietarmyのコレクションCD。thisquietarmyは活動を開始してから精力的なライブ活動と、数多くの音源のリリースを行って来たが、今作はこれまで世に送り出した楽曲の中から厳選した4曲を再レコーディングして収録した作品であり、それだけじゃなく今作にのみ収録された未発表曲をボーナストラックに加えた全5曲。



 僕自身は今作で初めてthisquietarmyの音に触れたのだけど、これは見事に美轟音レーベルであるTokyo Jupiterらしいアーティストだと思う。音自体数多くのエフェクターを使用したギターと電子音によって構築され、時にリズムマシーンの音も入るという物であり、全曲が長尺の楽曲になっている。こういった類のアンビエント系の音は物によっては非常に退屈だったりもするんだけど、この人の音は大きく展開する訳でも無いし、基本的には音の反復と持続音で構成されているのにそれが無い。第1曲「Aphorismes MMXIV」が本当にそうなんだけど、持続する電子音が妙な心地よさを生み出しつつ、リズムマシーンの音が入るとじわじわと轟音成分が見え始め、そしてギターの轟音がシューゲイジングを加速させ、徐々に熱を帯びながら美轟音の洪水へと変貌していく。良い意味でのあざとさを感じさせながらも、静謐さからドラマティックな轟音のストーリーへと展開するサウンドは、この手の音が好きな人ならドンピシャだし、アンビエント・ドローンを退屈な物にするのでは無くて、美しくドラマティックな物にしているのがこの人の凄い所だと思う。
 第2曲「The Pacific Theater MMXIV」は一転してのっけから重苦しく歪んだギターのサウンドから始まり、荘厳であり重みのあるサウンドスケープを体現、Year Of No Lightとスプリットをリリースしたのも納得だし、ここ最近のYear Of No LightやMONO辺りと共振する轟音のストーリーは非常に重厚であり、ドラマティックなのだ。個人的には第3曲「Revival MMXIV」が特に気に入っており、今作で最もサウンドの荒々しさを感じるだけじゃなくて、リズムマシーンのリズムの作り方や轟音と共に鳴るギターのアルペジオのフレーズなんか非常にポストメタル的である。燃え上がりそうで燃え上がらずに焦らしに焦らす曲展開なんかも好きだ。第4曲「The Black Sea MMXIV」は完全一転して幽玄なアンビエントのアプローチをしているけど中盤から入る重みのあるギターの轟音がシリアスな緊張感を増幅させ、一つの悲哀の物語を13分に渡って繰り広げる名曲。そして未発表曲である第5曲「Stealth Drone」は完全にドローンな1曲で、不気味に蠢く持続音の霧の中で今作を締めくくる。



 芸術性や世界観やストーリー性の構築美を感じさせるサウンドスケープとギターの轟音の幽玄さによるサウンドは、単なる自己満足なアンビエントとは違って、しっかり聴き手を意識して作られていると勝手に思っていたりするし、そういった類の音が苦手な人でも敷居が低く楽しめるし、勿論アンビエント好きや轟音フリークスや、ここ最近のYear of No Light好きやポストメタル・ポストロック好きにも幅広く勧めたい作品である。寝転がって何も考えず、その音に身を委ねると幻惑の世界に飲み込まれる作品。勿論今作はTokyo Jupiter recordsにて購入可能だ。



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