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■zeitgeist/THE NOVEMBERS


zeitgeistzeitgeist
(2014/05/14)
THE NOVEMBERS

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 日本のギターロック・オルタナティブを代表するバンドの一つであるノベンバの自主レーベルMERZ設立後の初音源となる2013年リリースの4th。リリース当初はオフィシャルの通販とライブ会場の物販と一部小売店とダウンロードでの販売という少し特殊な形でリリースされたが、今年五月に晴れて全国流通となる。僕は先日足を運んだライブの物販の方で購入させて頂いた。また第1曲と第7曲と第9曲はdownyの青木ロビンのプロデュースとなっている。



 アルバムタイトルは映画監督ピーター・ジョセフの映画から拝借されているらしく、作品自体も多くのディストピア映画にインスパイアされて制作されているらしく、ノベンバの作品で最もシリアスで重厚な最高傑作となっているし、最早ギターロックの枠組みで語る事が不可能なバンドになってしまった。ポストロック・インダストリアルといった要素がかなり前面に出ているし、それをノベンバのサウンドとして見事に昇華した傑作だ。
 青木ロビンのプロデュースによる第1曲「zeitgeist」から先ず今作の異質さを実感する筈だ。機械的なビート、浮遊感と不穏さが際立ちまくった音色、揺らぎまくっている小林氏のボーカル、コールタールに沈んで行く様な精神的重さをいきなり炸裂させ、否応無しに聴き手は今作と向き合わないといけなくなる。第2曲「WE」は比較的ギターロックの色が出ているし、今作の中では大分メロディアスでキャッチーではあるけど、ポストロック的な静謐を歌物にしている手腕を感じさせる。一方で第3曲「Louder Than War (2019)」では攻撃的なインダストリアル色の強いサウンドが炸裂し、硬質な鉄と血の臭いが充満しているし、その攻撃性を生かしながら静と動の対比と疾走感が炸裂する第4曲「Wire (Fahrenheit 154)」と本当に多種多様な音が渦巻いているのに、それを作品の中でブレも無く聴かせるのだ。歪みまくったサウンドでありながら、スロウな不穏さが生み出す美しさが印象的な第5曲「D-503」も見逃せない。
 しかし今作は後半こそ真骨頂だと個人的に思ったりもする。前半の楽曲を総括し、今作で一番の破壊力と不穏さを持つ第6曲「鉄の夢」の金属的ビートとリフの断罪、ヘビィさを膨張させて爆発する攻撃性の塊みてえなバンドアンサンブルに小林氏の叫びが乗り、聴き手を確実にブチ殺してくる。そして今作屈指の名曲である第7曲「Meursault」は本当に素晴らしい。ゴス的な音階を持つギターのアルペジオの反復、ポストロック的なリズムの反復、そして今作の中で最もシリアスな絶望感を感じる小林氏の歌と歌詞、今作のハイライトであると同時に最もディストピア感が充満した楽曲だし、祈りの様な言葉とは裏腹に破滅感が充満する感覚に窒息しそうになるし、何よりもそんな音が非常に美しい。そこから終盤は一つの希望を感じさせる楽曲が続き、第8曲「Sky Crawlers」はウィッチハウスやアンビエントな質感を柔らかで優しい歌物として鳴らしているし、今作のエンディング的楽曲である第9曲「Ceremony」はノベンバの普遍性を強く感じさせる屈指のバラッドだし、最終曲「Flower of life」は浮遊感に満ちたメロディアスさと、エピローグ的な役割を果たし、大きな余韻を強く残し、そしてシリアスな今作を一つの救いと希望で締めくくるのだ。



 作品自体の尺は決して長い訳では無いのに、作品全体を通して本当にサウンドも精神性もかなり重厚だし、ベタな言い方になってしまうけど、今作を通して聴くと本当に一つの映画を観たみたいな気分になるのだ。何よりもノベンバと言うバンドが新たな地平に立った作品でもあるし、ノベンバ史上最も音楽的多様性と豊かさを持ち、これまでのノベンバを総括し、そしてこれからへと繋げていく作品だと僕は思う。紛れも無く日本のロックの新たな地平をノベンバは開いているし、今作に触れた後に感じる事は本当に人ぞれぞれだと思う。だからこそ本当に意味がある作品なのだ。見事過ぎる最高傑作だ。



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