■極東最前線/巡業〜ジャガイモ機関車ひた走る〜(2014年5月10日)@渋谷CLUB QUATTRO

 日本のエモ(吉野氏はイースタンをエモと言われるのを嫌うけど)の最重要バンドであり、25年以上に渡って現役で最前線で闘い続けるイースタンの20年に渡って何度も開催されてきた自主企画である極東最前線。今回はゲストに昨年完全復活を果たした日本のポストロックの先駆者であるdownyを迎えるという全くベクトルの違う2バンドによる2マン(吉野氏はこの日のMCで音がうるさいのは共通してると言ってたけど)、全く畑が違う二者だけど、共に時代を切り開いた先駆者であり功労者であるという点は共通しているし、このもう二度とねえだろという2マンライブ、僕個人の話にはなるけどイースタンとdownyという思春期に聴きまくり今でも敬愛するバンドがぶつかり合うという事実はもう必然的にブチ上がるしか無いし、今回足を運ばせて頂いた。オープンが17時と早い時間だったから僕がクアトロに着いた時には客足はそんなに多くなかったけど、downyが始まる頃にはクアトロはほぼ満員。全く違う両者だが、この事件的な2マンライブを誰もが楽しみにしていたのだ。



・downy

 スタート予定から5分程押して本日のゲストであるdownyのライブからスタート。昨年の復活ライブとなったWWWのワンマンでも先駆者としての圧倒的ステージを魅せてくれた彼等のライブをまた観れるという事実に高まるしかないし、一曲目はもうdownyのキラーチューンとして御馴染みの「酩酊フリーク」バックに映し出されるVJと共に不穏な轟音と攻撃性が炸裂、正に無類一閃なギターリフでのっかからクアトロの人間を辻斬りで斬捨て御免。続く「弌」も変拍子を駆使し、絶対零度さと、その奥底の不穏な熱量を発揮し、更に轟音の精神的混沌を描く「葵」とdownyの代表曲であり攻撃性の際立つ3曲をのけっから繰り出していく。W青木の轟音でありながら安易な轟音じゃない、メロディアスでありながらも、切り刻まれた断罪感覚を放つツインギター、仲俣&秋山の変拍子を機械的に叩きながらも、同時に緊張感溢れる躍動をドラムとうねるベースで生み出すグルーブもやっぱりdownyならではだ。
 しかしここまではまだまだ準備運動だった。「時雨前」と「黒」という新作の楽曲から一気にバンドの空気と言うかグルーブが一変した。downyの中でも特に歌物な感覚が強い楽曲でありながら、アンサンブルにとんでもない緊張感と切迫感が加わり、リズム隊のグルーブに脂が乗りまくり、ギアをフルにし、そのアンサンブルだけじゃなく青木ロビンの歌にも切迫する感覚が加わり、観ていて心臓をピアノ線で締め付けられる感覚を覚えてしまったし、新作の中でも更に歌物なシンセを導入した「春と修羅」はdownyの方法論から郷愁を生み出す名曲だけど、楽曲のメロディの良さや緩やかさよりも、何かに追い詰められていく感覚が充満し、それがバンドのアンサンブルに更なる完成度を加えながら、ライブだからこその緊迫を生み出していた。
 そんな状態でdowny屈指の名曲である「左の種」を繰り出して来やがったからもう死ぬしかないじゃん!!ざらつきと心を掻き毟るギターの旋律、中盤の青木ロビンの叫びから一旦完全に音が鳴り止む瞬間の無音の緊張感、そして最後の最後の「低空飛行」と痛々しく叫ぶ青木ロビンと共にバンドの演奏はとんでもない熱量を生み出していたし、それがもう最高にエモーショナル過ぎて震えた。再び新作の楽曲である「曦ヲ見ヨ!」で人力ドラムンベースと変則的でありながら統率された混沌を燃え上がりそうで燃え上がらない焦らしと共に放ち、そして青木ロビンが簡単なMCをし、イースタンにリスペクトの言葉を述べ、最後はいつもライブを締めくくる最初期の名曲「猿の手柄」、ドラマティックで静謐な美しさを漂わせて、最後はドラマティックにビッグバンを起こし、青木裕のノイズギターソロで完全に昇天!!クアトロを覆いつくすノイズギターの残響の中で立ち尽くしたたままになってしまった。今回はイースタンとの2マンという事も意識してかdownyの中でも攻撃性やエモーショナル成分が強い楽曲が並ぶ攻めのセットだったけど、とにかく緊張感と切迫感が凄かったし、ライブ自体は45分位だったけど、本当に濃密過ぎるライブで、WWWのワンマンの時よりもバンドが更に良い状態にあるのを実感。完全復活を果たしただけじゃなくて、バンドとして進化をまだまだ続けるdowny、本当に凄い!!

セットリスト

1.酩酊フリーク
2.弌
3.葵
4.時雨前
5.黒
6.春と修羅
7.左の種
8.曦ヲ見ヨ!
9.猿の手柄



・eastern youth

 そして本日の主役のイースタン。イースタンはもう11年位大好きなバンドで、自分の中で本当に大きな存在なんだけど、ライブを観るのは本当に久しぶりで、久々にイースタンのライブを観るという事に期待しか無かったのだけども、本当に新旧満遍なく名曲を繰り出すセットに燃えるしか無かったし、最初から最後まで熱き熱情しかないライブだった。メンバーの三人が登場し、吉野氏のヤマハのSGが放つあの独自のディストーションサウンドを持つギターの一音が鳴った瞬間に完全にイースタンの熱情激情が幕開け。「街はふるさと」の吉野氏が掻き毟るギターが鳴り響く瞬間にもう胸が締め付けられたし、右手は強く握り締めていた。二宮氏のフレットレスベースによる独自の揺らぎを持ち、明確な音階を体感させないのに、グルーブ楽器としてのベースとして完璧過ぎるベースはもう最高の一言だし、田森氏の決して音数こそ多くないけど、繊細さとダイナミックさを兼ね備えたドラム、吉野氏の熱情しかないギターと歌、たった3人で繰り出す四重奏、それだけでイースタンは魂を燃やし尽くす音楽を生み出すし、もう最初から凄い目頭が熱くするしか無いんだよ!!「野良犬、走る」のメランコリックさも泣きしかないし、吉野氏がまた泣きそうなあの顔で歌いギターを弾くからまた胸が熱くなる。そしてMCでも吉野節は全開、言い方は悪いけど、吉野氏のMCは本当に赤羽とか阿佐ヶ谷の立ち飲み屋で管を巻いてるオッサンのそれだし、「俺は酒のプロだから、作る方じゃ無くて飲む方ね。」とか言って笑いを起こしていたりもしてたけど、そんなMCも心を熱くするし、downyへのリスペクトを述べ地獄は褒め言葉とか言って、でも日常が地獄だと言ってからの「それがどうしたって言うんだ。」って言葉からの「ドッコイ生キテル街ノ中」は余計に心を掻き毟りまくったし、本当にボロボロでも前向いて歩くしかねえだろおい!!ってケツをぶっ叩かれたし、イースタンの泥まみれになりながらも必死で生きる俺達への熱い応援歌だ。「目眩の街」、「砂を掴んで立ち上がれ」のイースタンの中でも新しい楽曲でも、どんなに年を取っても消え去らない感情が音と歌に篭りまくっていたし、イースタンは感情の表現として最強のバンドである事を実感。そして不朽の名曲「夜の追憶」をプレイ!!痛みを持ち、苦し紛れかもしれないけど、それでも前を向く力強さがあったし、この曲が収録されている「雲射抜ケ声」がリリースされてから実に15年が経過しているけど、それでも絶対に朽ちない強さがあるし、それはずっと走り続けてきた今のイースタンがライブでやるからこそ大きな意味と説得力があった。「スローモーション」も大分昔の曲にも関わらず本当に色褪せない良さしか無かったし、「Don quijote」で会場全員が「Don quijote!!」と高らかに叫んだ瞬間は本当に美しい光景だったよ。そして吉野氏の「人種が何だ国籍が何だ!!」とレイシズムに対する怒りを唱えるMCから「俺達は人間だ、36℃だ!!」と言い放ち「沸点36℃」を演奏した時はもう泣いた。何回も同じ事しか言ってないかもしれねえけど、イースタンの曲やライブって本当に感情の決壊しか無いし、これを安易にエモで定義するのもおかしい話だ。自称エモの感情や激情の無いバンドが永遠に到達できない、どうしようもねえ糞野郎達の心のアンセムをイースタンはずっと一貫して歌って来たし、だからこそイースタンのライブは本当に生々しくどうしようもねえ糞野郎にとって救いでもあるし、生きるという事と自分自身と向き合うしかないし、だから俺はイースタンのライブの時にずっと拳を握り締めてたし、何度も拳を突き上げたよ。「荒野に針路を取れ」はそんな痛みや敗者だと言われても、まだ負けてなんかいねえぞ!!俺は生きてるぞ!!今に見ていろ!!っていう糞野郎の這い上がり立ち上がり、歩いて行き、そして戦っていくんだっていう最強の決意表明だし、もう何か色々グチャグチャになりながらも僕はイースタンと向き合っていた。そして本編ラストは吉野氏の「夏は好きですね、外で飲むの美味いし、結局酒なんすよ俺。じゃあ酒が飲める音頭を。」というMCからイースタンの最強の代表曲である「夏の日の午後」!!!!!!会場は多くの「Oi!」コールで埋まり、イースタンの最強の代表曲でクアトロを完全に焼き尽くした!!
 そして勿論多くのアンコールの手拍子が起こりアンコールへ。二宮氏のMCのコーナーで骨折していた足のギブスが取れた報告とギブスが思ったより臭くなかったとかいう話から、これをやるとは思ってなかった!「ズッコケ問答」で本編とはまた良い意味で空気を変える。そしてまたしても必殺の名曲「いずこへ」でアンコールも完全燃焼!だと思っていたが、客電が点いてBGMが流れても誰もその場を動かないし、巻き起こるアンコールの手拍子。そして恐らく予定に無かっただろう二回目のアンコールは「サンセットマン」という意外な選曲。渋い!!こうして熱狂のアンコールもあり、約一時間半の熱情劇場は幕を閉じた。

セットリスト

1.街はふるさと
2.野良犬、走る
3.ドッコイ生キテル街ノ中
4.目眩の街
5.砂を掴んで立ち上がれ
6.夜の追憶
7.スローモーション
8.Don Quijote
9.沸点36℃
10.荒野に針路を取れ
11.夏の日の午後

en1.ズッコケ問答
en2.いずこへ

en3.サンセットマン



 個人的に本当に久々のイースタンのライブだったし(実に5年以上振りかもしれない)、極東最前線に行くのは初めてだったけど、ずっと昔から敬愛する2バンドの2マンは本当に夢の時間だったし、downyの切迫した異次元の音に殺され、イースタンの熱情に完全燃焼してしまった。毎回極東最前線の対バンは最高のバンドばかりだけど、こう畑やジャンルを越えて、本当に猛者だけを呼び、ガチンコでぶつかり合うこのイベントは良さしかないに決まっているし、次回の開催も早くもアナウンスされている。にしても本当にイースタンのライブに心を打たれたよ。渋谷が熱情の燃えた夜だった。
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