■DEAFHEAVEN Japan tour 2014(2014年5月16日)@渋谷eggman

 「重圧殺と激情と轟音の人間交差点」、きっとかの古舘伊知郎が今回のライブをあの独自の語彙とセンスのある言葉で表現するならきっとこんな感じなのだろうか。昨年リリースされた2ndアルバムである「Sunbather」にて世界中のメディアから大絶賛を浴び、すっかり人気のバンドとなったサンフランシスコの激情ポストブラックメタルバンドであるDeafheaven。leave them all behind 2012で初来日から約一年半振り二度目の来日だけど、前回と今回の来日ではこの日本でも大きく状況が違う。「Sunbather」はこの日本でも大きな賛辞を浴びると同時に、彼らのある種のサブカル感溢れたオサレなアートワークだったりとかそうゆう部分や、ブラックメタルとは思えないキラキラしたポジティブなサウンドは同時に大きな批判もあったし、色々な意味でこの日本でも注目のバンドになったと思う。しかし彼等のブラックメタラー以外にもガンガンアピールしまくるサウンドはやはり日本でも大きな人気を集めているのは事実だし、今回のツアーファイナルはEnvyのダイロク氏を中心に国内ハードコアの猛者三人が集結した激重スラッジであるStorm Of Void、もう言うまでも無い国内激情系ハードコア最高峰にして最強のバンドであるheaven in her arms、そしてDeafheavenという完璧過ぎる3マンツアー初日の東京公演(こちらは国内勢はisolateとCOHOLが出演、こっちも行きたかった…)、もド平日に関わらずかなりの集客があったらしいけど、今回のツアーファイナルはまさかのソールドアウトという記録を樹立。本当に今回のDeafheaven来日ツアーは大きな事件となったのだ。



・Storm Of Void

 スタート予定時刻である19時ほぼジャストに客電が落ちて、先ずはSOVのライブからスタート。3月に初めてライブを観て、3ピースから生み出される激重スラッジサウンドに悶殺されてしまったのだけど、その時よりも今回は更にバンドのグルーブは凄い事になっていた。至ってシンプルな白熱電球の薄暗い照明とスモークのみのステージングの中でひたすらストイックに繰り出されるスラッジサウンドは、このバンドが国内ハードコアの猛者三人によるバンドだというのもあるけど、本当にスラッジの気持ちの良いグルーブが凄い。ジョージ氏の8弦ギターによる激重リフの反復と応酬。トム氏とダイロク氏のプログレッシブさと重さを同時に持ち、複雑極まりないのに、ビートとグルーブの快楽をお見舞いするリズム隊、とにかく常に攻めに攻めまくるサウンドは聴き手に興奮と恐怖しか与えないし、重低音の煉獄からジョージ氏がここぞとばかりにストーナーでサイケデリックなソロをお見舞いして、鼓膜を蹂躙し、基本的にダウンテンポのビートで脳髄を破壊しに来ながら、時にBPMを一気に加速させ、混沌を生み出すアンサンブル。リフ主体なのに随所随所にカオティックなフレーズも盛り込み、変則的に展開しながら一貫してドス黒いグルーブを放ち、そして殺す。ライブ自体は全4曲30分程度だったけど、グルーブとプログレッシブさを徹底的に追求して、黒煙のスラッジ煉獄でストラックアウトよろしく、激重スラッジの2枚抜きの連続でパーフェクト達成!!MCも全く無しの非常にストイックなライブだったけど、その最高の快楽を生み出すスラッジサウンドと何度もジョージ氏が高らかに掲げていたメロイックサインが全てを物語っていた。

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・heaven in her arms

 次は今回の来日ツアーに同行していたHIHA。前回のBorisとCOHOlとの3マンの時もこのバンドはどこまで進化を続けるんだという凄まじいライブだったけど、この日のアクトも更なる進化を感じさせ、国内激情系最高峰の貫禄しか無いライブだったと思う。少し長めの転換が終わって、SEと共にメンバーが登場したら会場は大きな歓声で包まれる。そして始まった。先ず一曲目はもうライブじゃ定番な「縫合不全」から。あのメランコリックさと陰鬱さが織り交ざったアルペジオが響く瞬間にこの世界は完全にHIHAの物となってしまう。まるで豪雨の中で悲しみに暮れながら、それでも何かを待ち続けている様な、そんなメランコリックさが溢れる美戦慄の流れから、ドラマティックにディストーションサウンドへと変貌し、そしてありったけの激情を叩きつける。毎回ライブを観る度に思うのだけど、
 HIHAというバンドは本当に圧倒的な美的センスとドラマティックさを持っているけど、同時に剥き出しなのだ。だからどんなに楽曲の完成度が高くても、どんなにバンドとしてのライブの完成度が高くても、彼等5人は常に剥き出しで俺達とぶつかってくる。それは続く「声明」から「痣で埋まる」というドス黒い音塊が濃密過ぎる程の濃密さでシューゲイジングするトリプルギターとうねりまくるベースと熾烈過ぎるドラムと共に痛々しく駆け巡る瞬間にどんなに興奮で馬鹿になってしまっているライブを観ている時の俺でも痛感するし、「痣で埋まる」が始まる瞬間に弦楽器隊全員がステージ前に出て俺達を煽り、そして混沌と狂騒のカタストロフィーを生み出す。そこにはもう本当の激情しか無くて、シリアスな痛みと言う痛みを神々しく生み出してしまうHIHAというバンドにしか生み出せない世界があるし、俺は神を信じる事は出来なくてもHIHAは信じる事が出来る。そう断言する。
 そして「幻月」からの「反響した冷たい手首」~「ハルシオン」~「螺旋形而蝶」の流れは何度ライブで観てもこの世の物とは思えない美しさしかない。「反響した冷たい手首」の反復するアルペジオとドローンと化したベースが生み出す奈落の底に吸い込まれる様な、まるでこの世のありとあらゆる絶望が全て脳内で起きて、境界性人格障害的な被害妄想じみた闇に飲まれる感覚。そこから「ハルシオン」~「螺旋形而蝶」の流れは神々しい闇と光の交錯を音で生み出し、ポストメタル化したサウンドでありながら、独自の情緒もあり、そして微かな光が俺達を救済する。もうこれも何度も言っているけど、HIHAというバンドは一つの神話であるし、そんな神話のストーリーテラーなんだと思う。そしてラストは現時点のHIHAの最強の一曲とも言うべき「終焉の眩しさ」。HIHAの武器である怒涛の濁流、痛々しさ、ドラマティックさ、トリプルギターの黒き轟音、怒涛の勢いで急降下するブラストビート、そして終焉の眩しさの向こう側にある微かな光、それが最後の最後にクライマックス過ぎる程に放たれ、そして微かな救いと共に終わる。もう何かレポにもなってねえし、自分で自分が言ってる事が最強に気持ち悪いのは自覚してるけど、本当にHIHAのライブは凄いし、このバンドは他には生み出せなかった激情を完全に生み出している。もうずっと追いかけ続けていくし、ずっと大好きなバンドなんだと思うわ。

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・Deafheaven

 そして本日の主役のDeafheaven!!HIHAのライブで燃え尽きて喫煙所で放心してたせいで、Deafheavenは残念ながら前に行けないで結ど、それでもメンバーが登場した瞬間にフロアはこの日一番の歓声で包まれる。しかしこう後ろの方でステージ全体を見るとメンバーのルックスが見事にバラバラなのも彼等らしいし、特にギタリストのみんな大好きキモヲタ系なケリー君、手に黒いグローブをしてて、凄い背が高くて、妙な気持ち悪さを持つジョージ君は特に目立つ。そして始まった。先ずは2ndの1曲目を飾る「Dream House」からキックオフだったけど、イントロのトレモロリフの洪水から凄まじいブラストビートの嵐へと雪崩れ込んだ瞬間に今回のライブのDeafheavenの完全勝利を確信!!というか2012年のLTABで観た時と全然違うバンドになっていた。上手く言葉で言い表せないけど、もう有無を言わせない説得力があったし、もし今回のDeafheavenのライブをかの古舘伊知郎が観ていたら、あの自己陶酔に満ちたやたら格好良い感じの実況すら出来ずに「ほげえええええええええええええ!!!!!!!!!!1イングゥウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!ンギモヂィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!1私の鼓膜がショットガンタッチいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!」って感じでザーメン撒き散らしながらアヘ顔だったと思う。その位にDehevenの音は完璧だった。一年半前と全然違って、バンド自体が本当に強くなったのが全てなんだろうけど、ツインギターの轟音トレモロと、全速力で爆走するビートの人間交差点。そして1stの頃からあったメランコリック過ぎる泣きに泣きまくった青臭さ、ドラマティックさ、彼らの曲の良さにバンドの演奏が完全に追いついていたし、熾烈な音で爆音なのに、でもこう心に突き刺さりながらも、キラキラした光のヴェールがエッグマンに発生しているかの様な状態だったと思う。
 今回のセットは2ndである「Sunbather」をほぼ再現する形でのセットだったけど、合間合間の小品なインストを除くと、彼らの曲はどれも長尺であるにも関わらず、ライブ中に全くダレなかったし、表題曲「Sunbather」のあざとい位にメランコリックなメロディを生かした轟音ギターからもうアヘ顔キメるしか無かったし、何よりも後ろでじっくり観ていたからステージ全体が良く見えたけど、フロントマンのジョージ君のアクションは一々気持ち悪い(最大の賛辞)。何か妙にV系臭い感じのポーズをやたら織り交ぜて、高いタッパを生かしたステージングは最高にキモくて格好良かったし、アクション自体はそこまで多くないにしても、一々動きがキモ格好良い。そんな部分も含めてDeafheavenは一つのスター性を感じるバンドになったと思うし、勿論動を最大限にブチかましながらも、静謐でクリーンなパートはしっくり聴かせて、焦らしに焦らして爆発する激情サウンドは最高に痺れるし、これはもうポストブラック云々なんて本気でどうでも良いし、激情として最高に格好良くて熱いと俺は思うけど、それすら本当はどうでも良くて、あらゆる音楽好きを巻き込むだけの多様性と力量をバンドが持ち、そして一貫して煌きの激情を放つからもう観てて燃え上がるしかなかった!!
 メランコリック大曲「Vertigo」なんてバンドの美意識が本当に咲き乱れ、しっとりとした湿り気を完全にライブで再現し、あぞとく泣きに泣きまくる音の洪水にやられそうになったけど、そこから熾烈なるブラック色を前面に出した音の連続へと雪崩れ込み、もうエッグマンの客は全員Deafheaven様万歳三唱!!!!!そして本編ラストであり、僕が2ndで一番大好きなDeafheavenによる最強の激情系ハードコアこと「The Pecan Tree」は凄すぎた!!もうクライマックスというクライマックスをフルスロットルで駆け抜け、そして見果てぬピリオドの向こう側へとOne Night Carnivalしちまっている轟音カタストロフィーにもう死んだ。完全に死んだ。
 本編が終了し、フロアはまだまだ熱気冷めぬまま歓声とアンコールの手拍子、そして再びメンバーが登場して披露したのは1stの名曲「Unrequited」。印象的な静謐で少しドロっとしたアルペジオとトレモロの対比の美しさに引き込まれてしまい、熾烈さだけじゃなく、繊細な美しさもこのバンドは格段に進化していた事を改めて実感させられたと同時に、でもやっぱり轟音の渦巻くサウンドになると絶頂するしか無くなったし、初来日の時にもやっていたこの曲がバンドの桁違いの進化を見事に証明していたし、もう眩い光を音で表現していた。それがもう最高に気持ち良かったし、約一時間に渡る激情の轟音の天国は正に「heaven」だったよ!!

セットリスト

1.Dream House
2.Sunbather
3.Vertigo
4.The Pecan Tree

en.Unrequited

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 ライブを観ていた時はあまりの気持ちの良さに気づかなかったけど、ライブの全プログラムが終わって外に出て暫くしたらしっかり耳鳴りがして、今日は見事に全バンド爆音だったんだなあって小学生並みの感想を抱いたけど、しかしこの日のライブは本当に全てが快楽だったし、三者三様の音の世界がとんでもない画素数の音で生み出されていたと思う。何よりも今回のdeafheaven来日ツアーファイナルは金曜とはいえ平日であるにも関わらずエッグマンという決して小さくないハコをソールドアウトしたという事件だったと思う。Alcestの四月の来日の集客の凄さも事件だったけど、それに続く形でDeafheavenもこの日本で本当に大きな人気と注目を手に入れてるのを改めて実感したし、彼等のライブはそれを完全に証明する実力しか無かった。そしてそれに全然負けないライブをしていた国内勢のSOVとHIHAも凄いライブをしていたし、本当に多くの人々の記憶に残る最高のツアーファイナルになったと思う。何よりも各バンドのスラッジだとかポストブラックだとか激情だとか、そんなカテゴライズなんて凄いライブやってまえば関係無いんじゃと言わんばかりの説得力にはもう敬意しか無いし、そんな物は必要無い。目の前で繰り広げられていたライブが最高に凄かった。もうこの夜を総括する言葉はそれで十分だ。
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