■Icon/Lento

イタリアの地獄からの極悪なスラッジサウンドを轟かす五人組、Lentoの2011年発表の2ndアルバム。同じくイタリアの最強にパラノったドゥームバンドであるUfomammutと共に共作した事もあるバンドだけあって、低域が強調されまくりな重圧殺スラッジサウンドがこれでもかと展開されている。Ufomammutは重圧殺サウンドにドラッグをこれでもかとODしまくったかの様な危険な酩酊感を持っているが、Lentoはアンビエントなカラーを取り入れる事によって重圧殺でありながら精神的な狂気をこれでもかと言わんばかりに放っている、殺気と殺意に満ちた轟音大量殺人鬼である。
全10曲37分と、ドゥーム・スラッジ系のバンドにしては珍しく曲もあまり長くなくコンパクトな作りになっているが、コンパクトな作りになっているからこそ、その狂気と殺意は一点集中型であり、安心する隙なんてあった物じゃない。ほぼ全てのリフがとんでもない破壊力を持った一撃必殺のスラッジハンマーであり、一発食らったら脳髄が跡形も無く粉砕されてしまいそうな禍々しい凶器として、トリプルギターの轟音が存在している。
第2曲「Hymn」からその殺人鬼っぷりを発揮しているが、まだ少しだけ叙情的がある分救いがある、第4曲「Hymen」では少しの情けも無い、暗黒ギターリフの刻みが空間を埋め尽くしているし、第5曲「Still」は尺の短い曲だからこそ、Neurosis級の暗黒サウンドがより鮮明になっている。第6曲「Throne」みたいにバンドの深遠な美しさを魅せる楽曲もまた魅力的であるが、油断したら最後、回避不能のスラッジハンマーに潰されてしまう。第9曲「Icon」で今作最強の黒い血飛沫が大量噴出の轟音の濁流は本当にこの世の物とは思えない惨血で視界が見えなくなる感覚すら覚えてしまうからだ。
即座に身の危険を覚えてしまいそうな、光すら無い漆黒の残虐スラッジではあるが、どんなに頭の中で警笛が鳴っていても逃げ出せない恐怖、そしてその向こう側にあるのは深遠な轟音の美しさだ。振り切れまくった暴力性と狂気はここまでも美しく神秘的ださえあるのだ。酩酊した脳髄は何も考えられなくなり、轟音のスラッジハンマーで粉微塵になる。ここまで恐ろしい音を鳴らすバンドは中々いない。スラッジ・ドゥーム愛好者はこの音に是非とも粉砕されて欲しい。
因みにこの音源は日本国内のAmazonでは取り扱っておらず入手は中々難しいであろう。しかし下記のURLのレーベルの公式サイトにて全曲フリーダウンロード可能である。もし興味を持った人は、是非地獄のスラッジサウンドを味わって欲しい。公式でのフリーダウンロードなので、違法とかでは無いので、その辺りは安心して欲しい。
http://denovali.com/lento/(音量注意)