■Treatment Journey/WE ARE!
![]() | Treatment Journey (トリートメント ジャーニー) (2009/08/06) WE ARE! (ウィーアーエクスクラメーション) 商品詳細を見る |
bloodthirsty butchersの吉村氏も大プッシュしている東京で活動する4ピースWE ARE!の2009年発表の2ndが今作である。決して分かり易い轟音パートがあったるする訳では無く、淡々と自然な温度でどこまでも心にするりと溶け込んでくる歌はシンプルでありながらも、唯一無二の存在感を放っている。
WE ARE!の音楽はブッチャーズ・キウイロール辺りのジャパニーズエモの先人達や90年代USエモの影響を感じる物である。しかしそれらの流れを汲みながらも先人達の影をスルリとかわし、模倣ではない自分達なりのエモーショナルな音を地に足を付けて鳴らしている。彼らの音楽には大前提として確かな歌心と、包み込む様でありながらもどこか尖った部分をもった立体的に交錯するバンドとしてのサウンド、何よりどこまでもメロウな楽曲の良さと言った部分が大きな武器になっているのだ。
それぞれの楽器の音は激しい主張は全くしないが、それぞれの音が、絡み合いお互いの音に説得力を持たせ、最終的には歌心をどこまでも引き出すサウンドになっているのだ。WE ARE!はサビで轟音パートになりサビで叫んだりなんかは全くしないが、楽曲の各パートはどこまでも自然だし、楽曲を通じて大河の様な他の何者にも邪魔させない大きな流れみたいな物を形成している。そして緩やかでありながらも力強い流れになって聴き手の心を何処までも揺さぶる音になっている。
何処までも真摯に自分達の音を鳴らすバンドだからこそ、WE ARE!のメロウで優しい轟音は大きな説得力を持っている。しっかりとルーツを持ち、その上で何者にも流されず邪魔させずにいるからこそシンプルでありながらドッシリと佇む優しい音が鳴り響いているのだ。WE ARE!は安易な泣きのメロディに頼ったりはしない。日本人ならではのわびさびや、風景的視点を楽曲に組み込み、どこまでも耳から心を揺さぶる歌を鳴らしている。全く派手じゃないし、全くスマートでは無いけど、この音には嘘なんか全く存在してはいない。汚れ無き透明さをこのバンドにはずっと鳴らして欲しいと僕は思う。