■Salad Days vol.300 ANNIVERSARY(2014年8月9日)@小岩bushbash
・Tiala
トップバッターは小岩と言えば絶対に外すことなんて許されない小岩のハードコア番長こそTiala。bushbashのオーナーであるボーカルの柿沼氏はeM7時代から小岩の音楽シーンにとんでもなく貢献した人だし、今回の記念すべき日のトップバッターを最高の形で成し遂げたのだ。Tiala自体は観るのは一年振りなんだけど、このバンドのライブのポテンシャルは本当に天井知らずになり続けている。非常にキャッチーなフレーズの連続でありながらも、ポストパンク的なダンスミュージック要素も、時には不穏でノイジーな音を繰り出しながらも、結局は爆音で暴れられる音なら文句ねえだろてめえら!!って感じ、それがTialaだし、柿沼氏は早々にステージを飛び出し、フロアを練り歩きながら叫びまくり、客を煽りまくる。常に爆音で攻めまくっているけど、Tialaの鳴らすハードコアは最高にピースフルで最高に楽しい暴動であり、狂乱のパーティなのだ。20分弱のライブではあったけど、フロアのボルテージは既にクライマックス。このTialaのライブだけで今日が最高の夜になるのを確信したよ。
・deepslauter
お次も柏の音楽の歴史では絶対に外せない柏のファストハードコアヒーローことdeepslauter。一発目の「TIMechanical」の時点でもうこのバンドのテンションは凄い事になってしまっている。キャッチーでありながらも、速い、短い、五月蝿い!!そして非常にカオティックなのにキャッチーというのがdeepslauterが提示する非常にシンプル極まりないハイボルテージなハードコアではあるんだけど、本当にバンドとしての瞬発力の高さでこのバンドに勝てるバンドなんていないと思う。一瞬一瞬の一音で客の鼓膜を貫き、目の前のハイテンションのステージングをする4人から目が離せなくなる。そして今年の年末に待望の新作をリリースする事をMCで話してからの新曲は、彼等が持つ音のキレと瞬発力と電磁波具合が更にブチ切れていたし、このバンドも小岩のシーンと共に進化したバンドであり、その進化は何処までも止まらない。オサムさんは終盤の方は足元にあった鞄を背負ったり、客の帽子を被ったりなんてというお茶目なパフォーマンスをしながらも、Tialaの時点で熱気がやばかったフロアの熱気を更に凄まじくしていた。新作も最高に楽しみだし、deepslauterはまだまだ行ける!!
・Curve
次は一転して小岩から世界へとその轟音を放つエモーショナルシューゲイジングのオーケストラことCurve。今回プレイしたのは、今年に入ってからライブで披露している20分にも及ぶ新曲だけ。たった1曲だけのステージであり、だけど、そのたった1曲だけでCurveは自らの音の全てを体現するバンドになったのだ。3ピースと言うシンプルな編成でありながら、轟音ギターがドラマティックに奏でる郷愁のメロディ、そしてそれは世界に対する一つの祝福でもあり、絶望に対して完全なる決別の宣言。躍動感溢れるビートは新たなる幸福な世界を祝福し、しかしシリアスな緊張感は常に充満している。何よりも本当にあざと過ぎる位にドラマティックなサウンドとメロディ、一つの物語であり、一つのオーケストラでもあり、何よりも純度しかない穢れなき音は心に浸透し、この世の穢れを全て無かった事にしてしまう。今のCurveにはもう余計な言葉なんて本当に必要としない。何よりもポジティブな賛美歌としてのその轟音は、誰にも砕く事なんて出来ないんだから。
・Smell
そして今回出演したバンドの中で唯一初見で予備知識の無かった小岩のメロディックハードコアバンドであるSmell。暫く活動を休止していたらしく、今回のライブは活動再開の復活ライブで、フロアは本当にダイバー続出な大きな盛り上がりを見せていた。僕は少し疲れたので後ろの方でゆっくりと観ていたんだけど、このバンドの音は本当にこれこそがメロディックハードコアだっていう音。日本語で歌を歌い、硬派にソリッドな音を鳴らし、しかしメロディアスでエモーショナルで武骨な音は非常にスピーディでありながらも、確かな練り込みもあり、でもストレートでパワフルでいた、でもやっぱり少しばかりのナードさもあって本当に良い。復活ライブということもあって他のバンドより少し長めのセットだったし、初見ながら彼らの放つ歌とグッドメロディは凄く良かった!
・LOSTAGE
トリ前は新作を遂にリリースした奈良の最強の3ピースであるLOSTAGE。3人時代になってから様々な苦難を乗り越えて、本当にバンドとして大きくなったと思うんだけど、この日のLOSTAGEは本当に飛ばしに飛ばしまくっていた。一曲目から最強のイントロと共に爆裂のサウンドを繰り出す「ひとり」という最強の一曲をお見舞い。相変わらず硬質に歪みまくった五味兄のベースと、ざらつきと鋭利さとエモーションが最高の配分を持つ五味弟のギターと、岩城氏のロックとしてのビートの気持ちよさとストイックさの溢れる躍動としてのドラムのアンサンブルの切れが凄いし、ロックバンドとしての凄みしか今のLOSTAGEには無い。しかし「SURRENDER」からの流れで今のLOSTAGEはバンドとしての懐の大きさも凄いと改めて実感した。泣きに泣きまくるメロディが吹雪く「SURRENDER」から、最強のアンセムである「手紙」をまさかの中盤にプレイし、五味兄はステージから飛び出し、激情を露にする。そして終盤の2曲は新作の中でも特に歌物な「路傍の花」、そしてLOSTAGEの新たなるアンセム「美しき敗北者達」という歌物でありながら、LOSTAGEというバンドの持つ普遍性が絶対になった名曲をプレイ。序盤こそとんでもないテンションでライブをしていたけど、最後は本当にロックバンドとしての大きさを見せる貫禄のライブ。LOSTAGE自体が小岩でライブをするのは本当に久々だったらしいけど、今こそ本当に大きなバンドになったLOSTAGEだけど、このバンドは何もブレちゃいない。だからこそ僕はLOSTAGEが大好きなんだ。
・killie
そしてトリはkillie。このバンドは言うまでも無く他に代えのいない唯一無二のハードコアバンドであり、その瞬間を血で染める言葉と音のハードコアとして間違いなく最強のバンドであり、最強のライブバンドの一つであるのは、このブログのkillieのライブレポで飽きる位に言っていると思うのだけど、今回のライブはこれまで観たkillieのライブの中で間違いなく最強のライブだった。のっけからの「針千本飲ます」と「掲示板を埋め尽くせ」というシリアスでダークで長尺でありながら、安易な感傷やドラマティックさを真っ向から否定する2曲の時点でkillieというバンドは常に進化を続けながら、本当に他に代えのいないバンドになっているって今更な事を改めて実感させられてしまった。メンバー全員の本当にテンションの高いアクションやステージングもそうだし、楽曲自体本当に展開も構成も複雑極まりないのに、もっと原始的な部分でのビートの強さだったり、リフの格好良さという部分を生かし、攻撃的に尖りに尖りまくった音で瞬殺。「エコロジーを壊せ!」みたいな静謐さも無く、常に躍動の音を繰り出しながらも、複雑に展開し、カタルシスにカタルシスを重ねまくって、天国でも地獄でもなく、目の前にありリアルこそが全てである事を証明する曲でのkillieの凄みは本当に半端じゃない。何よりも今回のライブは本編ラストの「落書きされた放置死体」から、ステージから掃けないで行われたアンコールの「先入観を考える」と「体脂肪と戦う」というkillieの楽曲郡の中でも特にハードコアとしての粗暴さも、瞬間のドキュメントとしてのカタルシスも、全てがフルスロットルになった楽曲の凄さがとんでもなかった。一気にモッシュとダイバーが続出し、ただでさえ満員の人と暑さで地獄と化したフロアは更なる地獄となり、酸欠状態での臨死状態で観るkillieという最高のシチュレーション。本当に全ての瞬間が一瞬であり、整合性も調和も全て崩壊して、ただ渦巻く音の渦と狂騒だけで、世界が染まっていく感覚と、肉体と精神が解放される感覚は凄まじかったし。だからこそkillieは最強の激情系ハードコアの一つである事を実感した。やっぱりkillieって凄いバンドなんだよ!!
小岩eM7時代から現在の小岩bushbashに至るまで多くのバンドが熱いライブを繰り出してきたSalad Daysというイベントだけど、10年近くにも渡って継続されてきたからこその意味は本当に大きいし、だからこそ今回のライブは出演した6バンドが本当に熱いライブを繰り広げていたと僕は思う。本当にこうしてイベントを継続してきたからこそ今回のライブは生まれたし、killieの伊藤氏がライブ前のMCで「今がこれからに繋がる」といった意図のMCをしていたのも凄く印象的だったし、このイベントだけじゃなく、バンドもライブハウスも今があるからこそそれがこれからへと繋がるし、継続は本当に大きな力になると思う。だからこそこれからも小岩の音楽シーンもbushbashもSalad Daysというイベントも続いていくと思う。僕自身がそうであって欲しいと心から思うんだ。