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■ヒビノコト/isolate


ヒビノコトヒビノコト
(2014/09/10)
isolate (アイソレイト)

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 2014年最重要作品だと思う。激情系ハードコアの新たなる未来を生み出し、多くの人気を集めていたisolateがいよいよ1syフルアルバムをドロップした。全15曲39分、リリースは勿論KEEP AND WALKから。これがもう最強の一枚になっている。単なる激情系ハードコアではない、単なるブラッケンドハードコアでは無い、これまでリリースされた作品も勿論素晴らしかったけど、それすら生温く聴こえてしまう位に、今作は暗黒も激烈さも痛みも美しさも轟音も全てが桁が違う。激・重・暗・美・裂・黒だと?そんな言葉じゃ表せない何かが確かに存在していて、そんな化け物に付いた名前が「ヒビノコト」ってのはまた凄いと思う。THE SECRET招聘、DEAFHEAVENとの共演といった経験も生かし、それを最高の形にした大傑作だ。



 しかしこのアルバムは本当に極限過ぎて、理解がまだ追いつかない。手法自体はこれまでと大きく変化したって訳では無い。安藤氏の日本語での痛々しい叫びのボーカルも、ツインギターの轟音トレモロも、熾烈なるブラストもこれまでの作品にあった要素だし、今作もそんな音が大きな比重を占めている筈なんだけど、先ずは音圧がこれまでの作品に比べて明らかに凶悪になっている。これまでのシューゲイジングブラックな轟音とは違って、よりブラッケンドな極悪で重くて黒い音に変貌したのは今作の大きな進化点であると思う。またインタールードの4曲を除いた全ての楽曲が常に轟音とブラストと叫びの織り成す休む暇なんて全く無い激音でしかなく、クリーンな音はほぼ皆無。また初のフルアルバムという事もあって、歌詞もそれぞれの楽曲が繋がっていて、作品で一つのテーマを歌っている様にも思うし、何よりも激音に続く激音なのに、作品全体で明確なストーリーが存在している。また個人的に今作は四部作になっていると思っていて、それぞれのインタールードの楽曲を皮切りにそれぞれの章が始まると言う形式になっていると思う。終末の始まりを描く第一部、美しさを描く第二部、激音を極めた第三部、そしてクライマックスであり終末の第四部と言う形式だと僕は感じた。
 SEの第1曲「鼓動」が終わり、第2曲「解纜」が始まった瞬間にトレモロの轟音が耳を壊しに来る。美しく咲き乱れる轟音と共に、最初からクライマックスとばかりの美しき音の連続はスケール感がこれまでと桁違いだ。随所随所のブラストビートが楽曲を盛り上げ、美しき旋律が際立つのに、何でこんなに苦しくて悲しい気持ちになってしまうのだろうか。そして第3曲「閉ざされた中で」からは完全に地獄。常にブラストが暴走し、弦楽器隊の音も一転してBPMが速くなり、約1分をファストに燃やし尽くす。第4曲「航路の先」はこれまで以上にブラッケンドな音を感じさせ、よりブラックメタルに接近した音を聴かせるんだけど、他のブラッケンドと全然違う感触を覚える。それぞれの音の輪郭は明確でありながら、肉体を刻む音でありながら、同時に精神を蝕んでいく。HEXISの様な暗黒ブラッケンドともまた違うのは、isolateの持つメロディの美しさが熾烈なる楽曲でも見事に生かされているからだろう。激烈になればなる程にそれはより際立ち、そして終末の始まりを見事に想起させる。
 インタールードである第5曲「安堵の時」からの第6曲「蝕」は一転して、今作のダークな深層へといよいよ入り込む、人間の奥深く先にある負の感情を抉り取り暴く様な言葉とギターの音が素晴らしく、今作は「暴く」作品である事を感じさせられてしまった。第7曲「欲で着膨れする」はまた一転して空間的エフェクターを使いまくったアンビエントな音色を使いこなし、更に深みと奥行きを感じさせる音に仕上げ、そこからドラマティックに暴走するサウンドは今作の中盤のハイライトだと言えるし、激しさの中の黒の美学としてのisolateが炸裂しまくっている。第8曲「美徳の勘違い」も激音だけじゃなく、不穏でクリーンなアルペジオのフレーズを見事に生かし、今作で最も音色が綺麗で、ここまでの熾烈な音の連続にこう来てしまうともうどうしようも無く胸を締め付けられてしまう。
 第9曲「空白の至福」というインタールードを挟み、第10曲「裏側の微笑」は一転。ドス黒い濁流の音色へと再び変貌し、今作でも特に激烈な地獄が始まる。続く第11曲「屁理屈」も第12曲「薄氷上」もショートでファストであり、今作の中でも特に速さと激しさが際立っている。断罪の様にトレモロをひたすら刻みまくり、ベースとドラムのビートも業火の様に焼き尽くす。特に「薄氷上」の破壊力はこれまでのisolateの楽曲の中でも最強クラスであり、全ての音が真っ逆さまに落下している。落下角度もなんかおかしいし、しかも一瞬の落下ではなくて、とんでもない速さで終わり無く落下していく感覚なのだ。何か自分で何言ってるか分からないけど、多分富士急ハイランドの高飛車以上のカタルシスがこの瞬間に間違いなく存在している。
 第13曲「雨音の隙間に」からのラスト2曲は本当に素晴らしい。第14曲「歪」は今作で最も終末感溢れるメロディが存在し、トレモロとクリーンなギターフレーズが織り成す闇のハーモニー、ただ歪んでいるだけじゃなくて、ただ美しいだけじゃない。激と美の最終進化形態であり、この音にはただ飲み込まれるしか無くなってしまう。そして最終曲「終末」はクライマックスの連続であった今作の最後を飾る真のクライマックスであり、そして安易な感傷や感動なんて粉々に粉砕する無へと還るしかない絶望の終末だ。今作のそれぞれの楽曲のエッセンスを持ち、そして最後は激音の果てに2本のギターのみになり、それがレクイエムを奏でる。そして作品が終わった瞬間に聴き手はただ取り残されるだけなんだ。



 その音も、言葉も、本当に規格外過ぎるし、正直ここまで凄い作品を作り上げるとは思っていなかった。これまでも新たなる激情・カオティックを鳴らすバンドとしてisolateは圧倒的な存在感を放っていたけど、今作でそれは確固たる物になったと思う。紛れも無くisolateにしか生み出せない作品だし、39分間が本当に一瞬で過ぎ去ってしまう。この激音の洪水の先に安易な救いは無いし、悲壮感溢れまくっているのに「ヒビノコト」なんてタイトルを付けたのは本当に大きな意味を感じたりもする。東京暗黒重速歪音楽団の肩書きはハッタリなんかじゃねえし、これは真髄の音だ。この怪物の音はもう形容すらさせてくれやしない。極限の熾烈なる美しき黒の濁流。もうそれでしかないのだ。



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