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■ゆれつづける/割礼






 90年に発表された割礼の3rdアルバムである今作であるが、割礼の代表作であると同時に、ジャパニーズロックの屈指の大名盤といっても過言では無い作品である。耽美さ、湿ったダークさ、ゆらゆら燃え続ける炎の様であり、甘いドラッグの様な退廃的な世界観を持ちながらも、宍戸幸司が歌うのはラブソングである。
 安易にカテゴライズさせない強さを持ちながら、割礼独自の湿り気と優しさで歌われるラブソングは素直なまでに聴き手に突き刺さり溺れさせる。



 全9曲、世界観は統一され、余計なギミックの無いシンプルな音でありながらも、どこまでもスロウで甘く重い割礼の音は貫かれている。ネオアコ的な要素を持ちながら、蛇の如く這いずり回る第1曲「緑色の炎」からその世界は展開され、最小限の音のみで構成され、宍戸の歌を見事にフューチャーした第2曲「散歩」で聴き手をホルマリンの様なドロドロの世界に引きずり込み、今作屈指のドラマチックさと優しさを持つ名曲の第3曲「電話の悪魔」の冒頭からの流れで完全なまでに割礼の音を表現している。
 第5曲「快人20面相」の様な何処か陽性のメロディとポップさをもった楽曲でも割礼の退廃的世界は貫かれてるし、ファズギターをフューチャーした第6曲「歪み」の様なサイケ色の強い楽曲でもそれは分かると思う。最小限の音をタイトに鳴らすリズム隊に反して、宍戸と山際氏のギターは、スロウでありながらも聴き手の耳に確実に浸食するファズギターとハイの効いたクリーントーンを使い分け、シンプルながらも感傷的メロディを鳴らし、宍戸の歌声と世界観を完全な形にして表現しているのだ。第8曲「ゆれつづける」でその割礼独自のタイム感を持ったサウンドは一寸もブレ無く鳴っている。



 割礼の音には安易な救いや、下らない自己陶酔に基づいた安い絶望なんか全く無い。宍戸の歌は重くダークではあるが、それと同時に愚直なまでに素直でロマンチックでもあるのだ。
 僕は割礼はバンド結成から現在に至るまでラブソングばかり歌うバンドだと思っている。しかしそのラブソングは割礼にしかないスロウさと温もりと残酷が痛い位に伝わるのだ。
 人を溺れさせる、内側に向かうロックを突き詰めたからこその優しさと強さが今作には貫かれている。
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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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