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■Primitive and Deadly/Earth


Primitive and DeadlyPrimitive and Deadly
(2014/09/02)
Earth

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 これはEarth復活作である「The Bees Made Honey in the Lion’s Skull」以来の衝撃だ。ドゥーム・ドローンの最重要バンドであり、御大Dylan Carlson率いるEarthの2014年リリースの最新作は正にそんな作品となった。復活後はダークで深遠なるアメリカーナ路線を突き進んできたけど、ここに来てDylan先生はヘビィロックへと回帰した。これまでのアメリカーナ路線の流れにありながら、シンプルなバンドサウンドとリフに回帰し、earth史上最もロックな作品を生み出した。初期は無慈悲なドローン・ドゥームとして登場したEarthが行き着いた先は至ってシンプルなロックだったのだ。



 でもEarthが単なるロックを奏でるかと言ったらそんなのは大間違いだ。間違いなく作品はドローンな流れにあるし、これまで同様にアメリカーナ要素もある。しかし今作は更に余計な装飾を取り除き、ギター・ベース・ドラムという本当にシンプル極まりない音で制作されている。そして最も大きな特徴はどの楽曲もギターリフ主体の楽曲ばかりだと言う事だ。極限まで推進力を落としたビートとヘビィなリフというシンプルな音で構成されているのだけど、単なるロックなギターリフをDylan先生が弾く訳が無い、ヘビィさを全面には出しているけど、反復するギターリフは非常に美しいメロディを持ち、それでいてヘビィな残響音を聴かせるリフは余韻の最後の最後まで恍惚の音だ。復活後の3作品はヘビィロックから離れたアメリカーナ路線を追求していたけど、そこで培った物をヘビィロックに還す事によって新たな地平を切り開いたのだ。第1曲「Torn by the Fox of the Crescent Moon」は正に今作のEarthの衝撃がダイレクトに表れた楽曲であり、反復するギターリフが徐々に色彩を増やし、随所随所に美しいアルペジオを盛り込みながらも、徐々に熱を帯びるギターリフによる揺らぎと高揚感、バンドサウンドを前面に押し出したからこその、ダイナミックな揺らぎは正にサイケデリックであり、しかしこれぞEarthにしか生み出せなかったロックなのだ。プリミティブなリフの力による神々しく圧巻なサウンドスケープはEarth史上最高の物になっている。
 また今作の大きな特徴として、再結成後の作品ではインストの楽曲のみを発表して来たEarthがここに来てゲストボーカルを迎えている事だ。いきなりストーナーな感触を持ちながら、奈落と桃源郷が混ざり合ったギターフレーズに意識を持っていかれる第2曲「There Is a Serpent Coming」では(Queens Of The Stone AgeのMark Laneganがゲストボーカルを務めている。しかしMark Laneganの深み溢れる渋いボーカルとEarthの音が見事な惹かれ合いを果たし、悠久のギターリフとMark Laneganのボーカルのコラボレーションは正にロックの最深部であり高みからの新たなる福音であるのだ。特に素晴らしいのは第3曲「From the Zodiacal Light」だ。今作でも特にヘビィさとサイケデリックさ溢れるギターの音が印象的であるし、メインのフレーズと、脳の使われていない部分すら覚醒させるであろう、儚く耽美な揺らぎ。そしてゲストボーカルであるRose WindowのRabia Shaheen Qaziのシリアスな緊張感を持つボーカルがまた素晴らしい。今作はここ最近のEarthの中でも特にダークな感触を持つ作品ではあるけど、そのダークさは絶望的なダークさとは違う、人間には抗えない得体の知れない物へのある種の畏怖の念が生み出す恐怖心としてのダークさであると思うし、しかし恐怖は時に救いと隣り合わせであると思うし、この曲はシリアスさから少しずつ精神を開放させる高揚感へと繋がり、Dylan先生とRabia嬢による愛撫の果てに緩やかな絶頂を僕達は迎える。
 再びインストである第4曲「Even Hell Has Its Heroes」も驚きだ。リフ主体である楽曲構造は変わらないけど、サイケデリック・ストーナーといった言葉が見事に当てはまる序盤のロングギターソロからいきなり涅槃へと連れて行かれるし、今作が紛れも無くロックアルバムである事を証明している。延々と続くスロウなギターソロ、そしてスロウなビートとリフが更に調和し、彼岸をそのまま音にしているみたいなサウンドスケープは個人的にはここ最近の割礼が持つ、ロマンとエロスとしてのサイケデリックロックと間違いなく繋がっていると思うし、ロックは極限まで極めると、シンプル極まりない音でも、異様さを生み出せるし、スロウで長尺でありながら、時間軸を完全に歪ませ、次元すら書き換えてしまう。再びMarkをゲストボーカルに迎えた最終曲「Rooks Across the Gate」も凄まじいサイケデリアであり、持続音のギターリフとアコギの調べがとMarkの歌が世界の全てを天国でも地獄でもない、ただ抗えない何かが支配する新たなるパラレルワールドへと変貌させ、最後の最後の余韻まで息を飲む緊張感に支配されたまま終わる。



 これは単なるヘビィロックへの回帰では無い、これまで培った広大で異様な世界を描く音楽を、完全にロックに還し、ロックの新たなる可能性を提示した作品になったのだ。Earthのこれまでを全て持ちながら、そのどれとも違う音は正に悟りの境地だと言えるし、Dylan先生の天才っぷりにはもう驚くしか無い。果たしてEarthがこの先何処に到達するかはまだ誰も分からないけど、でもdylan先生が目指す先は涅槃すら超えた最果てなんだと思う。



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