■HEXIS japan tour(2014年11月21日)@小岩bushbash

 完全に地獄だった。西荻窪FLATでのツアー一発目を終えて、神戸・大阪・金沢でのライブを経てHexisは再び東京へと戻ってきた。3LA招聘によるデンマークのブラッケンドハードコアHexisのツアーセミファイナルとなったこの日は完全に地獄の夜となった。激情も混沌も全て飲み込んだ先の悲痛なる懺悔を音にするRedsheer、ハードコアとドゥームの衝突地点を音で放つYoung Lizard、サイケデリックとドゥームによって全てを歪ませて破壊するZOTHIQUE、グラインドコアとスラッシュのクロスオーバー地点であるDISGUNDER。そしてHexisと逃げ場が何処にもないライブであり、Hexisの今回のジャパンツアーで一番の暗黒の4バンドが参戦し、完全にHexisを殺す体制は整った。そんな歴史に名を残すであろう地獄の企画だ。そりゃ多くの人々が集結したし、金曜のブッシュバッシュでこんなに人がいたのは初めて観たかもしれない。多くの人々が今回の地獄の共犯者であり、工作員であったのだ。そしていざ蓋を開けたら地獄すら超えた何かがそこにはあった…



・Redsheer

 Redsheerのライブはもう何度も観ているけど、このバンドの音とライブに飽きなんて全く無い。そして何度ライブを観てもRedsheerの本質にはまだ近づけていないのかもしれない。もうメンバーがそれぞれやっていたバンドの事なんて話す必要も無いと思うけど、複雑極まりない音を、あくまでも破壊力重視で放ち、しかし攻撃性の中にある静かな狂気、外側と内側の両方にナイフを向ける様な感覚。頭の「Silence will burn」から怒涛の音の乱打が繰り出され、手数多く独自のトライヴァルさすら感じるドラムは、そもそもの音がとんでもなく強いし、同時に独特のタメとタイム感で既に一つのグルーブを生み出し、そこに乗せるベースの音はまるで人間の脈拍の様にせわしなく音を刻む。メロディも世界観も全て司るギターはライブを重ねる毎に狂気を増幅させている。クリーントーンのアルペジオから不意に入るディストーションとビート、急降下を常に続ける様な音。Redsheerの中でも特にストレートな楽曲である「The End. Rise Above」の許しと救いを求めるメロディと叫びは、最早涙すら浮かびそうになるのに、でも心の奥底にある自分自身の狂気がそれを許さない様な、そんな気分で僕は聴いていた。ライブで聴くのは少し久々だった「In a Coma」もクリーントーン主体で進行しながらも、無尽蔵に突き刺す音しか無いし、最後にプレイした「Curse From Sad Spirit」はやはりRedsheerを象徴する一曲だと思う。もう他のバンドとRedsheerを比較する事も出来ないし、楽曲構成やビートこそ複雑ではあるけど決して難解な音を出している訳では無い。じゃあRedsheerとは何なのだろうか?それはまだまだ俺には分からない。でも五感で感じる彼等のライブは、肉体は勿論だけど精神に訴える物だ。最後の最後に小野里氏がベースを放棄し、ピンマイクで叫ぶ姿を観た時に、僕はまるで精神から全てを蝕む「何か」と戦っている様にも見えた。もしかしたら、自己の負の感情との戦いのドキュメントを音にし、ライブで放っているのがRedsheerなのかもしれない。その答えはまだ僕には分からない。でも一個だけ言えるのは今回のライブも凄まじいライブだったって事だ。

IMG_4651.jpg



・Young Lizard

 ライブを観るのは実に1年振り位になってはしまったけど、たった一年でとんでもないバンドに進化してしまっていた。ほぼ真っ暗になっているステージで繰り広げられていたには、最早完全に惨劇でレイプだったと思う。Young Lizardは単なるドゥームじゃないし、単なるハードコアでは無い。今回久々にライブを体感して実感したけどエクストリームミュージックの暴力その物でしか無いのだ。構成する音自体は極めてシンプルではあるし、ドゥームなリフをガンガン取り入れたハードコアであるんだけど、その音はヘビィでありヴァイオレンスであり続けているし、というかそれしかない。例えば中本の冷やし味噌は具がモヤシとバラ肉だけなんだけど、あの激辛激旨なスープと麺だけで全て成立させてしまっている。Young Lizardはそんなバンドなんだ。時には速いパートもあり、時には遅いパートもある。でも曲は決して長くないし、破壊的なリフとグルーブのみで全てを形成する。余計な小細工がそこには無いし、ただただシンプルに強いしおぞましい。ベクトルこそ勿論違うけどThe Donorのライブが有無を言わせない強さに溢れているのと同じで、彼らも有無を言わせない破壊的恐怖しかライブでは生み出さない。ギタボの人は何度もギター毎ステージにダイブしていたし、非常に破壊的でスリリングなパフォーマンスを見せていたけど、本当に一瞬で全てを殺し尽くしてしまっている様だった。そしてライブを終わった後は、何かもう色々凄いとしか思えなかった。Young Lizardはドゥームミーツハードコアじゃ絶対に片付けられない。本気で殺気だけを音にしてしまった悪夢だ。

IMG_9555.jpg



・ZOTHIQUE

 今回のZOTHIQUEは本当に凄まじいライブだったと思う。元々今年リリースした2ndで大化けを果たし、サイケデリックと
ドゥームの一番純粋で危険な音のみで構成された宇宙も時空も歪ませる音の世界を彼等は完全に手に入れているし、ライブは三週間振りとあんまり間を空けないで観た事にはなったけど、たった数週間で更に音を研ぎ澄ませまくっていた。2ndでもそうだったけど、あのキーボードはZOTHIQUEの核になる要素の一つであるし、ライブでも爆音で気が狂っているとしか思えないテンションでノイズと不協和音を垂れ流しまくりながら、それは右脳と左脳の両方が共存したノイズであり、本能的に放つ音ではあるけど、その音をバンドのサウンドにどう活かしていくかって点は非常に計算され尽くしていると個人的には思うし、非常に四次元的でもあるのだ。勿論根本のバンドの音も極悪。ドゥームリフとドゥームグルーブによるドス黒く蠢くヘビィ過ぎる音はシンプルではあるけど、岩石が落ちてくる様な重みと重力による無慈悲な破壊のサウンド。肉体と精神を粉々に粉砕する音が本当に凄い。そして後半はGOUMのkumi嬢が加わり2ndの「Hypnotic Kaleidoscope」をプレイ。一転してアコースティックなギターとノイズの中でkumi嬢が不穏な歌を聴かせる。そして最後の最後はGOUMでも聴かせている痛々しい叫びを全身全霊で繰り出し、そして下中氏と共に叫びを繰り出しまくり、キーボードもギターもドラムもベースもリミッターを完全に解除して全てを蝕む化物を音で生み出していた。ZOTHIQUEは単なるドゥームバンドじゃ無いし、kumi嬢を迎えたスペシャルなセットでも、本質にあるサイケデリックさとドゥームさを極めた極限の体験としてのライブは何もブレちゃいなかった。このバンドはもっともっととんでもないバンドになるだろう。

IMG_4782.jpg



・DISGUNDER

 ここまでの3バンドはそれぞれベクトルの違いこそあれど、3バンド全部地獄を生み出していた。でもDISGUNDERは違った。極悪なスラッシュグラインドから地獄のパーティを生み出していたのだ。最早グラインドアイドルとしても名高いDISGUNDERであるけど、このバンドは僕個人としてはグラインドというよりも、もっと根底にスラッシュメタルのロック的な格好良さがあると思う。それぞれのメンバーのキャリアだって凄いけど、そんな事すら全てゴチャゴチャにしながらも、爆音で爆走しまくっている。MCでは「今回唯一速いバンドですみません。」とかそんな感じの事を言っていたりしたけど、10曲程のライブの中で休む暇なんて全く無かった。メンバー全員がアグレッシブに暴れまくりながら超速フレーズを繰り出しまくり、時にはギターソロも繰り出し、アンナ嬢が叫び、爆音でもうよく分からなくなっているけど、とにかく速さを追求しまくったブラストとリフの混沌は全てを貫くし、バンドとしての力量は兎に角凄い。でもそんな極悪な音を放出しているんだけど、何処となく楽しさがメンバーそれぞれから伝わって来るし、速さを追求した音でいかに遊べるかってのをライブを観ている人に試している気もする。とにかくDISGUNDERのライブは楽しさに溢れてたし、それはフロアの人々の笑顔からも伝わってきた。

IMG_0593.jpg



・Hexis

 そして今回の主役であるHexisである。初日のFLATでの全てが想像の斜め上だったライブからツアーを経てどうなっていたか非常に楽しみであったけど。結論を言うとボーカルのフィリップはやっぱりアホだったって事だ。この日の自前のストロボを持ち込み、ストロボのみの照明によってハコを異空間に変え、そして完璧極まりないHexis印のブラッケンドハードコアを炸裂させる。FLATの時も思ったけど、このバンドの楽器隊の音には寸分の狂いすら無くて驚く。まるで音源をそのまま再生してるんじゃないかって疑いたくなるレベルで、音が高次元で再現されているのだ。シンバルハイハットの乱打によって時空を歪ませ、終わり無く暗黒トレモロリフを放出し、重低音が攻めまくる。やっぱり曲の細かい違いはライブだとそんなに分からなかったりするけど、徹底して無慈悲な音を放出し続けるスタイルはストイックでもあると思うし、でもやっぱり馬鹿だとも思う。そんな極限過ぎる音の中でフィリップ君はやっぱりフィリップ君だった。FLATの時に比べたらまだステージにちゃんといた時間は長かったけど、やっぱり早々にフロアにクラウドサーフをキメるし、客に絡むし、寧ろ何人かのサークルモッシュしていたお客さんと一緒にモッシュしていた始末。僕はHexisのライブを観に行った筈だったけど、やっぱりデカイデンマーク人を支える運動会になっていたし、フィリップ君はやたらご機嫌で無尽蔵に暴れまくっていた。FLATの時に比べたらフィリップ君のパフォーマンスのインパクトは少しだけ弱かったけど、この日初めてHexisを観た人にとってはFLATの時のフィリップ君のパフォーマンスについてネットとかで知っていたとしても衝撃だっただろうし、この日はよりファストに濃縮されたライブだったと思う。フィリップ君が「One More?」ってステージから掃けずにMCしてそのままアンコール入ったし、FLATの時以上にあっという間なライブだった。というかやっぱHexisってアホだわ。最高だ!!

IMG_2062.jpg



 そもそもHexis来日を抜きにしてこの日のブッシュバッシュは完全に伝説になるであろう面子だったし、実際にはとんでもない伝説の夜になったと思う。勿論Hexisのライブも最高だったけど、今回出演した国内バンド4バンドは正直全然Hexisに負けていなかったし、寧ろ喰い殺してしまいかねないライブをしていたと思う。国外国内問わずに、こうした暗黒エクストリームミュージックを奏でるバンドが共演し、殺り合い、共闘する事が出来るってのは本当に幸福な事だと思うし、きっとHexisのメンバーも日本のバンドが凄いって事を実感したと思う。こうしてブッシュバッシュ史上最凶であろう地獄の一夜は幕を閉じた。そして翌日のHexisジャパンツアーファイナルであるweepray企画へと続く。
スポンサーサイト
タグ : ライブレポ

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

タグ別記事表示

日本 ライブレポ 激情系ハードコア アメリカ スラッジ ポストメタル ポストハードコア ポストロック カオティックハードコア ドゥーム エモ オルタナティブロック イギリス サイケ フランス アンビエント ストーナー ネオクラスト ドローン ドイツ シューゲイザー ハードコア ロック グラインドコア プログレ ギターロック ポストブラックメタル インタビュー マスロック ポストパンク デスメタル スウェーデン カナダ モダンへビィネス スラッシュメタル ブラックメタル ギターポップ エクスペリメンタル エレクトロニカ ジャンクロック イタリア インダストリアル ベルギー フューネラルドゥーム グランジ ノルウェー 年間BEST ジェント オーストラリア スペイン アコースティック ポップス プログレッシブメタル ラーメン ブラッケンドハードコア フォーク ミニマル モダンヘビィネス ニューウェイブ パワーヴァイオレンス ロシア ゴシックメタル ハードロック ファストコア ノイズ ニュースクールハードコア フィンランド メタルコア ゴシックドゥーム トリップホップ ヒップホップ 自殺系ブラックメタル オランダ 駄盤珍盤紹介 アブストラクト ノーウェイブ クラウトロック ダブ ヘビィロック パンク ゴシック ダブステップ ノイズコア シンガポール ラトビア ミクスチャー チェコ インディーロック メロディックパンク テクノ ポーランド ドラムンベース ウィッチハウス オルタナティブ アイルランド デンマーク スイス ヘビィネス メキシコ ポジパン ジャズ ヴィジュアル系 アシッドフォーク メタル ブルデス 声優 ボイスCD ドリームポップ トラッドフォーク クラストコア スクリーモ カントリー プリミティブブラック 韓国 ハンガリー アイスランド イラン シンフォニックブラック ギリシャ スコットランド USハードコア ポルトガル ガレージ ソフトロック フリージャズ モダンクラシカル 台湾 トルコ ファンク 

カテゴリー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

カウンター