■weepray Presents "死覚" ~ Hexis Japan Tour Final ~

 前日の小岩でのセミファイナルも大きな盛り上がりを見せていたけど、いよいよHexisのジャパンツアーも千秋楽を迎える事になった。その千秋楽はモルガーナでのweepray企画であり、多くの国内バンドとHexisが惹かれ合い殺り合って来た今回のジャパンツアーの集大成とも言うべき面子が集結。エクスペリメンタル・シューゲイザーから美しき轟音ポストメタルを奏でるPresence of Soul、SeeKと共にHexis大阪公演となった孔鴉でHexisを迎え撃ち、最新で最強の混沌をハードコアとして放つSTUBBORN FATHER、「ヒビノコト」をリリースし、現在ツアーにて全国にその轟音と激情を放っているweeprayの盟友であるisolate、愛と混沌のハードコアを放ち、正に唯一無二の存在となっている今回の主催であるweepray、そして#LA水谷氏の呼び掛けによって今回来日を果たし、各地で凄まじいライブを展開していたHexisという最強の5バンド。正に死を覚えると書いて「死覚」という企画名に相応しい5バンドであったし、国分寺という決して都心から近い訳じゃ無い場所にモルガーナがギチギチになるレベルの人が集結していたのは僕自身凄く嬉しかった。そして小岩に続き全てが伝説としてこれから語り継がれるであろうHexisのツアーファイナルが始まった。



・Presence of Soul

 トップはPresence of Soul。セッティングされた膨大すぎるエフェクターでステージが埋め尽くされているのに驚いたけど、そんな機材の量を裏切らないライブだったと思う。音源自体はアルバム「Blinds」しか僕は聴いていなかったのだけど、「Blinds」リリース当時とは明らかに違うバンドになっていた事に驚いた。2本のギターとドラムとベースとキーボード。時にキーボードの女性がギターを弾きトリプルギター編成にもなっていたりもしたけど、のっけから凄まじいアンサンブルを見せる。キーボードの音が静かにメロディを奏で、ギターが静から重轟音を放ち、ミドルテンポで重いグルーブをリズム隊が放つ。照明はプロジェクターによって映し出される映像のみで、そのモノクロの荒涼とした映像がまた彼等の音と見事にシンクロする。ライブ自体は全3曲で、ラストの曲以外はインストではあったけど、スクリーンに映し出されるモノクロの映像同様に白と黒による音の世界は壮絶で神秘的ですらあった。轟音シューゲイジングサウンドの白と、ヘビィなポストメタルリフによる黒が入り混じり、緻密にアンサンブルを組み立てながら、しかしダイナミックにダークネスとサッドネスとピュアネスが溶け合って爆発する様なサウンドスケープを展開し、圧倒的な世界観を四次元的に生み出していた。本当に重厚過ぎる音の洪水に身を任せていたらライブはあっと言う間に終わってしまったし。最後の女性キーボード兼ギターの「ありがとうございました。」っていうこの日唯一のMCでライブが終わり転換に入っても、彼等の音の余韻はモルガーナを包んでいた。本当に良い意味で音源とは全然違ったし、Presence of Soulは日本が生んだYear Of No Lightや!!と声を大にして叫びたくなった。いやポストメタル・シューゲイザー・エクスペリメンタル好きは間違いなく聴くべきバンドだし、そのライブはのっけから死を覚悟するだけのライブだった。

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・STUBBORN FATHER

 昨年の孔鴉で出会い、カオティックハードコアの先の先を放つ激音に完全に殺されたのだけど、ライブを観るのは実にその孔鴉以来。ステージの中央あたりに設置された蛍光灯の照明が照らし出すメンバー4人のシルエットは最早カリスマの風格すら漂わせ、その中で「裏側」の音声SEが不穏過ぎる空気を生み出し、ノイジーなギターがそれを切り裂き、そしてライブが始まったらカタルシスに続くカタルシスの連続だった。たった1本のギターが常に混沌とヴァイオレンスさしか無いフレーズを生み出し、変則的でありながらも見事な呼吸によってバッチリキメるキメの連続に体が震えそうになるし、絶妙なキャッチーさを持ちながらも、それはあくまでもスパイスであり、ステージ上で渦巻いているのは最初から最後jまで混沌でしか無い。ボーカルのshige氏の佇まいやボーカルも異様さを感じさせる物があったし、練り込まれている楽曲を完全に音の暴力として変換する事によって生み出された音は正に観る物に臨死体験を与えながらも、同時に興奮を与え狂気をバラ撒きまくる。中盤ではANODEの「隠された太陽」のカバーも飛び出し、それにもテンションはブチ上がったけど、やはり終盤の「痣」で見せた混沌の中で見せる悲哀の旋律の美しさ、そしてラストの「創造の山」での目まぐるしく展開していく煉獄の中で爆発を繰り返しまくっているサウンドにはもう絶頂するしか無かったし、大阪で長年戦い続けているSTUBBORNの風格と凄みを十分に叩きつけるライブだったと思う。大阪という地は東京とはまた違ったハードコアが生み出されている地ではあるけど、大阪云々抜きにしてSTUBBORN FATHERの生み出す混沌は唯一無二であり、その世界観とカリスマ性はこの日カバーしていたANODE同様に彼等も孤高の存在である事を証明していた。

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・isolate

 現在行われている全国ツアーで激音と轟音を各地で放出しまくっているisolateだけど、この日は盟友weepray企画という事もあってか気合が凄まじいライブだった。「ヒビノコト」リリース以降二回ライブを観ているけど、これまでとはパワーも桁違いにビルドアップされ、そしてisolateの持つ世界もより孤高の物になっていたけど、全国ツアーの途中という事もあってか脂が乗りまくっている最高の状態。そしてのっけから「狂う影にあわせて」で始まった時点でこの日のisolateは切れまくっていた。最早ツインギターのトレモロの美しくありながらも暴れ狂う轟音も、キチガイとしか言えないドラムも、極悪な重低音を放つベースも、今のisolateのアンサンブルは全てが完璧としか言えない。そして続く「ヒビノコト」の楽曲達の生み出すサウンドは正に地獄その物でしか無く。美轟音の中で激情を放つだけじゃ無く、美しさとヴァイオレンスさが完全な割合で融合され、闇のカクテルをフロアにブチ撒けまくっている。この日は照明持ち込みのバンドばかりで、唯一モルガーナの照明でライブをやっていたけど、モルガーナ側の照明スタッフにGJとしか言えないレベルで照明も凄く良くて、安藤氏の暴れ狂う影がまた良い感じで空気を生み出していたのも大きいし、濁流に続く濁流の中で終盤の「歪」から「終末」の流れは鳥肌物であったし、最後の最後にクリーントーンのギターのみとなり、その旋律の中でステージに立つ5人の姿に最早頼もしさしか無かった。いよいよ全国ツアーも終盤戦に入ったけど、今年のシーンを象徴する「ヒビノコト」というアルバムをリリースした今のisolateは完全に無敵モードだし、EnvyやkillieやHIHAといったバンドと肩を並べるレベルのバンドになったと僕は思っている。さあこのまま来月のツアーファイナルまで破滅の果てを突き進んでくれisolate!!!!!

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・weepray

 間違いなくこれまで観たweeprayのライブの中で一番のライブだったし、同時に伝説に残るであろうライブだったと思う。この日のweeprayについてはもう多くを語る必要は無いだろう。全てが完璧であったし、完成されていたと言える。セット自体は「滅びの碧 終末の詩」、未音源化の楽曲である「終着の地」、「この手とその手」、「彼岸花」というセット自体はここ最近のweeprayのライブと変わらなかったんだけど、全てが研ぎ澄まされていたし、全てが完成されていた。weeprayが持っている、ある種演劇的でもあるステージングとストーリー、そしてそんな深遠なる世界の奥底の奈落から手を伸ばす得体の知れなさ、ハードコアバンドとしての根本的な破滅的な音とブルータルさ、全てが完全な形で融合していた。ボーカルの笠原氏は元からオーラ溢れるステージングをする人だったけど、この日は完全にカリスマその物になっていたし、まるで宗教の教祖の様でもあり、宣教師の様でもあり、もしくは破壊神でもあった。衣装が完全に黒魔道士になって結構経っているベースの阿武氏も、ベースという魔道具から放つ重低音の混沌の魔術は完全に唯一無二のベースの方法論だったし、赤塚&小室のギター隊のギターも完全なる調和を生み出していながらも、その調和を変化させながら、フロアの人間をズタズタに切り刻みまくっていた。大野氏のドラムも完璧で、weeprayという舞台を支える黒子でありながらも、存在感しか無い独自の時間軸を生み出し、そして空間を破壊しまくっていた。非常に個人的な話になってしまうけど「滅びの碧 終末の詩」の時にあまりのライブのスゴさにブチ上がってヘドバンしていたら前方の柵に頭を打って軽く流血したのはまあどうでも良いとして、モルガーナの音響とweeprayの音は完全に合っていたし、笠原氏のボーカルが全面に出ているのに、各楽器の音はエグい音を放ちまくるという最高の状態でのライブだったのも大きいだろう。特に後半の「この手とその手」と「彼岸花」ではあまりにも肉体と精神を破壊する音にぶっ壊れた客が続出して、サークルモッシュからクラウドサーフまで発生するというとんでもない盛り上がりを見せ、狂気の世界に完全に心を壊された人々しかいなかったし、特にラストの「彼岸花」ではビートダウンパートで狂った様に暴れる人でピットは溢れていたし、もう何もかもが異常でしかなかった。ライブを観る度にweeprayは一つの狂気の惨劇だと思い続けていたけど、今回のライブはもうベルセルクの蝕の時の様なトラウマしか無いライブだったと思う。いや本当にこの日のモルガーナにいなかった人は一生後悔した方が良いと思うよ。間違いなく伝説が目の前にあった。

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・Hexis

 そしていよいよHexisのライブ。今回三公演に渡ってHexisのジャパンツアーに足を運んだけど、もうストロボのみの照明で異次元と化した空間でフィリップとかいうアホ外国人を支えるのも最後かと思うと妙な感慨深さもあったりした。そしてHexisの東京での最終公演は間違いなく今回のツアーの集大成と呼べる物だっただろう。セット自体は恐らく前日のブッシュバッシュとほぼ変わらない物であったけど、これまで観た三公演の中で体感時間は一番短く感じたし、ライブ自体は本当に一瞬で終わった様にも感じた(セット自体は30分弱やっていたとは思うけど)。そして早々にフィリップakaアホ外国人のノッソリとしたクラウドサーフ芸も炸裂し、相変わらずのアホなパフォーマンスに実家の様な安心感を何故か覚えてしまった始末ではあったけど、でもこの日のフィリップ君はちゃんとステージに立っている時間が結構長かったりもしたし、一番気迫を感じさせるボーカルをカマしていた。楽器隊に関してはツアー初日からそうだったけど、本当に寸分の狂いも無いアンサンブルを展開しまくっていたけど、この日はトリ前のweepray同様に音響が凄く良くて、極悪な音塊の中に明確な音の粒を無数に感じたし、その無数の粒が押し寄せる様は完全に黒い洪水。更には音の密度も濃厚極まり無かったのも凄く良かった。ツアー初日でのフィリップ君のアホ極まりないパフォーマンスに驚かされたけど、そうした物すら抜きにしてもHexisというバンドはやはり凄いバンドでしか無かったし、途中で地震があったのすら分からなくなる位の轟音の振動は一つの異次元体験だっただろう。音源で聴いた時はその遠慮の無さ過ぎるトレモロ地獄に悶絶させられたけど、演出面もパフォーマンスもバンドのアンサンブルもやっぱり別格の物であったし、Hexisはやっぱり「本物」のバンドだったっていう事だ。こうして書くのも変な話ではあるけど、今回三公演に渡ってHexisのジャパンツアーに足を運んで本当に良かったと思うし、何よりも楽しそうにライブをするメンバーの姿が印象的で、フロアの人々の笑顔も印象的で、音楽性こそ暗黒を極めまくった地獄のドリル音サウンドなのに、そんな音ですら人々にスペシャルな体験を与え笑顔にするんだからHexisって本当に凄いと思う。本当に来日してくれてありがとう!!最高だったよ!!

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 終演後にHexisメンバーに適当英語で話しかけて「ユアハードコアイズベリークレイジー!!」とか言って、メンバーに「何言ってんだコイツ」って顔をされたのは去年のMilanku来日の時と同じ失態を犯したっていうここだけの話ではあるけど、フィリップ君が顔を覚えてくれて話かけて来たのも凄く嬉しかったし、外タレ来日ツアーと言えど、こうしたDIYツアーでの外タレバンドと客が気軽にハングアウト出来る空気はやっぱ特別だなとか思ったりもしたし、そのライブだけじゃなくて、ハコ全体のハッピーな空気が僕は一番の主役だったと思った。
 今回のHexisジャパンツアーは3LAの発の外タレ招聘ライブであったし、僕個人としてもHexis自体好きだったし、3LAというレーベル・ディストロを個人的に応援していたのもあったし、今回は東京公演全部足を運んだけど、少し無茶してでも足を運んで本当に良かったと思う。3LAと各出演バンドと関係者各位とHexis、それぞれの苦労は計り知れないだろうし、それぞれがリスクを抱えながらも覚悟を決めて実行したジャパンツアーだったと思うし、それが各公演大成功で終わったのは本当に幸福なエンディングだ。僕個人は単なる一人の客でしか無いけど、こうしたDIYで作り上げる現場に大きな価値があると思うし、僕だけじゃなく各公演に足を運んだ人たちは確かにシーンをサポートする意志があったんじゃないかって思う。あんまり難しい事は分からないし、ダラダラ書くと長くなるからこの辺にはしておくけど、何もかもが最高のジャパンツアーになった事だけは伝えたかったし、また3LAが外タレを招聘する事があったら、またHexisが来日してくれるなら、今回参戦した人もしていない人も是非ともシーンを揺らがすであろう現場へと足を運んで欲しいし、というか外タレ云々じゃ無くて、普段からメタルだとかパンクだとかハードコアだとかポストロックだとか関係無く、それぞれの現場で行われている宴へともっともっと足を運ぶ人が増えたら、日本のシーンはもっと面白くなると思う。



Hexis来日してくれて本当にありがとう!!また会う日まで!!
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