■isolate ヒビノコト Release Tour Final(2014年12月21日)@渋谷eggman

 9月に1stアルバムである「ヒビノコト」をリリースしてから実に三ヶ月に渡るリリースツアーもいよいよファイナル。本当にisolateは全国を飛び回っていたし、僕も東京でのライブは何度も足を運んで来た。観る度にバンドとして最強モードである事を実感させられたし、ツアー終盤でギターの岩田氏がまさかの骨折なんて自体もあったけど、こうしてツアーファイナルの場にいれる事になったのは実に感慨深い。前日は大阪で孔鴉にいて、当日の朝に大阪から高速バスで東京に戻りそこからエッグマンに足を運んだのは正直かなりハードではあったけど、それでもこうして足を運んだのはisolateの一つの節目であり、そして新たな始まりの前夜である今回のツアーファイナルを見届けたいという使命感があったからこそだ。過去最大のキャパのハコである渋谷eggmanでのライブ。THINK AGAIN Coffins、SLIGHT SLAPPERSという対バン。もう伝説確定の夜だったし、そこに足を運ばない訳が無いじゃないか!!そして実際に足を運んだら本当に伝説の夜だった。それだけだ。



・THINK AGAIN

 トップバッターはTHINK AGAIN。このバンドはもう正統派極まりないハードコアパンクバンドであり、今年はPIZZA OF DEATHのイベントにて幕張メッセでのライブも経験しているバンドだ。恐らくこの日一番ストレートなサウンドではあったけど、とにかく正統派のハードコアパンクの良さに溢れている。やっている事自体凄いシンプルなパンクロックでありながらも、爆走する馬力溢れるサウンドは純粋にタフネスに溢れている。メンバー3人全員ボーカルを務め、日本語でメッセージ性溢れる言葉を音に乗せるスタイルは愚直なまでに真っ直ぐだ。小難しさやギミックなんて何も無いけど、間髪入れずにノンストップで繰り出される楽曲たちは正にハードコアパンクのそれだし、スラッシュするサウンドとキャッチーさも素晴らしく、一発目から熱い30分のパフォーマンスを繰り広げていた。初見だったけど凄く格好良いバンドだったし、若手ハードコアパンクを代表するバンドなのも納得だった。



・Coffins

 世界レベルであり、デスドゥームとか超えて最早ヘビィロック最強バンドの一つとも言えるCoffinsだけど、今のCoffinsは正に新たな黄金期を迎えている。ボーカルの時田氏が加入して一年がそろそろ経つけど、時田氏は完全にCoffinsに欠かせないメンバーになっていたし、加入当初の少し固さがあったボーカルは見る影が無い。そこら辺で暴れながら叫ぶスタイルこそ相変わらずだし、この日も何回か転びそうになっててちょっと微笑ましかったりもしたけど、超極悪な低域デスボイスは加入当初とは全然違って貫禄溢れる物になり大化けしまくっているじゃないか!!しかもイケメンで高身長なのもあって華がある。しかしこうエッグマンの広いステージで観て思ったけど、Coffinsは小さいハコでも絵になるバンドだし、でも海外ライブを積極的に行い世界でも大きな人気を集めているバンドだけあって、大きなステージが本当に似合うバンドだと思う。時田氏の佇まいもそうだけど、ベースの位置を低めでノリノリで重低音を叩きつける是枝氏もまた華があるし、ギターの内野氏はもうギターヒーローの風格と貫禄しか無い。内野氏が一々拳を高く上げてギター弾いたりするのとか、ギター弾いている時の顔とかも凄く絵になる。メンバー4人から漂う風格はCoffinsがカルトヒーローじゃなくて、もっとオーバーグランドなメタルヒーローのそれだ。勿論サウンドは相変わらず極悪。BPM自体は決して特別速くないけど、遅いドゥームパートからの疾走パートの格好良さは矢張り格別だし、BPMじゃなくて体感としての速さもCoffinsの大きな武器だろう。この日は40分近くのセットという事もあって、曲もたっぷりプレイし、ゴリゴリにヘビィなグルーブとリフをお見舞いしまくっていたし、デスメタルとかドゥームというカルトな音をクロスオーバーさせまくった上にオーバーグラウンド感さえある音にしてしまっているCoffinsの音は最早絶対の信頼しか無かった。しかしそんな極悪なライブをしても、時田氏のMCが滅茶苦茶緩かったりするのもまた微笑ましくて良いなあ。



・SLIGHT SLAPPERS

 日本が世界に誇るパワーヴァイオレンスことスラスラ。転換の時点のサウンドチェックで既に宇宙みたいな音が出ていて、いざライブが始まったらボーカルの久保田さんがいない。そしてフロアで暴れている眼鏡の人がいて、他の客と抱き合ったりしていて嫌な予感しかしなかったけど、その人がステージに上がって眼鏡と鬘を放り投げたら案の定いつもの辮髪の久保田さんでやっぱりなってなる最高のオープニングからスラスラは始まった。この日はisolateのツアーファイナルって事もあってかいつもよりセットは長め(20分弱)だったからスラスラの名曲をたっぷり聴けたのが先ず嬉しかったし、最早どんな曲をプレイしてもスラスラはスラスラでしか無い。中盤に「Moonlight」を箸休め的にプレイこそしていたけど、それ以外は本当にノンストップ!!久保田さんはフロアに飛び出してエッグマンに設置されているテーブルに登って叫んでいる始末だし、パワーヴァイオレンス云々以上に、この限界知らずのテンションは本当に何なのだろうか。久保田さんの一挙一動は一々滅茶苦茶目立つし、速くて短くて五月蝿いという絶対正義だけじゃなくて、それ以上の大正義としての楽しい!!をライブで体現出来るからスラスラはパワーヴァイオレンスの唯一無二の至宝となっているのだと思う。原曲より吹っ飛ばしまくっている「Tell It Like It Is...Please」のキャッチーさも堪らなかったし、ライブはいつもより長めでもやっぱり一瞬で終わってしまった。ライブちゃんと観たのは本当に久々だったけど、スラスラってやっぱり最強に狂ったパッションとハピネスをライブで生み出すバンドなんだなあってフロアで笑顔で暴れている人たちを見てて感じた。



・isolate

 長かった三ヶ月に渡るツアーもいよいよ大団円。長いセッティングが終わりいよいよisolateのライブへ。この日は全機材持ち込みのライブだったけど、もう色々セッティングが凄い。池谷氏が購入したという世界に15台しか無いらしいドラムセット、その左右には巨大なベースアンプ。岩田氏と花澤氏のギターアンプもやっぱり相変わらずの要塞だし、ステージにセッティングされた機材だけでも圧巻。そして安藤氏の「今日はほぼ全曲やり尽くすんでワンモアは無しでお願いします。」というアンコールなんかやらないで全部出し尽くす宣言からいよいよ伝説のライブは始まった。
 序盤は「ヒビノコト」の冒頭を飾る「解纜」からスタートし、「閉ざされた中で」、「航路の先」という最早鉄板になったとも言える3曲の流れからスタート。先日の大阪でのライブで踵を骨折してしまった岩田氏は椅子に座ってのライブというmonoみたいなスタイルではあったけど、もうのっけから全員飛ばしまくる。岩田氏も座っているのにギターを振り回しまくっているし、安藤氏はいきなりステージ前方に乗り出す。美轟音トレモロの「解纜」からファストに暴走する「閉ざされた中で」、極悪なリフとブラストの応酬である「航路の先」とこの3曲は正に今のisolateを象徴する3曲になっているし、今回のツアーでも常にライブでプレイされていた楽曲という事もあって音はより強靭かつ凶悪になっている。特にこの日の池谷氏のドラムはおニューのドラムセットという事もあってブラストの切れが兎に角半端じゃない。正確無比極まりないのに、一発一発の音が滅茶苦茶重いし、しかも速い。速さと重さと正確さを全て兼ね揃えたブラストはライブで叩きつけまくっていたし、ドラムの音が本当に良い。ていうか本当にキチガイみたいなドラムを池谷氏は叩いていたし、池谷氏のドラムは今のisolateに絶対に不可欠な物になっていると思う。
 そしてisolateの持つ美の側面を表に出した楽曲である「塗り重ねた虚像の果てに」から空気を変える。単に速く激烈なだけじゃないのもisolateだし、こうした楽曲だとツインギターのセンスが本当に光りまくる。轟音の中で背中を向けながら佇む安藤氏は哀愁と風格を漂わせていたし、美から激へのバーストは流石過ぎる。そこから「蝕」を皮切りにミドルテンポも交えた整合性と破滅的カタストロフィーとダークさが際立つ楽曲を立て続けに繰り出していく流れは神々しさが溢れていて、ステージの5人は美しかった。特にベースの苔口さんはこの日全体に言えたけど、本当に暗黒のベースヒーローだったと思う。常に背中をフロアに向けながらも、極悪な重低音を放ちながら暴れるパフォーマンスは最高に格好良いし、この日はいつも以上に何度も何度もベースを高々と掲げていたのも印象的だった。激を際立たせるダークな空気を美しく放つメインコンポーザーの花澤氏のギターもこの日は特に冴え渡っていたとも思うし、岩田氏もいつも以上に激しさを体現していた。安藤氏はMCで色々喋っていたけど、流血してないライブのが少なかった事とか、ツアーで着続けていたTシャツは額縁に飾るとか、ツアーを振り返る事をMCでは言っていた。でもライブ中はこれまで以上の気迫を見せていたし、スマホで写真を撮っていた人の前まで行ってカメラに思いっきり顔を写込ませたりなんてパフォーマンスもしていた。池谷氏はやっぱり絶対の信頼を誇るドラマーだし、この人がいないisolateは正直考えられない。5人の個性と実力がツアーによってより強固な物になっていたのも印象深かった。
 そして後半は飛ばしに飛ばしまくっていた。「そろそろお待ちかねの速い曲やります。」ってMCからの「裏側の微笑み」からの流れは本当に怒涛。合間に必殺の「狂う影にあわせて」を盛り込みながら、ノンストップで極悪な轟音の濁流と鬼のブラストが炸裂しまくる。苔口氏はもうこの辺りから完全にスイッチ入っていたし、isolateの狂気を最も体現する人ではあるけど、これまで観たライブで一番狂っていたんじゃないか。顔こそは見えないけど、猫背で暴れながらベースを弾き倒し、高々とベースを掲げる様はどうしても目が行ってしまう。そんな4曲の流れは今のisolateの激と速と黒の激突であり、これまでのisolateの持ち味を更に進化させた物である。本当に一瞬で4曲は終わってしまった。
 そして安藤氏の「限界突破しよう。」宣言からのラスト4曲は本当に全てが完全だった。「歪」になってこれまで以上にギターの音が良くなり、メロディアスでダークなフレーズがよりハイファイで鮮明に突き刺しまくり、池谷氏のドラムがより殴りつける物へと変貌する。クリアマックスの破滅を体現する楽曲からの、間違いなく「ヒビノコト」に繋がっている「落日」の暴力的なハードコアの激動の流れは完璧だったし、ライブで聴くのは滅茶苦茶久々だった最速で2分を駆け巡る轟音のカタルシスである「Tragedy Of The Ruin」は本当にブチ上がったし、ラストの「終末」はもうisolateが今回のツアーで本当の意味で強大なバンドになった事を実感した。岩田氏も足なんて怪我して無いんじゃねえかってテンションでギターを振り回しまくり、安藤氏が本気でフロアの人間全員ブチ殺す位の気迫と表情を見せながらの叫びを繰り出し、もう雄叫びしか上げられない化物だった。そして苔口氏もテンションが完全に限界突破し、正直に言うとここまでテンションが狂ったベーシストはこれまで観た事無かったし、最後の最後に安藤氏と池谷氏がステージから捌け、ギター隊二人がアウトロのフレーズを紡ぎ、安藤氏が最後のMCをしている中でも、苔口氏はぶっ倒れて、シールドに絡まりながらベースを叩きつけ、倒れながらベースを弾き、美しいアウトロの旋律の響く中で狂ったベースの重低音が乱雑に鳴り、壮絶なる一時間を締めくくった。いや体感だといつも通り30分位のライブに感じたし、その位ライブが濃密だったのだ。いやもう全てが完成されていた様でもあったし、でもまだまだ限界突破出来るぜって気迫もあった。本当に凄いバンドになってしまったよ!!



セットリスト

1.解纜
2.閉ざされた中で
3.航路の先
4.塗り重ねた虚像の果てに
5.蝕
6.欲で着膨れする
7.美徳の勘違い
8.裏側の微笑み
9.屁理屈
10.狂う影にあわせて
11.薄氷上
12.歪
13.落日
14.Tragedy Of The Ruin
15.終末



 こうしてisolateのリリースツアーは無事に全公演を終了したけど、本当に素晴らしいツアーになったと思う。僕自身は全部の公演には行けてないし、東京公演4つに足を運んだだけではあるけども、その4つどれもが素晴らしいライブだったし、今回のファイナルは本当にファイナルに相応しいライブだった。何よりも今出せる全てを出し切ったライブであると同時に、まだまだこれからもっと進化していくぜ!!って気迫と決意も感じたし、節目であると同時に、新たなスタートを飾るライブであったと思う。2013年の2月にたまたま行ったライブでisolateに出会って衝撃を受けてから約2年。当時から凄いバンドだとは思っていたけど、ますます凄いバンドになってしまっているし、これからもっともっと大きな存在になっていくだろう。isolateはこれからももっと凄まじい惨劇を繰り広げていく。それはもう間違いない筈だ!!
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