■Yumi RISE OF THE YELLOW PERIL TOUR 2014(2014年12月22日)@西荻窪FLAT
・TRIKORONA
このバンドは最早パワーヴァイオレンスで括れるのか分からない。その位のライブをするバンドになってしまっていた。Coffinsの時と違ってギターであり、多数のエフェクターで異次元の音を放出する是枝氏のギターワークはもう才能の塊としか言えないし、テクニカルであり動きまくりながら超絶技巧の変態フレーズばっかり繰り出すベース、ブラストビートの連続に次ぐ連続でブチ殺すドラム。エクストリームミュージックの直接性の原液の一番底にある最高に濃い部分をかき集めて無理矢理ミックスしまくっている。ライブ自体も10曲近くはやっていたとは思うけど、20分程で終わってしまうファストでショートな具合。しかし一瞬一瞬が濃密なアドレナリンが出まくる瞬間しか無いし、変幻自在な幾多の音と共に繰り出される叫び。圧倒的情報量を一気に放出し、それでいてヴァイオレンスさと同時に異次元な音を繰り出しているから凄いのだ。脳汁ドバドバ溢れてくる是枝さんのギターは本当に予測不能のカオスだし、例のサンタランニングイベント行った奴らは、代わりにTRIKORONA観た方が未体験のカオスをよっぽど味わえたと僕は思う。勿論スプリットの楽曲はどれも音源を超えるカオスだったし、日本のパワーヴァイオレンスは本気で世界に誇れると前日のスラスラとこの日のTRIKORONAのライブを観て確信した。
・Kowloon Ghost Syndicate
結成したばかりでありながら各所で話題を集めているKGSだけど、もう熱い熱すぎる!!音楽性はこれぞ王道を往くストレートなメタリックハードコア・エモヴァイオレンスであり、ネオクラスト的な音もガンガン出しまくっていて、色褪せぬ土臭く血生臭いハードコアを堂々と放出していてグレイトだけで、メンバー全員のテンションが本当に凄まじい。FLATのステージじゃ狭すぎるぜとばかりに暴れまくるメンバー、ボーカルの笠沼氏はしょっぱなからマイクのシールド抜けているし、他にもギターのシールド抜けたりもしていたかな。上手ギターの安藤氏も凄まじいテンションでギターを弾き倒し、しかも笠沼氏だけじゃなくて他のメンバーもガンガンマイクを取る複数掛け合いボーカルスタイルは掛け合いボーカルが大好きな僕は大歓喜!!休まる暇なんて曲に全く無いし、20分もしないでライブが終わってしまうテンションの凄まじさ。音楽性的には目新しい物では無いのかもしれないけど、メタリックなクラストサウンドを堂々と継承し、それを天井知らずのハイボルテージなライブで繰り広げるのだからもう言うことなんて何も無い!!今回ライブを観るのが凄く楽しみだったけど、期待以上のライブに熱くなったし、この日購入したデモカセットでもライブのテンションが見事にパッケージされていた。今後益々要注目のバンドだし、2015年に更に凄まじい事をしてくれるだろう。いや爆裂って言葉はこのバンドにこそ使いたいよ!!
・Yumi
お待ちかねのシンガポール激情のYumi。メンバーの姿はこの日初めて観たけど、ボーカルの奴が小さくてちょっと笑った。身長で言うと多分1hyde+5位でしかもめっちゃ細い。そして上手ギターは赤縁眼鏡の女の子で、こちらもちっさい。他のメンバーはいかにも激情系っぽいルックスだったりしたけど、ボーカルの奴の着ていたパッチジャケットにCorruptedとCoffinsのパッチを発見して個人的には大興奮。MCの時にも言っていたけど、Corruptedとheaven in her armsとCoffinsは大好きなバンドで影響も受けているらしく(因みにKGSの安藤さんが横に待機していてMCの時の通訳をしていたりした)、シンガポールと日本の音楽が繋がっている事に嬉しくなってしまった。そしてライブが始まるともう本当にはち切れんばかりのテンション!!ボーカルの奴がいきなりフロアにクラウドサーフ決めて来たし、Hexisのフィリップ君かよって思ったけど、支えた重さはフィリップよりずっと軽かったです。まあフィリップはでかいし。そして上手ギターの童顔眼鏡の女の子が予想と反してメッチャ暴れながら滅茶苦茶エモい顔でギターをかき鳴らす!!これはもう最高だ!!曲は今年リリースした1stアルバムの楽曲をプレイしていたけど、HIHAのスプリットの時と違ってブラックメタル感は少し後退しながらも、正に王道を往く、誰しもが大好きな激情を鳴らしていた。楽曲の完成度は本当に高いし、それはHIHAとのスプリットの曲を聴いた時から思っていたけど、まるで「君と靴の未来」の頃のEnvyのそれじゃないか。よく激情系ハードコアバンドの売り文句に「for fans Envy」なんてあるけど、あの当時のEnvyが持っていた完成度とダークさと荒々しく猛る激情がYumiには間違いなくあったんだ!!40分近いライブで何度も何度も涙腺が緩みそうになる瞬間があったし、静のパートもありつつも基本は激で攻めまくるスタイル。ボーカルの奴、小さいのに滅茶苦茶エネルギッシュなボーカルをしているし、フロアに何度か飛び出したりするというテンション。ザクザク刻み付けるギターも格好良いし、リズム隊も爆走しながら安定したグルーブを生み出す。ライブ凄く楽しみであったけど、正直言ってここまで完成度が高いライブをするとは思わなかった。メロディアスでダークなえもヴァイオレンスの王道スタイルを貫きまくり、完成度が高いけど、ちゃんと荒々しさもあり、これこそが激情系ハードコアだろってライブは震えまくった。アンコールもありで大満足のライブだったし、シンガポールにはここまでハイレベルな激情が存在していたのだ。本気で足を運んで良かったよ。
・blue friend
メンバーさんの仕事の関係でトリはブルフレ。今日は機材こそいつもの様に持ち込みでは無かったけど、今回の猛者ばかりのライブを締めくくるに相応しいライブだと思ったし、のっけから繰り出す最強の一曲目「Midikai」からラストの「Saisho」まで隙なんて何処にも無かった。ブルフレはここ最近のUS激情とシンクロする音を鳴らすバンドではあるけど、やっぱり魅力的なのは風通しの良い疾走するキャッチーさと印象に残りまくるフレーズの数々だと思うし、ライブでも音源とやっている事自体は何も変わらないけど、この疾走感はライブでこそ本領を発揮するし、随所随所に引きを用意しながら、バーストさうるサウンドは本当に気持ちが良いし、ライブでこそ真価を発揮する音だ。1stリリース以降のブルフレはもう一つの安心感すら覚えるレベルだと思うし、曲の完成度の高さもそうだけど、激情系らしいエモさと疾走感に一つのキャッチーさを盛り込み、みんなが聞きたかった音を鳴らすバンドになった。でもやっぱりその音を全力で時にクールでありながらもやっぱり熱く放つライブは本当にオーガズムの連続だし、ライブを観る程に癖になってしまう。主役のYumiの後にライブという状態にはなってしまっていたけど、でも堂々と今回のYumi来日を締めくくるライブだった。
僕個人としては東南アジアのハードコアは全然詳しく無いし、現在勉強中ではあるけど、HIHAとのスプリットでYumiを知り惚れ込んでいたので、今回の来日公演は本気で嬉しかったと同時に、ライブと1stアルバムが正に激情系ハードコア屈指の物だったのは嬉しい誤算だった。ライブを観たかったKGSを観れたのも良かったし、TRIKORONAとブルフレも見事なライブをしていたと思う。同じアジアという地で言語や環境や気候や国こそ違えどこうして音楽で繋がっている事は嬉しかったし、Yumiのメンバーと少しだけではあるけど話せて、ライブが最高だって伝える事が出来たのも嬉しかった。音楽で人は繋がっているし、ハードコアは一つのコミュニティであるからこそ、人と人が全てを超えて音楽で繋がれる。それを改めて知った日だったし、この日のライブも一生物のライブに僕の中では残り続けていくだろう。