■MONO Rays of Darkness / The Last Dawn Japan Tour 2015(2015年1月11日)@代官山UNIT

 昨年「Rays of Darkness」と「The Last Dawn」の2枚のアルバムを同時にリリースしたMONO。この二枚はここ最近のオーケストラ起用の編成では無く、4人のサウンドに回帰した作品でありながら、同時にそれぞれ明と暗を描くというコンセプトアルバムだった。その表裏一体の二つの世界を見事に描いた作品だったし、俗に言う轟音系ポストロックなんて最早珍しくも無くなった昨今でもMONOは矢張り別格過ぎる存在である事を改めて感じる作品だったけど、日本が世界に誇り、世界で最も評価されている日本のバンドであり、日本よりも寧ろ海外のが活動のメインフィールドであるMONOが実に久々に日本でのツアーを敢行。今回は「Rays of Darkness」にゲストボーカルで参加したこちらも日本が世界に誇る激情系ハードコア最高峰であるEnvyのTetsuya Fukagawa氏がゲストボーカルで参加がアナウンスされていたし、本当にMONOのライブを観るのも久々だったし、今回足を運んだ。スタート予定時刻前にUNITに着いたけど、驚いたのは本当に人が多い!外国人も多い!!あまりの人でかなり後ろの方でライブを観る事になってしまったけど、しかしながらMONOというバンドは今尚大きな人気を日本でも誇っているんだなって実感出来て嬉しくもあった。そしてライブは10分弱程押してスタートした。



 静かに照明がステージに点き、先ずは新作から「Recoil, Ignite」でスタートだったけど、冒頭のアルペジオからしてもう笑いしか出てこないレベルで完璧だった。演奏技術とかそういった物すら超えて、音の感触から空気感から何から何まで音源と同じに聴こえてしまった。凄い訳の分からない言い方になってしまうけど、最初普通に音源をSEで流しているのかって思ってしまった位だったし、音色とか以上に楽曲の持つ空気感だったり世界観をここまでライブで再現できるバンドって先ずMONOしかいないって事を改めて思い出した。何よりもダークサイドなMONOの持つ静寂の中の悲哀に加えて、神経をすり減らす様なアンサンブルが序盤からいきなり炸裂していたし、轟音パートでは蓮華の炎の様に燃え盛る轟音が世界を崩壊させるテンションで燃え上がっていた。この最初の13分でMONOという世界の混沌と秩序が生まれてしまったし、目の前で繰り広げられる映画的スペクタクルに息を何度も飲みながら呆然と眺めるしかできなくなった。そして前作からの「Unseen Harbor」の流れへと繋がったのは本当に秀逸。音源ではオーケストラを起用しているし、今回の4人編成でのライブではどうなるかは非常に気になる所ではあったけど、例えオーケストラがいなくてもMONOはMONOでしかなかった。厳かに流れるトレモロギターの美しさだけで世界がわからなくなってしまいそうだったし、ドラマティックな轟音パートの叙情性をオーケストラ抜きでも見事に体現してしまう辺りは正にMONOならではだと思う。時にビートが荒れ狂いながら、何度も静と動を行き来し、一つの映画の様な物語を楽曲で描いていくのがMONOであるけど、丁寧でありながら同時に激情感すら生み出してしまうのは矢張りMONOがライブバンドであるからだと思う。
 一転してTamakiさんがピアノを弾く新作の楽曲である「Kanata」は静謐なるMONOの真骨頂とも言える楽曲であり、分かりやすい轟音パートはそれこそ無かったりするけど、サントラ的世界観は全然健在。轟音パートに頼らなくてもその構成力とメロディだけで決して抗う事の出来ない絶対の世界を描き出せるのがMONOというバンドだし、一音一音が本当に静かに呼吸しているかの様だった。MONOのライブはドラマティックで神秘的であり、人間が生み出しているとは思えないスケールを持っているけど、でもこれは人間にしか生み出せない音だった実感させられたのは前々作からの楽曲である「Pure as Snow (Trails of the Winter Storm)」だと思う。今回のワンマンは8曲中3曲が前々作「Hymn to the Immortal Wind」からの楽曲になっていたけど、オーケストラを本格的に取り入れた前々作と前作の楽曲がセットの半分を占めていたのは、改めてMONOが4人で生み出す音を見返した二枚の新作を経て、過去の楽曲を再構築した結果だと僕は勝手に思っていたりもするんだけど、爆音で轟音が爆発するクライマックスの凄まじさもさる事ながら、MONOのライブは本当に人間の鼓動だったり、呼吸だったりを感じるのだ。時に轟音が荒れ狂うパートこそあるけど、そんなパートで感情の激昂を描きながらも、静謐な清流の様なパートではまるで血液の流れの様でもあるし、静かにしかしヘビィに紡がれるビートとグルーブはミドルテンポを極めているからこそ、静かなる心臓の鼓動の様でもある、MONOのメンバー4人が人間であるからこそ、4人の呼吸だったり鼓動が完全にシンクロしているからこそ、MONOという生き物がライブでは生み出されているし、壮大なるスケールだけじゃない。人間の感情や生存本能すら音にしてしまっている事に僕は最早恐怖すら覚えてしまう。
 そして照明が赤と青でダークに4人を映し出し、Tamakiさん以外スタンディングでライブをしていたけど、ここでギター隊の2人が立ち上がって「The Hands That Holds The Truth」の終わり無く反復するアルペジオのフレーズが始まった瞬間にいよいよ誰しもが待ち望んでいた瞬間がやってきた。そして登場したのはゲストボーカルであるEnvyのTetsu氏!!事前にアナウンスされていたし、この曲をプレイするのは分かっていたけど、Tetsu氏が登場した瞬間にフロアから大きな歓声。揺らめく動きをしながら今か今かと叫びの瞬間を待ち望むTetsu氏、それに合わせて同じフレーズを延々と弾いているにも関わらず熱量を加速させるギター隊、そして来た。轟音ディストーションギターとTetsu氏の激昂の叫びだ!!もうこの瞬間は間違いなくこの日のハイライトだったと思うし、事前にアナウンスこそされていたけど、やっぱりMONOの音にEnvyのTetsu氏が加わったら最強の一言しか無かった!!神経も感情も全て焼き払う様な叫びと轟音、MONO史上最も狂い記した怒り狂うビート、やっぱりTetsu氏のボーカルが加わった瞬間にMONIOはTetsu氏のバックバンドになってしまったけど、でも単にバックバンドになったんじゃない。EnvyとMONOが持つ最強の武器が合体し、それぞれのバンドでは生み出すことの出来なかった怒りと悲しみと漆黒と光の交錯する爆発の瞬間が目の前に!!Tetsu氏が叫んでたのなんて実に3分も無かったし、曲が終わると「どうも!」とだけ言ってTetsu氏は早々に捌けてしまったけど、でもたった3分で生み出された激情世界にただ興奮するだけだった!!
 そして終盤は本当にあっという間だった。新作からの「Where We Begin」は一転してエヴァーグリーンな世界を生み出し、MONOが持つメロディセンスがここぞとばかりに開花。光が目の前で全てを照らし出す様な救いの様な情景を生み出し、マーチングの様なドラムは本当にポジティブな希望の一歩を力強く叩きつけていく。この曲が今回のライブの見事すぎるエンディングの幕開けだったし、ラストの前々作からの「Ashes in the Snow」のラストの爆発する轟音の連続、そして最後の最後の「Everlasting Light」の力強い轟音とビートによう目が開けられなくなってしまいそうな光の世界。本当に大きな救済の光によって見事すぎるエンディングを迎えていたし、終盤の3曲をプレイした30分弱は本当に一瞬で終わってしまった。全8曲一時間半。アンコール無しという実にMONOらしいセットではあったけど、一時間半じゃ全然足らない!!もっともっとMONOの世界の中にいたかった!!その位全てが濃密で壮絶なライブだったのだ!!



セットリスト

1.Recoil, Ignite
2.Unseen Harbor
3.Kanata
4.Pure as Snow (Trails of the Winter Storm)
5.The Hands That Holds The Truth
6.Where We Begin
7.Ashes in the Snow
8.Everlasting Light



 それこそ拠点は海外だし、日本では滅多にライブをやらないMONOであるが、本当にMONOは世界トップレベルのバンドだと思う。日本出身だとかそういった事は最早どうでも良いとすら思うし、日本にも海外にもMONOレベルのバンドなんて殆ど存在していないのだ。それは轟音系ポストロックの日本を代表する先駆者だからだとかそういった事じゃ無い。GY!BEとよく比較されるMONOだけど、MONOはもっと叙情的で神々しい世界を描いている。言ってしまえば破壊と再生、混沌と秩序、そういった相反する要素を天才的メロディセンスと構成力で共存させ、そして最終的にはポジティブなエネルギーを生み出す。そうなんだそんなバンドは他にはいない。もうインスト音楽も轟音系ポストロックも今では全然珍しくないし、手垢に塗れてしまった方法論なのかもしれない。でもMONOはそれでも常に説得力しかない音しか生み出していないし、15年の活動の中でブレは何も存在しない。常にスタイルを貫き、そして鍛え上げてからこそMONOは世界トップレベルのバンドになったのだ。誰も抗えない絶対世界を生み出す力があるバンドなんてMONOiの他にもいるけど、僕はそこまでのレベルのバンドは無知なだけかもしれないけど、数えられる程しか知らない。そしてMONOの代わりになるバンドは何処にもいない。だからMONOは凄いし、今回のライブも凄かった。いやもうそれだけで良いんだ。
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