■Darkness triangle zone(2015年1月17日)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
・MIRROR MOVES
先ずはMIRROR MOVESのライブからスタート。恐らくThe Psychedelic Fursの名盤4thからバンド名を取っているんだとは思うけど、しかし今時珍しい位にストレートなニューウェイブ・ジャンクロックを奏でているバンドだと思った。やっている事自体は機械的なビートに金属的な鋭角のリフを絡ませるロックだし、こういった手法は王道中の王道だとも思う。音こそ現代的な感触にはなっているけど、往年のニューウェイヴのバンドが持っていた妖しさをこのバンドのライブから感じた。ニューウェイヴという言葉自体は今の時代では最早概念でしか無いけど、その概念をちゃんと理解しているバンドだと思ったし、演奏から感じるクールな熱量は紛れもなく往年のニューウェイヴの連中が持っていたそれである。45分近くに渡って常に鋭角のビートとリフが縦断し、吐き捨てるボーカルとサイケデリックな空気と共に徐々に混迷を見せてくるライブは見応え十分。斬新な音では無いのかもしれないけど、今時こんな80年代の狂騒を現代に蘇らせるバンドはいないだろう。金属の振動が突き刺さるサウンドに酔いしれる45分間だった。
・shuhari
お次は3ピースインストポストロックバンドであるshuhari。これがもうこの手の音が大好きな人には堪らないであろうバンドだったのだ!!Explosions in the Sky、MayBeSheWill、Russian Circles辺りの影響を色濃く感じる叙情性豊かで、リリカルなサウンド。VJを取り入れてはいるけどサウンドは3ピースというシンプル極まりなさ。それぞれの音が自己主張しまくっているのに、絶妙に引く部分は引き、見事に三角形のアンサンブルを形成している点。時にはヘビィなリフを取り入れ、時にはテクニカルさを全開にしながらも、サウンドは常にリリカルさが咲き乱れている。ある意味ではベタではあるのかもしれないけど、でも正々堂々と誤魔化し無しにダイレクトなアンサンブルで描かれる世界観もあって、観る物を陶酔させるサウンドは正統派でありながらも実力派のそれであるし、時には焦らし、時にはダイナミックに爆発するサウンドは観ていて本当に飽きない。若手バンドでありながら確かな実力派としての力量は45分で十分に見せつけていたし、フロアの反応もかなり良かった様に見える。
・THE CREATOR OF
そして誰もが認める御大であるTCOだ。4人編成になってからのライブも完全に板に付いているのは年末に見たライブで確信していたけど、本当にライブを重ねる毎に進化をするバンドだと思った。今回はいつもならラストにプレイする「Acoustic」を頭にプレイ。45分近い持ち時間でプレイしたのはたった6曲ではあったけど、TCOのライブって本当に1曲1曲の密度がより濃密に伝わってくる。年末からプレイしている新曲のアンビエンスな感触の空気感も音数こそ極限まで減らしているにも関わらず、その余白を聴かせるという熟練の職人の様な芸当が見事に決まっていたし、中盤の「Wind Up」、「You Are」といった歌物の楽曲はオートチューンとバンドサウンドの一体感が見事にハマっていたし、個人的にはいつものライブ以上にギターの音がより前に出たアンサンブルになっていて、歌物曲でありながらも、バンドとしての熾烈さを痛烈にアピールしていた点もかなり印象深かった。終盤の「Pass Away」、「Black Star」の二曲はライブでは久々にプレイした楽曲ではあったけれども、これらの楽曲も更なる進化を見せていたし、いり深遠な世界観を高次元で描きながら、よりサウンドは熾烈で美しくなり、何よりもヘビィロックバンドとしての唯一無二さもとどまる事を知らない。「LIGHT」のリリースから実に一年が経過し、メンバーも今は4人編成ではあるけど、しかし新曲もプレイする様になり、TCOは2015年は確実にネクストへと突入する一年になるだろう。これからに益々期待が膨らむ2015年一発目のライブとなったのだ。
そんな正にダークなトライアングルとなった一夜であり、濃密な3マンだった。ヘブンズ自体は僕自身はあんまり行かないハコではあったりするけど、ヘブンズはいつも新たな音との出会いを提供してくれる場所だと僕は思っているし、あの独特の空気も含めて本当に素敵なハコだと思う。なによりも今回の3マンみたいな企画をハコ企画でやっているのは本当に大きいと思う。また足を運ぶ時には新しい出会いに期待を膨らませたい。