■Trikorona presents 「様々な困惑」 Trikorona/Stubborn Father split CD release show(2015年2月14日)@国分寺Morgana

 2015年のバレンタインはマイブラよろしく正に血のバレンタインが国分寺で発生した。昨年末にリリースされた東京の異次元パワーヴァイオレンスTrikoronaと大阪の怪物カオティック激情STUBBORN FATHERのスプリットは本当に大きな衝撃を与えた作品だったが、いよいよ始まったリリースツアー一発目はTrikorona企画!!TrikoronaとSTUBBORNは勿論だけど、この日に新作をリリースした神奈川の地獄パワーヴァイオレンスSu19b。話題をかっさらっているKowloon ghost syndicate、ノイズグラインドの衝動である西之カオティック、STUBBORNと共に大阪のシーンを作り上げている激重ハードコアSeeK、新世界のドゥームを鳴らすele-phantとジャンルレスでありながら完全に唯一無二なバンドしか集まらなかった最高のイベントになった。モルガーナはスタート時点で多くの人で埋まっていたし、本当に大成功な企画だったと思う。



・Trikorona

 企画主がハナというパワーヴァイオレンスバンドの企画よろしくな感じでスタート時間オンタイムで先ずはTrikoronaのライブからスタート。いつもよりライブの時間は少し長めで、スプリットの楽曲は勿論アルバムの楽曲もガッツリプレイしてくれたセットだったけど、このバンドは最早パワーヴァイオレンスという枠組みで全然収まってくれない。Coffinsではベースを弾く是枝さんのギターは完全に宇宙のそれ。フレーズ自体は直情的でありながらも、多数のエフェクターが宇宙に次ぐ宇宙を生み出し、不協和音でありながら、耳にこびりついて離れてくれない音しか放たない。特にスプリットに収録されている「妖怪の手」と「深い外」は非常にフレーズも印象に残るけど、不条理に次ぐ不条理がライブで更に繰り出されまくっている。メンバーの技術レベルも凄いし(特にベースのフレーズの自由さとセオリーに全くハマってくれなさは異常)、フロントマンであるボーカルのコヤマ氏の存在感が本当に凄い。是枝氏も訳が分からないフレーズを繰り出しながら叫びまくるけど、コヤマ氏のボーカルは本当に他にいない暴力性の塊であると言える。完全にラリってるとしか思えない顔を浮かべながら不条理を吐き出す様は最早恐怖すら覚えるレベルだろう。25分で放つ音は最初から最後まで意味が分からなかったし、音の暴力しか存在していなかった。ハナからモルガーナが血で染まった。



・西之カオティック

 お次は2人組ノイズグラインド西之カオティック。こちらも不条理の連続としか言えない音。存在するのはノイズとブラストビートのみだし、プレイした曲は全部1分も無い曲ばかり、本気で一瞬の瞬発力のみで発射されるグラインドの極限は最高の褒め言葉として使わせてもらうと本気でアホの一言でしか無い。ライブも10分やったけやらないかで終わったし、目の間で繰り広げられるノイズサウンドに呆然としていたらライブが終わってしまっていたって感じだったと思う。数多く存在するノイズグラインドの中でもここまで純度が高く速さと雑音だけを放つバンドもいないし、その雑音をアリだと思わせてしまうライブだった。笑いすら込み上げるぶっ飛び具合で一瞬のカタルシスを吐き出した。



・Su19b

 長年活動する大御所パワーヴァイオレンスでありながら、遂に1stをこの日の物販でリリースしたSu19b。激速と激遅の地獄のサウンドのみで惨殺劇を繰り広げる彼等だけど、この日のライブは神がかっていたレベルだったと思う。ただ激重なだけでは無い、極限の速さと遅さを繰り広げるだけじゃない。サウンド自体は本気で歪みまくり、潰れきった2本のギターのリフ地獄と、アクセルとブレーキが完全にバグったビートによる高速道路で起きた多数の被害者を出した事故みてえな惨劇って感じだ。この日はモルガーナの音響と完全にバンドの相性が最高の状態でマッチしていたし、リバーブかかった極悪グロウルボーカルの憎悪む凄まじく、疾走パートのブラッケンドでブ厚い音の壁から、激遅パートの心拍数停止なスラッジサウンドが共存する必然が確かにあったし、バンドアンサンブルが完全に一つの生き物ってレベルでシンクロしてて、その完全さに乾いた笑いしか出てこなかった。決してライブが多いバンドでは無いんだけど、だからこそ毎回Su19bのライブは濃厚濃密だし、既存の音から離れまくっているのに、必然としての地獄ヘビィネスの不条理だ。25分が一瞬で終わった様でもあり、倍以上の時間ライブやっていたって感じもある。ただヴァイオレンスなだけじゃなくて、凶悪すぎる音は観る物の脳細胞や五感にまで危険な後遺症を残してしまうんじゃねえかって本気で心配になった。アンプの壁から放たれるのは人殺しのリフだ。震えたよ…



・Kowloon ghost syndicate

 昨年末にシンガポール激情のYumiを招聘したKowloonだけど、このバンドは本当に古き良き熱きハードコアしか放っていない。激情やカオティックの黎明期の空気をそのまま継承したサウンドは世代によっては懐かしさもあるのかもしれないけど、このバンドは全く懐古主義では無い。絶叫を繰り出すメンバー達、ハイテンションという言葉じゃ片付けられない異様な熱さ。この日の出演バンドの中では一番ストレートで分かりやすいサウンドではあったけど、HIS HERO IS GONEや!LEFT FOR DEADが持っていた凄さをこのバンドは間違いなく持っているし、駆け巡る様にメドレー状態で次から次へと曲を繰り出し、しかも休まる暇なんて全く無い。ダークでヴァイオレンスでノイジーでありながら、絶妙にメロディアスな曲のセンスの良さも勿論だけど、それ以上にバンドとしてのライブで発揮されるパワーは段違いだ!!たった20分で興奮の最高潮!!こんな熱いバンドが最高なライブ以外しない訳ねえし、その期待は絶対に裏切らない。ライブを観るのは二度目だったけど、今回も魂を燃やし尽くすライブだった!!



・Seek

 この音をギターレスのたった4人で生み出している事が本気で凄いと毎回思う。昨年末以来のSeeKのライブはセットこそ曲順が違うだけで昨年末のライブと変わらない4曲だったけど、バンドの馬力は毎回毎回本当に凄い事になっている。ギターの脱退という普通に考えてピンチであろう状況から、ツインベースをいかしより重低音を炸裂させる方向にシフトした事によってよりソリッドでストイックでムダが何も無い音になった今のSeeKは間違いなくヘビィロックサイドのハードコアの極北にある音を鳴らしているけど、同時にどんなにリフとグルーブ重視の音に変貌したとしても、バンドが持つ神々しさは絶対に不変だし、Suguru氏のボーカルは相変わらず化物みたいな声量だし、Nogu氏とYama氏の5弦ベースと6弦ベースによるリフの地獄が不思議と生み出すハーモニーもより磨きがかかっていた。「朽ちていく中で」で見せたポストメタル感こそ今のSeeKはあまり無いのかもしれないけど、その当時の空気感は今のサウンドになっても健在だし、前半の新曲2曲にもそれはあった。そしてラストの「崇高な手」でまさかのモッシュ発生!!本当に肉体にも精神にも訴える「力」がこのバンドにはあるし、大阪だからこそ生まれた強烈なる個性と力のハードコア。ただ重いから生まれる音じゃ無い。これは重さとは何かを知り尽くしているからこそ生み出せる音だ。何度ライブを観ても新鮮な感動と興奮しか無い!!



・ele-phant

 このバンドは最早ドゥームという範疇で語るべきバンドじゃ無いのかもしれない。ボーカル・ベース・ドラムという変則的な編成だからって事では無い。ドゥームの新世界を間違いなく開くバンドだからだ。ボーカルの人がマントを羽織ってライブをしていたのもやたら印象に残っているけど、たった4曲しかプレイして無いライブで強烈に残ったのはロックのロマンだからだ。勿論ベースの音はドゥームならではな重さと煙たさがあるし、ドラムも速いパートはあるけど、後乗りのミドルテンポでグルーブを作っている。でもたった2つの楽器とボーカルのみで生み出す世界観の濃厚さは上手く言葉では言い表せない。加齢臭ロック・ドゥーム・サイケデリック・歌物・ゴス、それらが確かな筋を通して鳴らされている。コーラスワークもまた良い仕事をしているし、時には叫びながらも自己陶酔と妖しさに満ちたボーカルで退廃的世界観を描くし、ドゥームの歌物ってどうしてもサバスだったりとかストーナー的アプローチになってしまうんだけど、それからは完全にかけ離れている。日本人独自の美意識で生み出すサイケデリックさはele-phantの持つ大きな武器だし、ライブを観ていて、本当にその世界に飲み込まれてしまっていた。今回のイベントの中ではかなり異質なバンドではあったのかもしれないけど、でもその唯一無二な存在感は多くの人に伝わった筈だ。



・STUBBORN FATHER

 本当に今でもこの日のSTUBBORNのライブの興奮は全然冷めない。その位のライブだった。決してライブの本数は多くないし、東京でのライブなんて更に少ないけど、でもSTUBBORNのライブは本数なんて関係無いし、一回一回のライブで確実に進化し、確実に観た人に爪痕を残すのだから。いつも通り蛍光灯のみが照らすステージ、「裏側」のOPの音声SEからステージ中央で両腕を広げるshigeさん。そして「裏側」の混沌が始まる。楽器隊のアンサンブルは全パートとにかく前に出まくっているし、一歩間違えてしまったらアンサンブルは崩壊してしまいそうになるのに、絶妙に息の合った呼吸によって暴走しながらもアンサンブルがガッツリハマりまくり、しかし機械的な音にならないからこその混沌に次ぐ混沌。超展開の連続と必殺のフレーズのみで押し切りまくった音に観る者は軽々しく絶頂するし、shigeさんの「裏側ァー!!お前の裏側ァー!!」という断末魔の叫びで本気で胸から何かがこみ上げそうになった。「降伏フィルム」のプリミティブな衝動の連続はこのバンドが結成から進化へ変化こそあったにしても核は何もブレてない最高に格好良い男たちのバンドであると実感したし、今回もプレイしたANODEのカバー「隠された太陽」のカバーは最早何かしら音源としてリリースして欲しい名カバーだし、shigeさんが何度も「ANODE!!」と叫んでいたのも印象的だった。終盤に入ってからは本当に全てが一瞬でありながら、その音と光景が脳裏に焼き付く瞬間しか無かった。フックを格段に生かしたSTUBBORN印のサウンドが展開される「イデア」からドラマティックに世界を燃やす「痣」の流れは鳥肌しか立たないし、モッシュやダイバーも続出。始まりの始まりの様な、終わりの終わりの様な光景を音が生み出し、最後にマイクスタンド毎フロアに飛び出すshigeさんの姿は本物のハードコアヒーローだったと思う。アンコールでプレイしたアンセム「創造の山」もその余韻すら感じさせない物だったし、最後の最後は「ソウゾウ!!カイホウ!!」とシンガロングまで起こり、フロアは阿鼻叫喚。再びフロアに飛び降り、客を煽りまくり、立ち去るshigeさん。本気で凄い以外の一言しか無かった。こんなに凄いライブは滅多に観れないし、この日モルガーナにいて本当に良かったと心から思った。



 今回のスプリットリリースツアーは8月のファイナルまで約半年に渡って繰り広げられるし、各地で本当に猛者のみが集結するライブになっている。TrikoronaとSTUBBORNが大妖怪バンドである事は間違いないけど、そんな大妖怪をブチ殺そうとする大妖怪がまた集まって、幽遊白書終盤の魔界トーナメント編レベルのインフレ具合のバンドばかりがこの日も集結していたし、本当に記憶に残るライブをそれぞれしていた。興奮と狂騒に飲み込まれ、その音の異常さに恐怖すら覚えながらも、最終的には楽しさに帰結してしまうのは出演したバンドの実力だ凄かったからだ。この日出演バンドがMCで言っていたけどTrikoronaとSTUBBORNのスプリットは間違いなくとんでもない作品だから是非聴いて欲しいし、聴いて各地のツアー公演に是非足を運んで欲しい!!
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